セミナー「高次元平均ベクトルに対する検定とスパース推定」

日時
2013年9月27日(金) 13:30-14:30

登録不要・参加無料

場所
統計数理研究所 セミナー室4(3階D312B)
講演者
片山 翔太(日本学術振興会PD@大阪大学 & 統数研外来研究員)
タイトル
高次元平均ベクトルに対する検定とスパース推定
概要

本報告では,変数の次元が標本サイズよりも大きいもしくは同程度のデータ(高次元データ)における,平均ベクトルの検定問題および推定問題を扱う.

検定問題に関しては,高次元データにも適用可能な検定統計量が現在までに幾つか提案されており,その漸近帰無分布も導出されている.本報告では先ず,それらの漸近帰無分布は母共分散行列の構造に依存して変化することを示し,既存手法では実際の高次元データ解析の際に問題が生じることを指摘する.その後,これを解決するために,任意の母共分散行列に対して漸近帰無分布が正規分布になるような検定統計量を新たに提案する.

推定問題に関しては,母平均ベクトルの正規尤度関数に基づくスパース推定量を提案する.正規尤度関数には局外母数である母共分散行列が含まれており,通常のスパース推定法を直接適用することができないため,近年 Cai and Liu (2011, JASA) によって提案された母共分散行列の推定量をPlug-Inする.その結果得られる推定量は,母平均ベクトルのスパース構造を漸近的に復元できることを示し,さらにその平均2乗誤差も導出する.