■ 農業や水産の現場に数学やICTを導入することはそれほど容易ではない。
- 農業ビッグデータは本当にビッグデータか?:農家ごとに土壌や気候といった前提条件が全く異なる。
- 経営者が生産コスト(原価)を把握できていない。家族経営であるから人件費はタダという誤解も多い。
- きちんと費用管理をしている経営者も存在する一方で、まだまだ「面倒くさい」という声が圧倒的に多い。
■ 食の取引市場をデザインする研究では、必要なパートナーシップを構築することが難しい。
- "実証実験 = ビジネス”である。
- 企業が関わると現場から嫌がられるが、持続可能な市場をつくるには本気で取り組む企業の参入が必要。
- 研究成果を発表し、情報交換するコミュニティがない。
■ 買い物弱者問題は、地域コミュニティのあり方と一緒に議論する必要がある複合的な課題である。
- 個人商店は、単に食料品が買えるというだけではなく、地域見守りの役割を担ってきた。
- 買い物は地域住民にとってある種のエンターテイメントでもあり、これが失われることも問題である。
- 地域に助け合いのコミュニティが形成されていれば、買い物弱者の問題を解消できる。
■ 誰をどこまで救うべきかという議論が必要
- 例えば、フードデザート地域をこれ以上拡大させないためには、特定の商店を選んで重点的に支援することが最適であることが数理モデルにより示された。特定の商店だけを支援する施策が行政側に受け入れられるかどうかは分からないが、「そのような施策と効果をまずはきちんと可視化することが重要である」というコンセンサスが参加者間で得られた。 |