
1) 文部科学省研究振興局基礎研究振興課 課長 行松 泰弘氏来賓挨拶要旨
数学は、様々な学問の共通言語であり、対象とする実体を抽象化・普遍化する力を有している。この数学を活用して、社会的ならびに経済的価値を生み出す革新すなわち『数学イノベーション』が今後の政策を展開する上で重要なカギとなる。このような背景から、平成26年8月にその政策指針である『数学イノベーション戦略』を取りまとめた。
数学イノベーションを推進するための政策上の課題の一つとして人材育成が挙げられる。特に、『若手数学者の産業界へのキャリアパス構築の支援』が今以上に必要となる。産学協働のもと若手数学者のための交流の場を設けた本研究交流会は大変有意義なものになるであろう。
2) 日本経済団体連合会社会広報本部 副本部長 長谷川 知子氏来賓挨拶要旨
平成26年6月に経団連会長に就任した榊原東レ会長は「グローバル社会において日本が勝ち抜くための生命線はイノベーションである」と常々申している。そのことからも数学イノベーションに大きな期待を寄せている。
イノベーションを持続的に生み出すためには、分野横断的複合領域において革新的ビジネスモデルをデザインできる人材の輩出が重要かつ喫緊の課題である。経団連では、産学協働により、このようなイノベーション・グローバル人材の育成を狙ったカリキュラム開発やその実践に取組んでいる。今回、人材育成活動の一環として本研究交流会を後援させていただいた。本研究交流会が、イノベーションを担う人材の輩出に繋がることを切に期待している。
3) 基調講演「産学協働による若手研究者の躍動に向けて-社会イノベーション事業における数学・数理科学系出身者の活躍-」
講師:日立製作所 研究開発本部研究開発グループ 技師長 内山邦男氏
数学・数理科学は、日立グループが扱う広範な分野における社会イノベーション事業推進のための研究活動や技術開発の基盤となっている。数理科学出身である講演者の実体験や、日立グループにおいて社会イノベーション事業を支える数学・数理科学と、そこで活躍する人材について、ヘルスケアサービスと情報セキュリティーサービス等の具体例を交えながら紹介した。
4) 参加企業紹介
参加企業21社より、数学・数理科学が活かされている業務活動や本分野の学生のインターンシップ・採用実績等が紹介された。
情報セキュリティー、ビッグデータ解析、画像・音声認識、製造工程・鉄道運用工程等のプロセス効率化、金融・保険商品の分野において、数学・数理科学が貢献していることが紹介された。
5) 若手研究者によるポスター発表
36名の若手研究者により研究成果の発表がなされた。

6) 個別交流会
若手研究者が協力企業のブースを訪問し、企業側研究者・人事関係者と意見交換を行った。

7) 情報交換会
若手研究者と企業関係者が忌憚のない情報交換会を行った。
詳細については、下記を参照されたい。
日本数学会会員誌「数学通信」第19巻第4号(2015年2月発刊予定)
【URL】http://ikegawa.sakura.ne.jp/paper/sugaku_tsushin2015_2.pdf |