統計科学とは、データを収集・整理・解析し、不確実性を考慮しながらその背後にある意味のある構造や法則を見出し、将来の予測や意思決定、知識発見に役立てるための学問です。データのあるあらゆるところに必要となるわけですから、統計科学は、医学・生命科学・農学・工学・理学・経済学・社会学・人文学といった多様な分野にとどまらず、新しい分野へと広がりながら発展し続けています。
近年、情報取得技術とコンピュータ技術の加速的な発展に伴い、膨大かつ複雑なデータが取得されるようになっています。その結果、より大きな知見が得られることが期待され、各分野における統計科学の需要はますます高まっています。また、データの特性が変化してきたことにより、それに対応する新たな統計科学の方法論そのものの開発も求められています。その開発の基盤となっているのは数学であり、データの特性に応じて数学的基盤から構築していくことが必要となる場合も少なくありません。このように、統計科学はなお発展途上にある学問であり、今後もさらに発展していくことが見込まれています。そして、その発展は社会全体やさまざまな分野から強く求められています。
現代のキーワードともいえる「AI」の分野においても、統計科学の果たす役割は大きくなっています。例えば、データ分析AIの結果を正しく解釈し、信頼できる結論につなげるためには統計科学が不可欠です。また、生成AIもデータの背後にある確率的な構造を学習する仕組みに基づいており、その出力をどこまで信頼してよいかを判断するためには統計科学の理解が重要となります。さらに、AIによる方法そのものもいまだ発展途上にあり、その精度を高めていくうえでも統計科学の知識が重要な役割を果たします。
こうした背景から、統計科学は多種多様な人材を求めています。統計科学を適切に用いて各分野に還元する人材や、種々のニーズに応じて統計科学の方法論そのものを開発する人材に加え、その両者をつなぎ、相互の効果を高める人材も重要です。教員だけで40人を優に超える本コースは、このような多種多様な人材を擁しており、皆さんが自分に適した役割や関心の方向を見つけ、それぞれの志向に応じて統計科学を体系的に学ぶことのできる唯一無二の教育環境を提供しています。統計科学には多種多様な立場があると述べましたが、いずれの立場においても大学で学んできた専門知識を現実社会の課題解決に生かすことのできる学問といえます。現代において重要性が高まっているこの学問を追求し、現実世界の課題に挑戦してみませんか?本コースでの学生生活が有意義なものとなるよう、我々はサポートを惜しみません。
統計科学コース長 二宮 嘉行