数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 ウェーブレット解析と信号処理
採択番号 2016W08
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明 、疎構造データからの大域構造の推論
キーワード ウェーブレット解析 、信号処理 、画像処理 、圧縮センシング
主催機関
  • 京都大学数理解析研究所
運営責任者
  • 芦野 隆一
  • 山田 道夫
開催日時 2016/10/24 00:00 ~ 2016/10/25 00:00
開催場所 京都大学数理解析研究所
最終プログラム

October 24, 12:50~16:45

[1] Leon Cohen (Department of Physics & Astronomy, The City University of New York)
The representation of functions in time-frequency and position-wavenumber

[2] Takeshi Mandai (Faculty of Engineering, Osaka Electro-Communication University)
On Inequalities about Instantaneous Amplitudes

[3] Toshio Irino (Faculty of Systems Engineering, Wakayama University)
Acoustic Scale Processing in the Auditory System

October 25, 9:30~15:30

[4] Leon Cohen (Department of Physics & Astronomy, The City University of New York)
The transformation of deterministic and random differential equations into phase
space

[5] Kunio Yoshino (Faculty of Knowledge Engineering, Tokyo City University)
Eigenvalue problem of Anti-Wick(Toeplitz) Operator in Bargmann-Fock space and
Applications

[6] Kazushi Mimura (Faculty of Information Sciences, Hiroshima City University)
Recent progress in compressed sensing

[7] Tamotsu Kinosita (Division of Mathematics, University of Tsukuba)
Wavelet Transforms on Gelfand-Shilov Spaces

For more information, visit our website at
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~ashino/rims2016/

English Program with abstract: rims2016program

 

参加者数 数学・数理科学:11、 諸科学:8、 産業界:、 その他:
当日の論点

10 月 24 日(月)
関数や信号の様々な時間周波数と位置波数の表現について議論した.工学において,これらの表現がなぜ必要か,またどのような改良が望まれているかについてレビューが行われた.
また,数学的にエレガントで難解だが興味をそそるいくつかの新しい問題が提起された.
次に,聴覚系におけるスケール不変性に関連する問題,時間スケール表現における不確実性最小化問題が指摘され,スケール不変な聴覚信号処理の数理モデルの提案と音響スケール処理の数学的基礎が議論された.
さらに,瞬間振幅と信号の「包絡線」に関係する不等式による厳密な評価等が示された.

10 月 25 日(火)
微分方程式の解の性質を調べる方法として,与えられた微分方程式を相空間上で定義される微分方程式に対応させ,相空間上で定義される微分方程式の解の性質を調べることにより,与えられた微分方程式を解析する方法が提案された.このアプローチは,非定常確率論的システムに対処することを可能にすることが報告された.
また,Bargmann-Fock空間におけるアンチウィック演算子の固有値問題が紹介され,その応用としてDaubechiesの固有値の公式の新しい証明が示された.
次に,スパース性を利用する圧縮センシングに関する多くの研究から,いくつかの典型的な例と圧縮センシングにおける最近の進歩が紹介された.
最後に,Gelfand-Shilov空間におけるウェーブレット変換の様々な性質が紹介された.

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

ウェーブレット解析は数学的に一般化され,様々な研究が進められている.工学ではスケールと関係する信号(たとえば聴覚信号)の解析には有効であり,研究が進められている.

数学と工学が協働して研究を行うことは重要であり,さらに長い期間(5年程度)緊密に協働を推進する必要がある.

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

ウェーブレット解析が有用な信号処理は,スケールが関係する工学的問題であり,スケール不変な聴覚信号処理の数理モデルは今後の課題である.
与えられた微分方程式を相空間上の微分方程式に対応させて解の性質を調べる方法は有望であり,今後の解決すべき課題である.
ウェーブレット解析が関係する可能性がある工学の問題を視野に入れて,さらに数学的基礎を研究する必要がある.

今後の展開・フォローアップ

得られた結果は数理解析研究所の講究録として発表する.
来年度も同様な共同研究やセミナーを開催したい.