趣旨・目的: 計算機が発達した現在,工学における理論研究はモデリングとシミュレーションを用いた数理的方法が主体となっている.しかし,背後にある普遍的な法則や構造を摘出し,理論を精密化し,実用性を高めて現実により近づくという研究のループを完成するためには,記述法も含めた数学的な整理と,数理構造の明確化が必要不可欠である.現代の工学の進展は著しく,数学者の絶え間ない関与の必要性は,指数関数的に増大しているといえる.例えば,大規模数値シミュレーションにおける数々の手法は,その数理構造と数学基礎が解明されたことで普遍的な道具となり,数学研究の源泉ともなって,適用範囲が広がってきた.工学において様々な分野で用いられてきた数理的方法や理論を,現代数学の立場から見直すことが,科学技術を実用化するために重要である.このことは一方で,専門的な高等数学の研鑚を積んだ学生や,純粋数学研究に携わる研究者に広い視野を提供する場を与え,数学を豊かにし,人材を育成するという,数学イノベーションの趣旨に適合するものである.本ワークショップでは,システム数理,流体工学,情報通信工学の3つに焦点を絞り,工学で展開されている数理的方法と,高度に抽象化された現代数学との接点を探っていく.
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構成 (1時間講演+30分質疑&議論) 第1日目:(担当:潮俊光,乾口雅弘) (講演の写真 初日1 2 3 4) セッションテーマ:「システム数理と現代数学の接点」
10:00-10:20 Opening (鈴木貴 MMDSセンター長挨拶) 10:30-12:00 「模倣関係を用いたシンボリック制御器設計法」 大阪大学大学院基礎工学研究科 潮俊光 13:00-14:30 「超準解析を用いたハイブリッドシステム検証手法」 京都大学情報学研究科 末永 幸平 14:50-16:20 「逆凸2次計画問題に対するFJ点列挙法を用いた大域的最適化手法」(仮題) 新潟大学理学部 数学科 山田 修司 16:30-18:00 「ファジィ共クラスタリングと協調フィルタリング」 大阪府立大学大学院工学研究科 電気・情報系専攻 本多 克宏 第2日目:(担当:小林孝行,後藤晋) (講演の写真 1 2 3 4) セッションテーマ:「流体工学と現代数学の接点」 10:00-11:30 「混相流について」 早稲田大学基幹理工学部 数学科 柴田良弘 13:00-14:30 「圧縮性 Navier-Stokes 方程式の Poiseuille 流の不安定性と分岐進行波解」 九州大学大学院数理学研究院 数理科学部門 隠居良行 14:50-16:20 「スパコンを用いたオイラー型流体構造連成シミュレーション」 大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻 杉山和靖 16:30-18:00 「計算バイオメカニクスにおける逆問題事例の紹介と大規模計算によるアプローチ」 大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻 伊井仁志 第3日目:(担当:丸田章博)(講演の写真 1 2 3) セッションテーマ:「情報通信工学と現代数学の接点」 10:00-11:30 「客の待ち時間に制約のある待ち行列モデルの解析」 大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 井上文彰 13:00-14:30 「通信ネットワーク計測への数理的アプローチ」 大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 松田崇弘 14:50-16:20 「光ファイバ中で生じる非線形現象の固有値に基づく解析」 大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 丸田章博
16:30-18:00
「循環器系疾患の患者個別治療にむけた計算力学解析の試み」
大阪大学大学院基礎工学研究科 機能創成専攻 大谷智仁
プログラムについては、
http://www-mmds.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/structure/activity/workshop.php?id=34
も参照。 ポスター |