公開シンポジウム「COVID-19とデータ科学」

【日時】
2023年3月17日(金)
【場所】
オンライン
【参加費】
無料
【参加申込】
以下のフォームに登録された方へZoomリンクをご案内いたします(申込締切:3月13日(月))
https://forms.gle/4gj8M7ZjMnL2SS5E6
(※登録された方には、後日当日のビデオを配布予定です)
【目的】
統計数理研究所では、2020年度より「新型コロナウイルス対応プロジェクト」を立ち上げ、COVID-19の対応を見据えた研究を進めてまいりました。本シンポジウムでは、同プロジェクトから最新の研究成果を報告するとともに、大曲貴夫先生(国立国際医療研究センター病院、国際感染症センター)、中谷友樹先生(東北大学、大学院環境科学研究科)をお招きし、データ科学がCOVID-19に果たす役割について議論します。
プログラム
13:00–13:05開会挨拶:村上大輔(統計数理研究所)
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セッション1司会:船渡川伊久子(統計数理研究所)
13:05–13:30空間集積性の観点からの東京都新型コロナウイルス感染症の解析
石岡文生(岡山大学)

空間集積性とは,局所的に高いまたは低い観測値を示す場所を,統計的根拠(データ)に基づき評価する科学です。特に,高い観測値からなる集積地域を「ホットスポット」と呼んだりします。本報告では,東京都が経時的に集計し公表している各種データを利用して,「COVID-19陽性者のホットスポットは存在すのか?」「存在しているとしたら,いつ・どこで発生していたのか?」を明らかにするとともに,ホットスポットの発現とその要因との関連性を考察します。

13:30–13:55COVID-19 Case Prediction Using Emotion Trends via Twitter Emoji Analysis
Vu Tran (統計数理研究所)

The worldwide COVID-19 pandemic, which began in December 2019 and has lasted for almost three years now, has undergone many changes and has changed public perceptions and attitudes. We attempt to determine whether the trend of emotions toward COVID-19 expressed on social media, specifically Twitter, can be used to enhance COVID-19 case prediction system performance. We use emoji as a proxy to shallowly capture the trend in emotion expression on Twitter. Our experimental results show that utilizing emoji improved system performance in the majority of evaluations.

13:55–14:20マルチスケールな時空間データを活用したCOVID-19の統計モデリング
村上大輔(統計数理研究所)

粒度、精度、分布等の異なる様々なCOVID-19関連データが提供・公開されており、それらを統合的に解析することが、感染流行の実態を解析する上で求められている。そこで本研究ではgeneralized product-of-experts法と呼ばれる機械学習手法の応用により、都道府県、市区町村、グリッドといった空間スケールの異なるデータを統合的に解析し、COVID-19の背後にある要因を時空間解析する。

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14:20–14:30休憩
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セッション2司会:Vu Tran
14:30–14:55HERSYSによる長崎県のCOVID19流行動態
斉藤正也(長崎県立大学)
14:55–15:20データ整備の為のデータ分析(主にスキーマ定義の為に)
下野寿之(統計数理研究所)

研究者が新型コロナに関係するデータを利用し易くするため、データベース(DB)構築を行ったが、その段階で必要な分析作業を示す(データの意味を読み解き、必要な加工を行い、人が認識容易な名前をカラムに付けるためである)。このDBは感染者数や人流や気象のデータを含み、合計が数百億レコードの多数のCSV形式のファイルが元である。なお、このDBは主にGoogle BigQuery上にあり、SQL文で非常に高速に集計などの演算が出来る。

15:20–15:45日本的品質管理TQMの視点からのWithコロナ社会の構築
鈴木和幸(電気通信大学)

Withコロナ社会の構築に向けては、医療崩壊をはじめ、基礎疾患者などのハイリスクの方の重症化を避けることが必須である。日本的品質管理TQMの5つのポイントの視点からの振り返りを行い、米医学アカデミーからの"Emerging from covid-19" にも言及し、Withコロナ社会の構築へ向けての問題解決プロセスを考える。

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15:45–16:00休憩
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セッション3司会:村上大輔
16:00–16:40招待講演1:COVID-19感染の地理情報と空間疫学
中谷友樹(東北大学、大学院環境科学研究科)

COVID-19が流行する中、公的に随時発出されてきた情報の<面>的な地理的参照の曖昧さなどが問題となった一方で、感染発生の<点>や感染の地理的な伝播に相当する<線>に相当する新たな統計データ解析も利用されるようになった。感染の持続性、人の移動と感染の地理的伝播、感染による健康被害の社会格差といった諸論点を軸に、COVID-19の感染発生をめぐる多様な地理情報が空間疫学において果たす意義を、日本での解析事例に基づいて論じてみたい。

16:40–17:20招待講演2:COVID-19の臨床像と社会への影響
大曲貴夫(国立国際医療研究センター病院、国際感染症センター)

COVID-19は当初は呼吸不全と死亡のリスクが高い疾患であった。しかし流行株がオミクロン株となりワクチンの接種率が高まってからはいずれも低下した。しかし各波毎に患者数は指数関数的に増加し、入院患者は多様化し、死亡者数は増加している。一般医療への影響も大きい。社会はインフルエンザとは全く異なる新たな健康の問題を一つ抱えた。公衆衛生・医療・介護の体制の再構築によって対応していく必要がある。

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17:20–17:30休憩
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17:30–17:55パネルディスカッション
司会:村上大輔
パネリスト
・大曲貴夫(国立国際医療研究センター病院、国際感染症センター)
・中谷友樹(東北大学 大学院環境科学研究科、教授)
・本多敏(慶應義塾大学 システムデザイン・マネジメント研究所、名誉教授)
・高橋泰城(北海道大学 大学院文学研究科、准教授)
・椿広計(統計数理研究所、所長)
・松井知子(統計数理研究所、教授)
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17:55–18:00閉会挨拶
椿広計(統計数理研究所)
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