AI時代を支える高度統計人材の育成を開始

 統計学の専門教員不足を解消し、2030年代に毎年約500名の統計エキスパートを輩出

   
 ISM2026-06
2026年7月24日

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所(所長:山下智志)は、国立大学法人 滋賀大学(学長:竹村彰通)と協働し、2026年度から文部科学省補助事業 「高度統計人材育成 強化拠点形成事業」 を実施します。
本事業では、AIが急速な進化を続ける中、全国的な課題である統計学の専門教員不足を解消し、データサイエンス・AIの基盤となる統計学の高度人材を育成するため、全国の幅広い地域や分野の特性を踏まえた有機的な大学等ネットワークを形成し、高度統計人材を安定的に輩出する好循環システムの実現を目指します。

 

【データサイエンス・AIをめぐる環境が大きく変化】 
 我が国の高等教育では、データサイエンス系の学部・学科や教育プログラムなどの組織や仕組みの整備が、この数年間に急速に進みました。その一方で、AI技術が急速に進化し、その利活用が急増する中、我が国の大学には、米国等の諸外国に設置されている統計学部・学科が存在しなかったことなどから、データサイエンス・AIの基盤となる統計学の専門教員の不足が課題になりました。

  • 「データサイエンス系学部・学科」の新設ラッシュ
    「データサイエンス系学部・学科」を設置する大学の数は、4大学(2020年度)から40大学(2025年度)となり、この数年間に急増 (統計数理研究所調べ)
      
  • 「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」認定校の急増
    「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」(リテラシーレベル)の認定制度が2021年度に開始され、認定された大学の件数は、490件(2026年4月現在)へと爆発的に増加
     
  • 統計学の専門教員の不足
    組織・仕組みの整備が急速に進む中、大学教員の求人公募数は、「統計」(128件)が「情報科学」(67件)や「機械学習」(37件)を大きく上回る (2025年 科学技術振興機構 求人公募情報サイトから 統計数理研究所 集計)

     

【AI時代を支える高度統計人材を育成】
 本事業では、データサイエンス・AIの基盤である「統計学」を体系的に教え、機械学習・ディープラーニング等の基礎となる統計的思考・手法を活用した研究・指導を行うことのできる統計学教員を始めとする高度統計人材を育成するため、幅広い地域や分野の特性を踏まえた有機的な人材育成ネットワークを形成し、高度統計人材を安定的に育成する好循環システムの実現を目指します。このため、AI時代を支える統計学の専門教員の育成を加速し、統計学の高度人材育成の拠点を段階的に拡大していきます。 

(注)統計学(確率的推論技術)は、AIの中核技術において本質的役割を果たしています。また、AIを適切に評価し、その限界や不確実性を理解し、信頼できる科学的知見へと結び付けるための重要な学術基盤になっています。  

(1)統計学教員の育成を加速
 全国の大学等の助教・ポスドク等の若手研究者を対象に、期間1年間の「育成研修」を中心とする研修プログラムを開発し、実施します。研修修了者のうち希望者には、更に期間1年間の「フォローアップ研修」を実施します。研修では、数理統計学などに加え、AI時代における因果推論、機械学習・深層学習、AI活用の基礎としてのR・Pythonなどを学びます。
 これにより、データサイエンス・AIの基盤となる統計学を教育・指導できる統計学教員を育成します。 

  • 質保証された統計学教員を育成
    統計数理研究所長が修了要件を認定することにより、事業期間合計4期の研修を通じ、各期20名以上、質保証された統計学教員を育成します。 
      
  • 充実した指導・支援体制
    日本統計学会会長、日本計算機統計学会会長、深層学習理論研究員等の経歴を持つ経験豊富なシニア教員(メンター)による少人数個別指導に加え、研修修了生がチューター教員として研修生をサポートし、研修生・修了生等によるコミュニティを形成するなど、充実した指導・支援を行います。
      
  • 短期集中型プログラムの開発
    育成研修・フォローアップ研修に加え、幅広く社会人データ活用指導者層や統計学担当教員等を対象として、AIと統計学を架橋する先端トピック群などが履修できる短期集中型研修プログラムを開発し、実施します。

     

(2)統計エキスパート人材を安定的に輩出
 研修によって育成された統計学教員等が、全国の大学等で各種学術分野の大学院生等に対して統計学に関する教育・指導を行うことにより、更なる人材の創出に寄与します。これにより、統計エキスパート人材を安定的に輩出する人材育成の好循環システムの実現を目指します。 

  • 「大学等拠点」の構築
    主要な参画大学等との協力・連携を強化し、地域や分野の特性を踏まえた複数の人材育成の拠点を、事業期間中に構築します。
    このため、例えば、産学連携モデル、地域連携モデルなど、大学等の特性によって様々な類型が考えられる「大学等拠点モデル」の在り方を検討し、2027年度までにその整備方針を策定します。
      
  • 毎年500名規模の人材を輩出
    事業で蓄積された人材育成ノウハウを大学等拠点モデルに移転するなどして、高度統計人材育成ネットワークを発展的に展開するための工程表を2028年度までに策定します。2030年代に、毎年500名規模の統計エキスパート人材を安定的に輩出する人材育成の好循環システムを実現します。

   

【参考:これまで統計数理研究所で行ってきた事業】
 文部科学省補助事業「統計エキスパート人材育成プロジェクト」(2021〜2025年度)では、当初の目標を大きく上回る成果を上げ、文部科学省、日本統計学会などから高い評価を得ています。

  • 大学統計教員の育成
    5年間に3期にわたる研修を終了し、目標の30名を大きく超える38名の大学統計教員を育成しました。
      
  • エキスパート人材の輩出
    育成された第1期研修修了生等により、2024年度以降、年間100名を超える統計エキスパート人材を育成しています。
      
  • コンソーシアム参画機関の拡大
    統計エキスパート人材の育成に対するニーズは高く、コンソーシアム参画機関は、設立時の21機関から30機関に拡大しました。研修成果に対する参画機関の評価も高く、研修修了生も新たな研究成果を創出しています。

 

AI人材の育成・確保(文部科学省施策)

AI時代を支える 新たな統計エキスパート人材育成

 

本件に関するお問い合わせ先

【事業内容について】
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所
大学統計教員育成センター 千野(ちの)、澤村(さわむら)
TEL:050-5533-8425  E-mail:ctps-tokatsu@grp.ism.ac.jp

【報道・広報について】
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所
運営企画本部 広報室
TEL:050-5533-8500(代表) E-mail:kouhou@ml1.ism.ac.jp  

   

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