連続最適化および関連分野に関する夏季学校とは

本夏季学校では, 連続最適化とその関連分野 (凸解析, 数値計算, 線形代数など) において現在活躍中の研究者からの講義と演習を通して, 基本的な事柄から最先端の動向までを整理・理解することを試みます. これにより, 学生を含む若手研究者の基礎力の養成および新たな研究テーマの発見を目指します. 同時に, 参加者によるポスターセッションにより, 交流の促進を図ります. 若手以外の研究者や隣接分野の研究をしている方の研究の幅を広げる目的での参加も歓迎します.

開催概要

  • 期間: 2025 年 8 月 28 日 (木) -- 30 日 (土)
  • 会場:
    • 現地会場: 統計数理研究所 2 階 大会議室 (アクセス)
    • オンライン会場: オンライン会議システム Zoom (参加申込いただいた方のみにお伝えします.)
    • 注意: 現地会場の進行を優先します. オンライン会場への配信には万全の態勢を敷いていますが, 万が一, 配信ができなくなった際には配信を中止する可能性があります.
  • 参加費: 無料
  • 問い合わせ先: 田中未来 (統計数理研究所) <mirai 🐧 ism.ac.jp>

現地参加者向けの諸注意

  • 講義資料は電子的に配布します. 印刷物の準備はございません.
  • 3 日目は正面入口からご入館いただけません. 正面入口左手にあります通用口からご入館いただき, 警備室に本夏季学校に参加する旨をお伝えください. 正面入口と通用口に案内を掲示する予定です.
  • (昨年度までと異なり) 懇親会は事前登録制とします.

講義概要

連続最適化のための進化戦略の数理

  • 講師: 秋本洋平氏 (筑波大学 システム情報系)
  • 概要: 進化戦略 (Evolution Strategies) は, 勾配を用いることができない場合に連続最適化を解くためのアルゴリズムです. 進化戦略は多変量正規分布からの解生成と, その目的関数値の比較情報を用いた分布パラメータの更新を繰り返すことで探索を進める方法であり, 勾配を用いることができないシチュエーション, 例えばハイパーパラメータ最適化など, において, 広く用いられているヒューリスティックな方法です. 本講義では, 進化戦略の中でも最も古典的な (1 + 1)-ES と呼ばれるアルゴリズムについて, これまでに得られている一次収束の保証およびそのための証明テクニックについて紹介します. 本講義を通して確率的かつ適応的なアルゴリズムの解析テクニックを提供するとともに, 進化戦略にも理論保証があることを知ってもらい, 興味を持つきっかけとなることを目的とします.
  • 資料: 準備中です.

双対問題の基礎と活用

  • 講師: 山下信雄氏 (京都大学 大学院情報学研究科 情報学専攻)
  • 概要: 連続最適化の重要な理論に「最適性の条件」と「双対性理論」があります. 最適性の条件は, 連続最適化のアルゴリズムを設計する上で欠かせないもので, その必要性は明らかです. 一方, 双対性理論については, ページ数の限られた教科書や時間の限られた講義では, その価値が十分に伝えられていないことが多いと思います. 近年の連続最適化における画期的な研究の多くは双対性を上手に使っています. 双対性を使いこなせるようになれば, 少ない労力で大きな成果をあげる, つまり ”最適な” 研究活動ができるようになるかもしれません. 本講義では, まず, 双対性の基礎として, ラグランジュ双対, Fenchel 双対, Gauge 双対, 代理双対などを紹介します. 次にそれらの活用事例として, ロバスト最適化, Performance Estimation Problem, 分散アルゴリズムと Benders 分解法, Sinkhorn algorithm と最適値関数などを紹介します. 演習問題は講義で端折った証明を中心に, (適切な課題があれば) プログラミングの問題を用意する予定です.
  • 資料: 準備中です.

ポスターセッション

参加者同士の交流を促進するために, 現地参加者のうち希望者にポスター発表をしていただく機会を設けます. 進行中の研究に関する議論から論文として発表済みの研究の紹介まで幅広く受け付けます. 具体的な実施方法は発表者数が確定してから決定します. ポスターセッションでの発表をご希望の方は参加申込の際に併せてお申し込みください (締切: 8 月 17 日). ポスターセッションのオンライン配信は行ないません.

