数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 健康増進・ヘルスプロモーションに関する数学ニーズの発掘
採択番号 2014E06
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明
キーワード 確率過程論 、数学教育 、形の科学 、健康増進 、ヘルスプロモーション
主催機関
  • 福井大学大学院工学研究科プロジェクト研究センター次世代プロジェクト「数理科学と生体医工学・産業との連携による数学イノベーションの推進エンタプライズ」
運営責任者
  • 高田 宗樹
開催日時 2014/12/26 13:30 ~ 2014/12/26 17:35
開催場所 福井大学文京キャンパス・総合研究棟I・総合大一講義室(〒910-8507 福井市文京3-9-1)
最終プログラム

13:25-13:30 開式の辞 平田隆幸(福井大学・工)

第一部 講演会:健康増進・ヘルスプロモーションに関する数学ニーズの発掘

招待講演

13:30-14:00 数理科学と次世代のデザインとの結びつきー人間にとって本当に良いシステムの構築

    高木隆司(東京農工大学・名誉教授) 

14:00-14:30 逆問題・順問題としての身体モデル-高齢化社会に向けて-

    鈴木康雄(日本福祉大学・健康科学) 

14:30-14:45 産学連携での機器開発実績の実例-インタークロス社の場合

    小田一之(インタークロス株式会社・代表取締役)

休憩

15:00-15:30  快適な視聴ができる立体映像技術の開発とその応用、立体映像視聴に関する提言

     宮尾克(名大・情報)、杉浦明弘(岐阜医療科学大学・健康科学)

15:30-15:55  人の生体情報との対話機能を有するインターフェースデザインに関する研究

        横山清子(名市大・芸工)

15:55-16:10  ウェアラブル機器を用いた生体信号計測と健康管理への応用

    松浦康之(Prince of Songkla University

休憩

第二部 シンポジウム:数学と諸科学の協働による社会貢献を考える-国際的視点に立った福井県における高大連携数理教育の検討と実践-

16:20-16:35  東南アジアにおける高大連携数理教育の実例

    松浦康之(Prince of Songkla University

16:35-17:00 「形の科学」を題材とした川越市と東洋大学の連携講座の紹介

    吉野隆(東洋大学・理工学部)

17:00-17:25 授業開発とデータの分析・活用

    松浦執(東京学芸大学)

17:25-17:30 閉会の辞 高田宗樹(福井大学・工)

参加者数 数学・数理科学:11、 諸科学:31、 産業界:2、 その他:0
当日の論点

 多岐に渡る講演者を招聘したため、2部制を採用した。第一部では「健康増進・ヘルスプロモーションに関する数学ニーズの発掘」に絞って、諸医療・福祉分野における研究題材を紹介頂いた。第二部では「数学と諸科学の協働による社会貢献を考える」ための題材を提供頂いた。

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

 第一部では、できるだけ各研究題材で使われている数理科学・統計的分野にみられる手法を挙げて頂くか、または、数理科学・統計的分野に期待する課題解決力を提示して頂くよう依頼したが、その多くは各研究題材の紹介に終わってしまった。次回以降は1題あたりの講演時間をもう少し長く取り、十分に討論できるように配慮したい。

 第二部では、福井大学COC事業「国際的視点に立った福井県における高大連携数理教育の検討と実践」との共催で、数学イノベーションを担う次世代研究者の発掘および育成を目標に討論を行った。20歳未満の聴衆に恵まれ、目標の達成に近づいたと思われる。また、タイ国立Prince of Songkla大学附属高校にみられる数学教育についても報告され、日本の数学教育との相違点についても議論された。これが発端となり、教材を通した同校との国際交流が図られることになった。

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

 数理科学・統計的分野における手法は、研究者の意図が入り、結論が導き出されることがあるといった事例が挙げられ、議論された。これは全ての分野に共通した問題であり、今後も注意を要する。また、産学関連(「逆問題・順問題としての身体モデル-高齢化社会に向けて」や「産学連携での機器開発実績の実例-インタークロス社の場合」)のフロアの議論では、データが有限であることから、無限に要素があることを想定した数理科学理論の定義や仮定が成り立たず、データ分析する際の計算に苦慮する場合や誤解が生じる事項がいくつか報告された。この種の話題については統計学的な取り扱いや考察が散見されるものの、コンセンサスが得られている訳ではない。数学イノベーションを創出する上で、こうした視点で抽出された問題を議論したり、その結果を広く啓蒙して、データサイエンティストの共通の土台を構築することは大変、有益なことと考えられる。今後、解決すべきことである。

 国際的な視点を導入することによって、地域特有の問題を抽出することができ、その問題を解くきっかけが得られた。数学イノベーションを担う次世代研究者の発掘および育成を目標に教材開発を継続させる上で、教材の国際化や数学教育に関する国際交流を図ることは、今後とも大変有益であると考えている。

今後の展開・フォローアップ

 運営責任者は形の科学出版幹事であり、国際誌Formaの編集委員長を兼ねている。本研究会の講演者を中心に特集号を組み、その記録を残す予定である。形の科学会では合宿型の研究集会を企画することもできるため、次年度以降も、福井大学大学院工学研究科次世代プロジェクト「数理科学と生体医工学・産業との連携による数学イノベーションの推進エンタプライズ」および福井大学COC事業「国際的視点に立った福井県における高大連携数理教育の検討と実践」等の支援を受けて、本研究会を継続させていく。