2014年度統計数理研究所夏期大学院を開催しました
8月2日から10日間連続で「感染症流行の数理モデル・夏期短期入門コース」という標題で夏期大学院を開催しました。参加者は受講者80名、講師・チュータ26名(うち外国人特別講師3名)を数えました。日本では、感染症疫学研究や流行対策の検討に数理モデルを活用できる研究者が極めて限られていることから、同状況に抜本的解決を加えるべく、入門者を実践の入り口まで案内するようカリキュラムを作成しました。コースではExcelソルバーを利用した最尤推定やVisual Basicを利用した確率モデルシミュレーション、Berkeley Madonnaを使った微分方程式の数値実験を行い、さらに、10人程度で構成されるチームにより、原著論文を参考に課題研究に取り組むグループワークを実施しました。極めて実践性を重視したコースの中で、西浦博代表(東京大学・准教授)は「必ず霧が晴れたようにわかる時が来るので、それまであきらめないで下さい。」と繰り返して運営にあたりました。途中辞退者をほぼ出すことなく講習会を終えることができ、受講者の強い志(多くの受講者が夜遅くまでグループワークに取り組みました)や講師陣の献身的な努力(日本学術振興会PDの中田行彦氏らによる高校数学から大学教養課程の数理科学の補講)が見られる極めて画期的な第1回の短期コースとなりました。 来年度以降、何らかの形で第2回に位置づけられる短期入門コースを開講するか、あるいは実務者向けのより実践的な発展コースなどを計画する予定でいます。今後も感染症数理モデルの専門家育成に貢献していきたいと思います。
オーガナイザー 西浦博
講師および運営委員 斉藤正也(統計数理研究所 データ同化研究開発センター)
【オーガナイザー】
西浦博 (東京大学大学院医学系研究科)
【講義及び講義内容】
1日6コマで構成。うち4コマを講義、1コマを実習、1コマを特別講義とした。講義は感染症の数理モデルに必要な基礎技術の習得を目指し、特別講義は研究の最先端を紹介するものとした。実習は、1コマで完結する簡単なデータ解析あるいは数値解析とし、ExcelやBerkeley Madonna(対話型微分方程式ソルバー)を用いて実施した。グループワークでは10人前後のグループに分かれ、指定された論文を参考に、政府から専門家として研究課題を受け取るシナリオ想定の下で、グループ内でモデルを利用した問題解決に取り組んだ。最終日にグループワークの成果を報告する形式を取った。
※当日のプログラムはこちら からご覧いただけます。
当日の様子 | ||
西浦先生講義 |
グループワーク発表 |
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実習風景 |