研究の現状(既にできていること)
採血技術実施時の手指運動データを取得し、初学者と熟練者のを解析した結果、主観的であるが両者のデータに差異が見られることは確認済みである。
具体的には、採血技術には基本的な実施手順があるため、データ取得の際に撮影した技術実施時の動画データと手指運動データを照らし合わせながら、採血技術の各手順に特定の範囲を動いている手指運動データが確認できるかどうかを対応させる分割表(サイズは2×8)を生成して、熟練者と初学者の手指運動に差異が見られることを確認している。生成された分割表には0の要素が多く含まれる他、たくさんのサンプルデータを収集することも困難であるため、分割表の独立性検定を行う際には、漸近理論に基づく方法でなく、Fisherの正確検定を使用するのが妥当であると考えられる。
研究の課題(できていないこと)
熟練者の手指運動の特徴を抽出するために、採血技術の手順とその際の手指運動の特徴を対応させる分割表を生成したところ、熟練者と初学者の分割表には違いが見られることを報告した。
しかしながら、生成した分割表から、熟練の技術が特に必要となる作業部分が特定するには至っておらず、現在のデータ取得方法では、暗黙性を含むデータが取得されているか不明である。また、手指運動データは多変量時系列データであり、手指の物理運動と看護技術という人間の知的活動が混在するデータでもあるため、これらのデータを解析する有用な手法を考案する必要がある。そのため、計算数学の手法を応用したデータ解析についても今後の課題となっている。 |