統計数理研究所 椿所長退任記念シンポジウム
統計数理の新しいコミュニティ連携に向けて


現代社会において、統計数理科学はますます重要な役割を果たしており、分野を越えた学問的交流や協働が不可欠です。本シンポジウムでは、「統計数理の新しいコミュニティ連携に向けて」をテーマに、統計数理科学としての専門性と共通性を探るべく、医学統計、品質管理、ビジネス科学の3分野の専門家をお招きし、それぞれの視点から議論を深めていただきます。
本シンポジウムを通じ、統計数理科学のさらなる発展を目指し、学際的な連携の可能性や新しいコミュニティの構築に向けた道筋を見出す契機となることを期待しております。本シンポジウムは統計数理研究所長の椿広計の退任を記念して企画しました。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

【日時】
2025年3月26日(水)14:00~17:00(開場・受付開始 13:00)
【場所】
一般財団法人 日本教育会館 一ツ橋ホール(現地開催のみ)
〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2
【参加申込方法】
参加費無料・要登録
お申込みは2月中旬から受付を開始予定です
※定員を超えた場合は申込み受付を制限させていただきます

プログラム
14:00-14:10 開会挨拶
山下 智志(統計数理研究所副所長)
14:10-14:20 来賓挨拶
14:20-14:45 講演1「統計数理と医療」
佐藤 俊哉(統計数理研究所 特任教授、滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授)

医療と統計数理との関わりは古く医療統計学(Biostatistics)として確立した学問領域となっている。Biostatisticsは、農業・生物領域で発展した学問であったが、R.A. Fisherが発明したランダム化がBritish Medical Research Councilによるストレプトマイシンの臨床試験(1946年)に用いられて以降、急速に医療領域での実用が広まった。 本講演では、医療と統計数理の関わりの中でも国民の健康に直結する新医薬品・治療法開発のための臨床試験、新医薬品の承認審査と安全対策について概観し、これからの品質管理・ビジネス科学との新たなコミュティ連携を探る。

14:45-15:10 講演2「標準化と品質管理からみるデータサイエンス」
山田 秀(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)

品質管理の原点は、1920年代のシューハートによる管理図と多くの方に考えられています。これは、標準化したプロセス下のデータに中心極限定理を適用して正規分布に基づく管理限界線を設定し、それにより標準からの逸脱を検知しようというもので、実務と統計モデルが絶妙に組み合わさっています。標準化の対象は、単一プロセスから世界に、製品や手続からマネジメントの仕組みにというように拡大しています。製造現場で始まった品質管理も、顧客満足の追求、そして共創による価値創出に拡大しています。昨今の標準化、品質管理の立場からのデータサイエンスについて所感を紹介します。

15:10-15:35 講演3「金融実務家から研究者へ(私の個人研究遍歴と椿広計先生との思い出)」
大野 忠士(筑波大学客員教授/名誉教授、統計数理研究所 客員教授)

私は、30年間の金融機関勤務(海外での調査・審査が中心)の後、研究者となった。倒産予測モデル、流動性危機の予測が長年の研究テーマである。研究者となった契機は2004年に入学した社会人大学院(筑波大学大学院ビジネス科学研究科)での椿先生との出会いである。筑波大学での修士論文指導、コロンビア大学修士の推薦状、統計数理研究所での博士論文指導、科研費共同研究、翻訳本の監修等、私が筑波大学の専任教員を退任するまで16年間直接ご指導いただいた。ここでは私が受けた椿先生の統計学教育・研究指導の一端をご紹介するとともに、私自身の研究史を示して、中高年実務家が右往左往しながら研究を続けて来た道程、悩み、迷い、発見、喜びを紹介したい。これが、今後実務家から研究者を目指す方の参考になればと思う。

15:35-15:50 休憩
15:50-16:40 パネル討論「統計数理の新しいコミュニティ連携に向けて」
パネリスト:佐藤 俊哉、山田 秀、大野 忠士、山下 智志
コーディネータ:椿 広計(統計数理研究所長)
16:40-17:00 閉会挨拶
椿 広計

18:00-20:00 意見交換会(受付開始 17:30)
会場:如水会館 スターホール
詳細は後日ご案内します

【主催】
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所
【後援】(予定含)
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合、一般社団法人 日本品質管理学会、一般社団法人 品質工学会、応用統計学会、一般社団法人 日本統計学会、一般社団法人 日本計量生物学会、公益社団法人 計測自動制御学会、一般社団法人 日本リモートセンシング学会、一般財団法人 日本規格協会、独立行政法人 統計センター、 統計関連学会連合、一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会、一般財団法人 日本科学技術連盟、日本自殺総合対策学会、日本製薬工業協会
【お問合せ】
統計数理研究所(管理部総務企画課)
〒190-8562 東京都立川市緑町10-3
TEL:050-5533-8500 (代表)
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