数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 ウェーブレット理論と工学への応用
採択番号 2014E05
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明
キーワード ウェーブレット解析 、音声・画像処理
主催機関
  • 大阪教育大学
運営責任者
  • 守本 晃
  • 芦野 隆一
開催日時 2014/11/07 13:00 ~ 2014/11/08 12:30
開催場所 大阪教育大学 天王寺キャンパス
西館2階・第5講義室
詳しくは,
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~morimoto/TENWS/ws2014HP/
最終プログラム

平成 26 年 11 月 7 日(金)13:00 -- 18:00

13:10--14:10 藤ノ木 健介(東海大学)
リフティングウェーブレットと信号解析

14:25--15:25 章 忠,嶋末 昂祐,戸田 浩,三宅 哲夫(豊橋技術科学大学)
Meyer ウェーブレットを用いたリフティングスキームによる複素数離散ウェーブレット変換

15:40--16:40 岡 康之(釧路高専)
シュワルツの核型定理と時不変連続線形システムについて

16:55--17:55 新井 康平(佐賀大学)
薬草識別のためのウェーブレット

平成 26 年 11 月 8 日(土)9:00 -- 13:00

9:00--10:00 佐藤 創(元専修大学)
コンパクトサポートをもつウェーブレットの補間・補外に関するパラメータ領域における考察

10:15--11:15 川崎 秀二(岩手大学),木戸 元之(東北大学)
地震解析のための海底変位計測のウェーブレット相関法

11:30--12:30 岡田 正已,森田 正紀(首都大学東京)
不規則サンプリング補間と近似誤差の数理

概要・座長入りプログラムおよび予稿集は以下のホームページからダウンロードして下さい.
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~morimoto/TENWS/ws2014HP/

参加者数 数学・数理科学:28、 諸科学:9、 産業界:3、 その他:0
当日の論点

・離散ウェーブレット変換を高速に計算する方法にリフティングがある.
リフティングを用いた新世代のウェーブレット解析の説明と無限長フィルタ(Meyer)に
リフティングを用いる場合の問題点などの指摘があった.

・熱核と線形システム
線形システムの鍵になる「シュワルツの核定理」を熱核の方法で易しく
いろいろな関数空間で証明できることを示した.
線形システムの同定は,ウェーブレット変換と相性がよい.

・薬草識別(一カ所取りだし,輪郭記述子,テクスチャ)
デジタルカメラで葉の写真を撮って,そこから,何の薬草かを判別したい.
葉の輪郭や葉脈などのテクスチャ情報を利用する.
一枚の葉を切り出す方法,スケーリング・回転・ライトの方向などの明るさ変換
に強い特徴量の選び方の提案があった.
医療研究への応用に関して質問があった.  

・コンパクトサポートをもつウェーブレットの補間・補外に関するパラメータ領域における考察
短い直交・双直交フィルタ係数と対応するスケーリング関数・ウェーブレット関数がどのように
特徴付けられるかを研究した.

・地震解析のための海底変位計測のウェーブレット相関法
船から,海底に固定したトランスポンダに音波を送り,返信波との時間遅れから,
トランスポンダの正確な位置を推定するために,
M系列に従った音波を発信し,離散ウェーブレット変換の係数の相関から時間遅れを推定する方法の
提案があった.

・不規則サンプリングの補間
不規則サンプリングを補間する方法の開発は重要である.

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

・リフティングでは,有限長フィルタは実装できるが,無限長の場合に有限長でカットオフした影響
を調べる.
・薬草識別では,簡単な回転(45度,90度)と拡大(1.5倍)程度には対応できる.
アファイン変換で不変な特徴量を効率よく求める課題がある.
・海底変位計測の信号処理では,レベルの異なるウェーブレット係数の和を取るなど
よく分からない処理がなされていた.精度をもう少し上げたいらしい.
・不規則サンプリングの補間では,観測点がある程度均一に沢山ある場合の方法が議論された.
観測点が少ないときや,均一でない場合などの課題がある.

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

・リフティングでは,無限長フィルタを有限で切った場合に,対応するウェーブレット関数の
性質などを調べる必要がある.
・海底変位計測の信号処理では,定常ウェーブレット変換(SWT)の利用などが提案された.
M系列に従った信号を用いる方法は,音声への電子透かしなどに利用できそうである.
・薬草識別では,葉の輪郭線のウェーブレット記述子や回転不変モーメントについて,
他の分野(医療画像から腫瘍などの部分を抽出する方法)に使えないかとの提案があった.
・不規則サンプリングの補間では,観測点が少ないときや,均一でない場合などの課題がある.

今後の展開・フォローアップ

共同研究などの提案に答えて,ふさわしいと思われる研究者を紹介する.
ホームページに予稿集を載せる.
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~morimoto/WSPRO/index.html
参加者から共同研究の提案があった.