ポスター発表一覧

  • 竹澤祐貴 (京都大学 / 沖縄科学技術大学院大学):
    関数の類似性を利用した通信効率の良い分散学習アルゴリズム
  • 古橋敬信 (名古屋工業大学), 本谷秀堅 (名古屋工業大学), 横田達也 (名古屋工業大学 / 理化学研究所):
    WEEP: 弱凸包絡に基づく微分可能-非凸スパース正則化
  • 清田大河 (東京大学), 佐藤一宏 (東京大学):
    未知な線形時不変システムに対する二自由度PID制御器の構成法
  • 宮崎裕貴 (日本大学), 伊藤勝 (日本大学), 柳下翔太郎 (統計数理研究所):
    Hölder連続勾配を持つ多目的最適化アルゴリズムの解析
  • 大和田佳生 (明治大学), 飯塚秀明 (明治大学):
    増加バッチサイズによる Riemann 多様体上の確率的勾配降下法の計算効率および収束率の向上
  • 山下洋史 (大阪大学), 鈴木秀幸 (大阪大学):
    Entropic herding による変分推論の誤差解析
  • 浜口広樹 (東京大学), 丸茂直貴 (東京大学), 武田朗子 (東京大学):
    数値誤差を考慮した正則化準ニュートン法
  • 久米啓太 (東京科学大学), 山田功 (東京科学大学):
    2 つの非平滑非凸関数の和からなる関数を最適化するための近接勾配型アルゴリズム
  • 永井実葵 (総合研究大学院大学):
    スコアマッチングとその周辺の最近の動向に関する調査
  • 引間泰成 (富士通株式会社 / 九州大学):
    観測解に対する意思決定指向学習
  • 上島智哉 (東京大学), 丸茂直貴 (東京大学), 武田朗子 (東京大学 / 理化学研究所):
    時間変化する確率的最適化問題に対する予測補正アルゴリズム
  • 引間友也 (NTT 株式会社), 澤田宏 (NTT 株式会社), 藤野昭典 (NTT 株式会社):
    Guided Zeroth-Order Methods for Stochastic Non-convex Problems with Decision-Dependent Distributions
  • 柳下翔太郎 (統計数理研究所):
    半正定値錐上の内点勾配法
  • 司馬博文 (総合研究大学院大学):
    サンプリングにおける加速と安定性
  • 松尾祥汰 (東京科学大学), 久米啓太 (東京科学大学), 山田功 (東京科学大学):
    Hierarchical Variational Inequality Problem and Algorithms for Noncooperative Game-Theoretic Equilibrium Selection
  • 栗原昂汰 (九州大学), 長野北斗 (九州大学), 内田大貴 (九州大学), 伊豆永洋一 (九州大学):
    ゼロ頻度問題に対するロバスト最適化法の公理的性質
  • 小林健 (東京科学大学), 田中未来 (統計数理研究所), 山根大輝 (東京工業大学 (当時)), 中田和秀 (東京科学大学):
    計算が困難な目的関数をもつ凸最適化問題に対する Frank--Wolfe 法

懇親会

参加者同士の交流を促進するために懇親会を開催します. 立川駅周辺の常識的な金額の飲食店での開催を予定しています. 懇親会への参加をご希望の方は参加申込の際に併せてお申し込みください (締切: 8 月 17 日).

時間割

以下の時間割は現時点での予定です. 進行状況により変更となる可能性があります.

1 日目: 8 月 28 日 (木)

  • 13:00--13:05 オープニング
  • 13:05--14:05 連続最適化のための進化戦略の数理 講義
  • 14:15--15:15 連続最適化のための進化戦略の数理 講義
  • 15:25--16:25 連続最適化のための進化戦略の数理 講義
  • 16:35--17:05 連続最適化のための進化戦略の数理 演習
  • 17:20--19:00 ポスターセッション (現地のみ)

2 日目: 8 月 29 日 (金)

  • 10:00--10:30 連続最適化のための進化戦略の数理 演習
  • 10:40--11:40 連続最適化のための進化戦略の数理 演習の発表・解説および総括
  • 11:40--13:30 休憩
  • 13:30--14:30 双対問題の基礎と活用 講義
  • 14:40--15:40 双対問題の基礎と活用 講義
  • 15:50--16:50 双対問題の基礎と活用 講義
  • 17:00--17:30 双対問題の基礎と活用 演習
  • 18:00-- 懇親会 (現地のみ)

3 日目: 8 月 30 日 (土)

  • 10:00--10:30 双対問題の基礎と活用 演習
  • 10:40--11:40 双対問題の基礎と活用 演習の発表・解説および総括
  • 11:40--11:45 クロージング
  • 12:00-- フリーディスカッション (現地のみ)

旅費補助

遠方からの学生の現地参加者でポスターセッションでポスター発表をしてくださる方に限り旅費の補助が可能です. ご希望の方はお早めにお申し込みください (締切: 7 月 13 日). なお, 予算に限りがありますのでご希望に添えない場合もございます. 旅費補助がないと参加できない場合はこちらからの連絡があるまで航空券や宿泊の手配はしないでください. また, ここでの遠方とは所属する大学等から統計数理研究所までの常識的な経路長が 100 km 以上であることを目安とします. 筑波大学はギリギリ遠方です.

宿泊

宿泊の斡旋は行ないません. 立川駅周辺には複数の宿泊施設がございます. 各自でご予約ください.

参加申込

  • 参加をご希望の方はこちらのフォームより申込をして下さい. 締切は設けませんが, 飲料等の手配の都合がありますので, 7 月 27 日 までに済ませていただけますと助かります.
  • 懇親会参加, ポスター発表, 旅費補助の申込は締め切りました.
  • いずれも定員に達した場合は早めに受付を終了することがあります. また, 申込完了後に確認のメールが届きますのでご確認下さい. 確認のメールが届かない場合はお問い合わせ下さい.

世話人

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