数学・数理科学5研究拠点合同市民講演会「数学・数理科学の未来!?」

数学の時代が今、来ている。20年以上先を見据えてますます発展することを予期させる、市民向けの講演会を開催します。日本を代表する数学・数理科学の5研究機関で行われている共同研究や共同利用事業の数々をもとに、ハイブリッド形式で「数学・数理科学の未来!?」をテーマに最先端の研究の一端を紹介します。

ご参加いただきありがとうございました。開催報告はこちら

日時
2023年11月18日(土) 13:30~17:00
会場
ハイブリッド(統計数理研究所 大会議室およびZoomウェビナー)
参加登録方法
Zoomウェビナーの参加登録をお願いします(会場100名、オンライン1,000名)

*終了いたしました

※会場(統数研大会議室)での参加をご希望の方は、参加登録ページの備考欄に「統数研にて参加希望」とご記入をお願いします。参加登録状況により大会議室での参加をお断りする場合があります。

【会議室での参加をご希望の方へ】
・当日、発熱、咳・くしゃみ、倦怠感、嗅覚・味覚異常など体調不良のある方は参加をご遠慮下さい
・同居者に同様の症状がある方は参加を慎重にご検討下さい
・マスク着用は必須ではなく、ご自身での判断をお願いします
プログラム

13:00
開場
13:30 ~ 13:35
挨拶、注意事項説明南和宏 統計数理研究所 副所長/教授
13:35 ~ 13:40
開会挨拶椿広計 統計数理研究所長
13:40 ~ 13:45
ご挨拶柳澤好治 文部科学省 研究振興局 大学研究基盤整備課長
13:45 ~ 14:20
講演1
「拡散現象の不思議」
食塩を水の中に入れて放置すると、かき混ぜなくても長い時間が経てば濃度は次第に一様になっていきます。これはミクロレベルでの微粒子のランダムな運動によるもので、このような現象を「拡散」と呼びます。一般に、拡散は濃度の不均一な状態を均一にする作用がありますが、ある種の非線形効果と拡散が結びつくと、逆に均一な状態が壊されてさまざまな幾何学的特徴をもつ秩序構造が生まれることが知られています。この事実に最初に気づいたのは、英国の数学者アラン・チューリングです。彼の思想は、その後の数理科学の分野に大きな影響を与えました。本講演では、チューリングのアイデアやその歴史的意義について解説します。
俣野博 明治大学先端数理科学インスティテュート 研究特別教授
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14:20 ~ 14:55
講演2
「秘密計算と数学」
秘密計算とは、複数の人たちがそれぞれ入力データを持っている状況で、互いのデータは秘密にしたままでデータ全体に対する計算や分析を行うことのできる暗号技術の一種です。この技術は、データ利活用と機密情報やプライバシーの保護の両立という近年の社会的な課題を解決する技術として注目されており、研究が盛んに進められています。
また、現代の暗号技術ではさまざまな形で数学が活用されていますが、それは秘密計算についても同様です。この講演では、秘密計算自体についての紹介と、秘密計算という技術に数学がどのような形で活用されているか、その一端を紹介します。
縫田光司 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 教授
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14:55 ~ 15:10
休憩
15:10 ~ 15:45
講演3
「楽して計算するには ー計算を科学するー」
情報化社会において、ソフトウエアすなわちアルゴリズムは極めて重要です。近年の人工知能などの発達によって、どんな問題でも容易にコンピュータで解けてしまうと思われがちですが、現状はかなり違います。高速に解けない問題あるいはP vs NP問題に代表されるように、高速に解けるけれど、できるかどうか分かっていない問題も多数存在します。 この講演では、計算やアルゴリズムなどの基礎的な概念を説明すると同時に、高速アルゴリズム設計の意義や重要性を、応用などを交えて議論します。
牧野和久 京都大学数理解析研究所 教授
15:45 ~ 16:20
講演4
「先のことはわからない?!」
「20年以上先を見据えて」と、浅学非才の我が身に余るお題で、何をお話すれば良いものか考えあぐねています。私事ながら、今春に大阪公立大学を定年退職しました。それまでの、40年あまりの研究生活を振り返ってみると、若かりし頃の私の予測を超えた理論の発展や研究形態の変化など、色々なことがありました。
自分自身の経験をお話させていただくと共に、それらに基づいて、数学の未来に関して、私なりに思いを巡らしてみたいと考えています。
古澤昌秋 大阪公立大学数学研究所 特任教授
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16:20 ~ 16:55
講演5
「ベイズ計算・対称性と非対称性」
ベイズ統計学の特色は、不確実性を全て確率で明示し、その結果を統一的に解釈することが可能であることです。しかし、それには複雑な積分計算が必要となり、実用化の障壁となっています。多くの場合、乱数を利用した近似計算手法、モンテカルロ法が用いられます。モンテカルロ法は、真っ暗闇の中で物体の形状を手探りで推測するような試みに喩えられます。最近、この手探りの方法に方向性をもたせたアプローチが注目されています。こうした方法は非対称な方法と呼ばれます。この講演では、ベイズ統計学における対称性・非対称性の最新動向について詳しく紹介します。
鎌谷研吾 統計数理研究所 教授
講演動画はこちら
16:55 ~ 17:00
閉会挨拶西森拓 明治大学先端数理科学インスティテュート 所長

主催
情報・システム研究機構 統計数理研究所
明治大学先端数理科学インスティテュート
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所
京都大学数理解析研究所
大阪公立大学数学研究所

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お問合せ
統計数理研究所(立川共通事業部 統数研事務課統数研係)
〒190-8562 東京都立川市緑町10-3
TEL:050-5533-8500 (代表)
E-mail:kouhousecism.ac.jp
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