数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 数学・数理科学専攻若手研究者のための異分野・異業種研究交流会
採択番号 2014C01
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明 、疎構造データからの大域構造の推論 、過去の経験的事実、人間の行動等の定式化 、計測・予測・可視化の数理 、リスク管理の数理 、最適化と制御の数理
キーワード キャリアパス構築支援 、若手人材育成 、産業界での課題発掘 、産業界での産学協働
主催機関
  • 日本数学会
運営責任者
  • 池川 隆司
開催日時 2014/10/25 13:00 ~ 2014/10/25 20:00
開催場所 東京大学駒場キャンパス数理科学研究科棟
最終プログラム

13:00~13:05:開会挨拶

            日本数学会理事長 東京大学大学院数理科学研究科 教授 舟木 直久 氏
13:05~13:15:来賓挨拶

            文部科学省研究振興局基礎研究振興課 課長 行松 泰弘 氏

            日本経済団体連合会社会広報本部 副本部長 長谷川 知子 氏

13:15~13:50:基調講演「産学協働による若手研究者の躍動に向けて-社会イノベーション事業における数学・数理科学系出身者の活躍-
            講師:日立製作所 研究開発本部研究開発グループ 技師長 内山邦男氏
     ―休憩―
14:00~15:00:参加企業紹介
15:00~17:00:若手研究者によるポスター発表
17:00~18:00:個別交流会(若手研究者が企業ブースを訪問)
18:30~20:00:情報交換会(会費制)

主催:日本数学会

共催:日本応用数理学会、統計数理研究所「数学協働プログラム(文部科学省委託事業)、東京大学数物フロンティア・リーディング大学院

後援:日本経済団体連合会

 

協力大学機関(五十音順):大阪大学大学院基礎工学研究科

京都大学大学院理学研究科・数理解析研究所、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所

慶應義塾大学統合数理科学研究センター、東京工業大学大学院理工学研究科

東北大学大学院理学研究科・情報科学研究科、名古屋大学大学院多元数理科学研究科

北海道大学大学院理学研究院、明治大学先端数理科学インスティテュート

早稲田大学非線形偏微分方程式研究所

 

協力企業(五十音順):アイシン・エィ・ダブリュ株式会社、旭硝子株式会社、株式会社東芝

株式会社ニコン、株式会社三井住友銀行、株式会社日立製作所、株式会社富士通研究所

株式会社三菱東京UFJ銀行、公益財団法人鉄道総合技術研究所、サイバネットシステム株式会社

新日鐵住金株式会社、住友生命保険相互会社、ソフトバンクモバイル株式会社、大同生命保険株式会社

トヨタ自動車株式会社、日本生命保険相互会社、日本電気株式会社、日本電信電話株式会社

日本ユニシス株式会社、BNPパリバ証券株式会社、ライフネット生命保険株式会社

参加者数 数学・数理科学:62、 諸科学:4、 産業界:58、 その他:4
当日の論点

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1) 文部科学省研究振興局基礎研究振興課 課長 行松 泰弘氏来賓挨拶要旨

 数学は、様々な学問の共通言語であり、対象とする実体を抽象化・普遍化する力を有している。この数学を活用して、社会的ならびに経済的価値を生み出す革新すなわち『数学イノベーション』が今後の政策を展開する上で重要なカギとなる。このような背景から、平成26年8月にその政策指針である『数学イノベーション戦略』を取りまとめた。

 数学イノベーションを推進するための政策上の課題の一つとして人材育成が挙げられる。特に、『若手数学者の産業界へのキャリアパス構築の支援』が今以上に必要となる。産学協働のもと若手数学者のための交流の場を設けた本研究交流会は大変有意義なものになるであろう。

2) 日本経済団体連合会社会広報本部 副本部長 長谷川 知子氏来賓挨拶要旨

 平成26年6月に経団連会長に就任した榊原東レ会長は「グローバル社会において日本が勝ち抜くための生命線はイノベーションである」と常々申している。そのことからも数学イノベーションに大きな期待を寄せている。

 イノベーションを持続的に生み出すためには、分野横断的複合領域において革新的ビジネスモデルをデザインできる人材の輩出が重要かつ喫緊の課題である。経団連では、産学協働により、このようなイノベーション・グローバル人材の育成を狙ったカリキュラム開発やその実践に取組んでいる。今回、人材育成活動の一環として本研究交流会を後援させていただいた。本研究交流会が、イノベーションを担う人材の輩出に繋がることを切に期待している。

3) 基調講演「産学協働による若手研究者の躍動に向けて-社会イノベーション事業における数学・数理科学系出身者の活躍-」

 講師:日立製作所 研究開発本部研究開発グループ 技師長 内山邦男氏

  数学・数理科学は、日立グループが扱う広範な分野における社会イノベーション事業推進のための研究活動や技術開発の基盤となっている。数理科学出身である講演者の実体験や、日立グループにおいて社会イノベーション事業を支える数学・数理科学と、そこで活躍する人材について、ヘルスケアサービスと情報セキュリティーサービス等の具体例を交えながら紹介した。

4) 参加企業紹介

 参加企業21社より、数学・数理科学が活かされている業務活動や本分野の学生のインターンシップ・採用実績等が紹介された。

  情報セキュリティー、ビッグデータ解析、画像・音声認識、製造工程・鉄道運用工程等のプロセス効率化、金融・保険商品の分野において、数学・数理科学が貢献していることが紹介された。

5) 若手研究者によるポスター発表

 36名の若手研究者により研究成果の発表がなされた。

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6) 個別交流会

 若手研究者が協力企業のブースを訪問し、企業側研究者・人事関係者と意見交換を行った。

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7) 情報交換会

 若手研究者と企業関係者が忌憚のない情報交換会を行った。

 

 詳細については、下記を参照されたい。

日本数学会会員誌「数学通信」第19巻第4号(2015年2月発刊予定)

【URL】http://ikegawa.sakura.ne.jp/paper/sugaku_tsushin2015_2.pdf

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

現状

・アンケート結果を通した博士修了生の進路状況の把握

課題

・費用対効果を意識した活動の推進

 

 詳細については、下記を参照されたい。

池川 隆司(招聘委員): “数学・数理科学分野の若手研究者のキャリアパス構築に向けて-日本数学会における産学連携を通した支援活動-”, 文部科学省数学イノベーション委員会, 2014年5月27日.

 【URL】http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu17/002/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2014/08/19/1351030_04.pdf

 

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

企業側アンケート調査結果によると、「今後も継続して欲しい」等の好意的な回答が多かった。しかし、交流を促進する工夫(例えば、個別相談会の時間を増やす、若手研究者・企業関係者の参加意欲を高めるためのインセンティブ)が必要であることが明らかになった。

今後の展開・フォローアップ

1) 日本数学会主催「第4回数学・数理科学のためのキャリアパスセミナー」にて本研究交流会の成果や課題を報告。

2) 日本数学会会員誌「数学通信」での開催模様の発表を通した、本研究交流会の開催意義の学会員への浸透。

3) 日本数学会社会連携協議会での議論を通した、「産」と「学」の関係者がWin-Winとなる関係の構築模索。