数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 数理・金融WG
採択番号 2016G01
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明 、疎構造データからの大域構造の推論 、過去の経験的事実、人間の行動等の定式化 、計測・予測・可視化の数理 、リスク管理の数理 、最適化と制御の数理
キーワード 数理科学 、数理ファイナンス 、金融実務 、金融関連規制 、リスク管理
主催機関
  • 統計数理研究所
運営責任者
  • 山下 智志
  • 川崎 能典
開催日時 2016/04/22 16:00 ~ 2017/03/24 12:00
開催場所 学術総合センター 1回
カンファレンス東京 6回
最終プログラム
以下のメンバーによる7回の非公開の作業部会を行った
幹事
 山下 智志 (統計数理研究所)
 川崎 能典 (統計数理研究所)
 荻原 哲平 (統計数理研究所)
 池森 俊文 (一橋大学)
常任メンバー
 内田 善彦 (金融庁)
 山中 卓 (日本銀行)
 吉藤 茂 (三菱UFJフィナンシャルグループ)
 青沼 君明 (三菱東京UFJ銀行)
 荒川 研一 (りそな銀行)
 伊藤 敬介 (みずほ第一フィナンシャルテクノロジー)
 楠岡 成雄 (東京大学)
 中川 秀敏 (一橋大学)
 磯貝 孝 (首都大学東京)
 枇々木 規雄 (慶應義塾大学)
 林 高樹 (慶應義塾大学)

第1回会合 2016 年 4 月 22 日 一橋講堂
第2回会合 2016 年 7 月 8 日 東京ステーションコンファレンス
第3回会合 2016 年 8 月 18 日 同
第4回会合 2016 年 10 月 4 日 同
第5回会合 2016 年 11 月 24 日 同
第6回会合 2016 年 12 月 16 日 同
第7回会合 2017 年 1 月 19 日 同

また2017年3月24日には、日本数学会2017年度年会における数学連携ワークショップにおいて「金融に利用される数学・数理技術の「これまで」と「これから」」と題する公開講演会を開催し、グループの活動の一端を紹介した。当日配布資料

参加者数 数学・数理科学:4、 諸科学:5、 産業界:6、 その他:0
当日の論点
  • 金融技術革新
  • リーマンショックの衝撃
  • 金融を取り巻く社会環境の変化
  • - 情報通信手段の発展に伴う顧客行動の変化
  • - 決済手段の多様化
  • - ネット商品販売
  • 投資とトレーディングの数理手法
  • 金融商品評価の数理手法
  • 金利系デリバティブ評価モデルにおけるマイナス金利対応
  • 銀行経営の数理手法
  • 自己資本比率規制(バーゼル規制)
  • 金融実務における人工知能、機械学習、データ構造化
研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

金融業務は取引内容を数値で正確に記述することが不可欠であり、元来、金融は数理的な手法に馴染む業務であるが、長い間、それに使用された数理は四則演算を中心とした簡単なものにとどまっていた。しかし 1980 年代半ばぐらいから、米国発の金融技術革新と呼ばれる現象が日本にも波及してきて、そのような金融実務の世界にも急激に確率解析を中心とした高度な数理手法が導入されていった。その後、金融の数理は金融資本主義の世界的な興隆を支える主要な要素の一つとして、さまざまな形で発展してきたが、2008 年の金融危機を契機に、世界の金融市場や金融機関に対する要請に変化が起こり、また高度IT・ネット社会の進行など、金融産業を取り巻く環境が大きく変化して、金融を支えてきた数理にも軌道修正や新たな領域への取り組みが求められるようになった。
今回の数学協働プログラム・金融作業グループは、金融数理の現場(実務界・官界・学界)で活躍する有識者が集まって、これまでの金融を支えてきた数理を再整理し、足元の課題を踏まえながら、今後に向けて必要となる金融数理の軌道修正や取り組むべき新たな領域などについて議論し、論点を整理することを目的として組成した。

 

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

作業グループでの議論を通して「報告書」をまとめることができた(金融作業グループ報告書)。今後の課題等についてはこの報告書に詳述したので、参照して頂きたい。

なお、2017年3月中に冊子として印刷して一部に配布した「報告書」には一部間違いがあったので、ここに正誤表を掲載する(正誤表)。

今後の展開・フォローアップ

今回まとめることができた報告書を用いてこの分野に対する各方面の理解を高めて貰い、また将来この分野を担う人材の確保に繋げたい。