修了生からの声

修了生からの声

基本情報

氏名: 大前勝弘
学位所得時期: 2018年3月(5年一貫制課程)
博士論文タイトル:Statistical Learning by Quasi-linear Predictor
所属: 国立循環器病研究センター データサイエンス部 臨床統計室長

在籍時の研究活動

大学の学部生時代から生物統計学に興味を持っていたのですが,指導教官や研究室の先輩たちの研究をフォローするうちに予測問題に興味を持つようになりました.そして「予測結果の非再現性」という課題にめぐりあい,「生物多様性」を考慮した統計的方法論について研究することにしました.具体的には,予測問題を考えている研究対象に多様な部分集団が入り混じっているとデータを取り直すたびに集団比が変化して,結果的に選ばれてくる「有望な予測因子」が変わることがあるのですが,なるべくそのような生物多様性に影響を受けずに予測因子を同定する問題や,逆にそれぞれの部分集団の多様性をうまく捉えてモデリングする方法について提案しました.また,在学3年目からは病院所属の生物統計家として働くことになり,最終的には社会人博士として在学5年目で学位を取得しました.

修了後の活動

学位取得の時期と重なるように京都大学大学院に特定助教として着任し,2年ほど学生教育(生物統計学)に携わった後に,現職に移りました.最近は病院専属の生物統計家として少し忙しい日々を過ごしていますが,統計学の研究も続けています.現在は長期疾患に対する治療レジメン推定の問題に取り組んでいますが,やはり大学院在籍時の「生物多様性」に対する挑戦が研究の軸になっています.

統計科学専攻を選んだ理由

大学の学部生時代に生物統計学に出会い,その時点で博士課程の進学を目指そうと決意しました.身近に統計数理研究所の出身や在籍中の先生方がいらっしゃって統計科学専攻のことを知ったのですが,どうせ博士課程に進むのであれば,じっくり学べる5年一貫制の課程に入ろうと思ったことがきっかけです.

統計科学コースの志願者へメッセージ

学部卒業後に5年一貫制への進学をするということは多くの人にとっては重大な決断になると思いますが,本専攻は統計科学(データサイエンス)を学ぶには最高の環境です.また,うまく研究が進めば早めに学位を取得することが可能かもしれませんし,私のように途中から就職しつつ学位取得を目指すという道もあると思います.このように人それぞれにとって良い道があると思いますが,とにかく国内で統計学をじっくり学びたいという方には統計科学専攻を強くお勧めします.統計数理研究所には様々な研究をされている先生方や海外研究者の来訪があり,異分野で活躍する同期たちとの巡り会いも含めて,ここで得た出逢いは得難いものだと確信しています.ぜひ統計科学専攻に入って,楽しい研究生活を過ごしてください.