空間統計に関するセミナー
- 日時
- 2017年1月13日(金) 14:30~15:40
- 場所
- 統計数理研究所 セミナー室3
- 講演者
- 村上 大輔 (国立環境研究所 地球環境研究センター 特別研究員)
- 題目
- 空間的自己相関と回帰分析 : eigenvector spatial filtering の拡張
- 概要
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空間データの特性である空間的影響(空間的自己相関と空間的異質性)を考慮した回帰分析の方法が、空間計量経済学や空間統計学で発展を遂げてきた。 特に近年では、空間近接行列の固有値・固有ベクトルを活用して空間的影響に対処しようという方法が活発に議論されており、eigenvector spatial filtering(ESF)はそのような方法の一つである。 ESFは、空間的影響に効果的に対処することができる反面、安定性や計算量などの面で課題が残されており、必ずしも、大規模かつ多様な近年の(時)空間データの分析に適合的とは言えない。
以上を踏まえ、本発表では、まず空間計量経済学と統計学における関連の議論を包括的にレビューすることで、空間的影響が回帰分析に及ぼす影響とその対処法を整理する。 次に、ここでの整理結果も踏まえながら、ESFをGaussian processと整合する形で拡張する。それによりrandom effects(RE-ESF)を提案する。 続いて、RE-ESFの安定性や計算効率をMonte Carlo simulationと実データへの適用を通して分析する。最後にRE-ESFの拡張可能性を示し、一例として空間可変パラメータモデルへの拡張を試みる。