修了生からの声

修了生からの声

基本情報

氏名: 郭中梁
学位所得時期: 2021年3月(後期3年課程)
博士論文タイトル: Bayesian inference for chemical synthesis planning
所属: 愛知県がんセンター システム解析学分野 研究員

在籍時の研究活動

統計科学専攻在籍時は吉田先生指導のもとでベイズ統計学を化学に応用する手法を研究していました.大学と修士は化学を専攻していましたので,化学の重要な課題の一つである合成経路設計に機械学習とベイズ推論を組み合わせた手法を開発していました.個人的にも,化学,機械学習,ベイズモデリングに興味があったので,この研究テーマは私にとって魅力的でした.深層ニューラルネットなどの機械学習モデルが自然科学の分野で活用されるようになってきた中,それらの手法をベイズ推論の枠組みに取り入れ,単純な予測モデルでは解決できない合成経路設計の問題に取り組んでいました.

修了後の活動

学位取得後は愛知県がんセンターで研究員として勤務しています.統計科学専攻では,化学分野における統計手法の応用に取り組んでいましたが,現在は生命医学分野のデータに対して新しい統計手法の開発を行っています.特に,2021年にAlphaFoldという革新的なタンパク質の立体構造予測モデルが発表され,生命医学データにおける機械学習モデルの有用性が広く認識されるようになりました.私は,このような大規模なモデルを活用しつつ,トポロジカルデータ解析などの統計的な手法と組み合わせて,タンパク質の機能予測や新規薬剤候補分子の設計などを研究しています.また,計測技術の発展に伴って,さまざまな新しいデータが得られるようになり,それと同時に新しい統計的な手法も開発されています.新しいデータと新しい手法を結びつけて,新しい知見を生み出す研究に努めています.

統計科学専攻を選んだ理由

もともと実験系の出身ですが,自分の研究で集めたデータを分析する過程で,統計学に興味を持ち始めました.当時博士課程の進学先を悩んでいたところ,統計科学専攻の大学院説明を聞きつけ,参加しました.そこで,いろんな専門の出身の人が統計科学専攻に在籍し,様々な研究を行っていることを知りました.自分が統計学の研究に適しているかどうか少々不安だったので,最初は研究生として統計科学専攻に所属することにしました.研究生の期間中,統計学の魅力にさらに惹かれ,また統計数理研究所での研究環境が快適だったので,統計科学専攻に入学する決心をしました.

統計科学コースの志願者へメッセージ

統計数理研究所には統計関連分野の第一線の先生が多数在籍しています.理論から応用まで様々な研究に触れるチャンスはどの大学よりもあると思います.先生たちは普段フレンドリーで,研究において真剣に話を聞いてくれます.また統計科学専攻で出会う先輩,同期,後輩は,卒業後も統計の専門家として各界で活躍することでしょう.ここで培ったネットワークは,将来にわたって貴重な財産となるはずです.ぜひ統計科学専攻で充実した学生生活をお過ごしください.