修了生からの声

修了生からの声

基本情報

氏名: 玉野浩嗣
学位所得時期: 2024年3月(後期3年課程)
博士論文タイトル: Dynamical Model and Model Misspecifications in Non-compensatory Multidimensional IRT
所属: dotData Japan シニアリサーチエンジニア

在籍時の研究活動

博士課程では多次元項目反応理論の時系列拡張の研究をしていました.多次元項目反応理論は,学習者が問題を解いた正誤データを用いて,学習者の複数スキルに関する能力値を推定することができます.大きく補償型と非補償型があり,非補償型は学習者が問題に不正解した場合にどのスキルが足りないかを説明するために有効ですが,時系列データに適用可能なモデルが提案されていませんでした.そこで私は,非補償型を時系列拡張したモデルと,そのモデルにおけるパラメータの推定手法を開発いたしました. また,その研究の中で補償型と非補償型の違いに興味を持ち,非補償型で生成されたデータに対し,補償型でFitした場合,真の値に対して推定結果がどうずれるか,またそのメカニズムを明らかにする研究についても行いました.

修了後の活動

私は社会人学生ですが,会社と切り離し,業務と関係のない研究を行っておりました.修了後も引き続き,同じ会社に所属しております.会社での業務は論文を書くような研究職ではありませんが,お客様の共通課題を数理的に解き,それを製品化するということを行っています.最近,データをセグメンテーションしてお客様に有用な知見を抽出する技術を開発し,製品に搭載することができました.博士課程で身につけた統計数理の技術が役立っていることを実感しています.

統計科学専攻を選んだ理由

2017年ごろから博士課程への進学を考えていました.その時研究していた内容は教育データの分析手法でノンパラメトリックベイズと関連があり,統数研の持橋先生のところはどうかと考えていました.ちょうどその年のIBISワークショップでポスター発表したときに,持橋先生がポスター発表を偶然聞いて下さり,話をする中で先生が教育データに関しても関心があることがわかりました.技術と応用分野の両面でマッチしていそうだと考え,持橋先生から指導がうけられる,総研大の統計科学専攻を選びました.

統計科学コースの志願者へメッセージ

社会人の学生が多いため,他の大学とくらべ働きながらでも博士課程を行いやすい環境だと思います.また,統計科学に関する様々な分野の先生がいて気軽に研究の相談や共同研究ができたり,計算機環境の面ではスーパーコンピュータも無料で利用できたりと,研究環境は非常に充実しています.統計科学専攻の博士課程で培った力は,研究はもちろん,技術的な課題解決という面で広く企業の現場でも役立つので,非常におすすめです.