数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 産業・異分野における課題解決のためのスタデイグループ
採択番号 2015S01
該当する重点テーマ 過去の経験的事実、人間の行動等の定式化 、計測・予測・可視化の数理 、リスク管理の数理 、最適化と制御の数理
キーワード 材料設計 、最適化 、逆問題 、建築物の保全と溶解現象
主催機関
  • 東京大学 大学院数理科学研究科
運営責任者
  • 山本 昌宏
  • 坪井 俊
開催日時 2015/12/07 00:00 ~ 2015/12/11 00:00
開催場所 東京大学 大学院数理科学研究科
最終プログラム

2015年12月7日(月)午前:以下の企業や異分野の研究者からの課題提起と説明
12月7日午後-12月11日(金)午前:各課題ごとに分かれて解決に向けたワーク、主体は院生、若手のポスドクで、各グループごとに経験のあるポスドクまたはファカルテイメンバーがコーデネーターとして議論のとりまとめなどを行った。
12月11日(午後):得られた成果の報告会を行い、課題を提示した企業や研究者からの成果の評価を受けた。

課題提示企業およびテーマ

1. 花王株式会社: 人間の立位時における重心動揺に関する数理モデルの構築と解析

2. 新日鐵住金株式会社: 結晶の図形構造としての数学表現

3. 東和精機株式会社: 歪取プロセス数理モデルの構築

http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/~a3inverse/SGW/index.html

参加者数 数学・数理科学:30、 諸科学:3、 産業界:7、 その他:0
当日の論点

花王:ヒトは誰でも立位時に前後左右に少しフラつく。このフラつきの軌跡の時系列データを記録・解析する医療機器が重心動揺計であるが、それによる軌跡のモデル構築と解析を議論した。

新日鐵住金:材料科学とデータサイエンスを融合による新世代の物質・材料設計研究(マテリアルズインフォマティックス)の活動に関連して、構造データと呼ばれる材料を構成する図形の性質に関わるデータ(結晶の格子形状、原子の配置)の表現方法に関する数学解析を行った。

東和精機:自動車に用いられる動力を伝達するシャフトの熱処理後の歪を0.001mmオーダーで矯正するのが歪取機であるが、実際の機械でやった2,3の事例データを用い、順問題としてその数理モデルを構築することを議論した。

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

花王:そもそも軌跡を力学系などとしてとらえる発想がなかった。

新日鐵住金:結晶のミクロ構造とマクロな力学的な性質を結合する弾塑性変形を考慮にいれた数学モデルの考察はなく、本研究で導入された。

東和精機:従来はもっぱら経験に基づいて歪取のプロセスを行ってきた。最適化や支持函数利用の断面形状決定などの数学手法を導入した。

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

花王:導入された力学系の支配方程式の妥当性の検証、その数値計算法ならびに実データとの比較によるモデル方程式と数値手法の検証

新日鐵住金:結晶構造のより精密な分類とそのための指標の導入、弾塑性方程式の数値手法の開発

東和精機:実機によるデータとの比較による数学手法の検証

今後の展開・フォローアップ

花王、新日鐵住金:継続して主に数理科学研究科において議論を継続する。

東和精機:スタデイグループでの成果に関して、工場の技術者と理解を共有するために東和精機の現場での議論(すでに1月9日に実施)。さらに実機での検証を2月以降、計画している。