所長挨拶

山下 智志

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2025年4月18日

統計数理研究所長 山下 智志

 このたび、統計数理研究所(統数研)の所長を拝命いたしました山下智志でございます。統数研は、昭和19(1944)年6月に文部省直轄研究所として設立されて以来、80年の歴史を有し、統計数理科学の発展に寄与してまいりました。この間、昭和60(1985)年の国立大学共同利用機関化、平成元(1989)年の大学共同利用機関化、平成16(2004)年の大学共同利用機関法人化と、社会の変化に対応しながらその役割を拡充してきました。しかしながら、統計数理科学の本質は変わることなく、現場・現実・現象との接点を通じてその真理を探究する研究文化は、今日に至るまで脈々と受け継がれております。

 近年、データサイエンスの発展とともに、AI・機械学習技術が急速に進化し、社会のあらゆる分野に影響を与えています。統数研は、これらの先端技術の理論的基盤を支える役割を果たし、機械学習、統計的推論、データ駆動型の意思決定手法の研究を推進してまいりました。特に、「統計的機械学習研究センター」を通じて、分野横断的な研究を展開し、学術界のみならず産業界とも連携を深めながら、統計数理科学の知見を社会へ還元する取り組みを進めています。今後も、データサイエンスの新たなフロンティアを切り拓きながら、統数研の研究成果を広く活用できるよう努めてまいります。

 私は所長としての任期の4年間において、統数研のさらなる発展を目指し、次の三つの目標を掲げて取り組んでまいります。

 第一に、研究所の財政的基盤の安定化です。統数研は、大学共同利用機関として、学術の発展に貢献することを使命とし、多様な共同研究の推進と研究環境の充実を図っております。そのためには、持続可能な財政基盤を確立し、研究活動の自由度を高めることが不可欠です。今後、外部資金の獲得や運営の効率化などを通じて、安定した財政基盤の構築を目指します。

 第二に、この20年で複雑化した所内の業務フローや各種委員会、規則等の見直しと簡素化です。統数研は、研究活動の充実と組織の透明性を確保するために、さまざまな制度や委員会を設けてきましたが、時代の変化に伴い、運用の見直しが求められています。研究者が研究に専念できる環境を整えるため、制度の合理化や業務の効率化を進めてまいります。

 第三に、統計数理研究所ブランドの向上です。統数研は、日本国内外において統計数理科学の中核的な研究機関としての役割を担っています。その研究成果をより広く社会に発信し、統計数理科学の価値を広めることは、今後の学術界および産業界にとって重要な課題です。国内外の研究機関との連携を強化し、統数研のプレゼンスを高めることで、さらなる発展を図っていきます。

 これらの目標を達成するために、所員一同とともに努力を重ねてまいる所存です。今後とも、統数研の研究活動に対する皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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