数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 正定対称行列をめぐるモデリング・数理・アルゴリズムの世界
該当する重点テーマ 最適化と制御の数理
キーワード 正定対称行列, 最適化,制御,統計, 機械学習, 信号処理, 数値計算, 情報幾何,ジョルダン代数,リーマン幾何
主催機関
  • 政策研究大学院大学
運営責任者
  • 土谷 隆
開催日時 2014/01/14 00:00 ~ 2014/01/15 00:00
開催場所 政策研究大学院大学 想海楼ホール(東京都港区六本木) http://www3.grips.ac.jp/~tsuchiya/psd
最終プログラム

文部科学省数学協働プログラムワークショップ

「正定対称行列をめぐるモデリング・数理・アルゴリズムの世界」

のお知らせ

 

政策研究大学院大学  土谷 隆

 

  文部科学省数学協働プログラムワークショップ「正定対称行列をめぐるモデリング・数理・アルゴリズムの世界」を下記の要領で開催することとなりましたのでここにご案内申し上げます.

21世紀の数理モデリングにかかわる重要な課題である正定対称行列について関連諸分野の研究者の交流する機会となればと思っておりますので, 数学, 数値解析, 統計, 機械学習, 制御, 信号処理, 最適化, これらの分野に限らず, 正定対称行列がかかわる分野の多くの方々のご参加をお待ちしております.

なお,数学協働プログラムは文部科学省の科学技術試験研究委託事業として統計数理研究所が中核機関となり8つの協力機関と連携して実施しているものです.

 

 

        日時:2014年1月14日(火)~15日(水)

        場所:政策研究大学院大学 想海楼ホール

           〒106-8677 港区六本木7-22-1

           地下鉄千代田線乃木坂駅下車徒歩約7分

           地下鉄日比谷線六本木駅下車徒歩約7分

        本ワークショップのホームページ:

        http://www3.grips.ac.jp/~tsuchiya/psd

        [問合せ先:土谷 隆 (Tel. 03-6439-6130,

         Fax. 03-6439-6130, e-mail: tsuchiya@grips.ac.jp )]

 

プログラム(共著の場合は先頭が講演者です)

1月14日(火)

10:00~10:55線形計画問題と半正定値計画問題の幾何学的構造について

        土谷隆(政策研究大学院大学)

10:55~11:50 等質錐の行列実現とその応用

        伊師英之(名古屋大学多元数理科学研究科)

13:00~13:55 チューブの体積を最小にするフーリエ・多項式最適実験計画

        栗木哲(統計数理研究所)

13:55~14:50 Karcher means of positive definite matrices

        Yongdo Lim (Department of Mathematics, Sungkyunkwan University, Korea)

15:00~15:55 離散ヘッセ行列と離散凸関数

        室田一雄(東京大学数理情報学専攻)

15:55~16:50 超大規模半正定値計画問題に対する高性能汎用ソルバの開発と評価

        藤澤克樹(中央大学経営システム工学科 & JST CREST)

16:55~17:50 対数行列式とL1ノルム項をもつ半正定値計画問題に対する非単調スペクトル射影勾配法

        福田光浩(東京工業大学数理・計算科学専攻)

        中垣敬(ヤフー株式会社)

        山下真(東京工業大学数理・計算科学専攻)

1月15日(水)

10:00~10:55 正定値対称行列上の情報幾何とそのいくつかの応用

        小原敦美(福井大学電気電子工学専攻)

10:55~11:50 Wishart型行列ファクター過程モデルに関する動的ポートフォリオ最適化

        関根順(大阪大学システム創成専攻)

13:00~13:55 数理計画の実務と正定値対称行列

        田辺隆人(NTTデータ数理システム)

13:55~14:50 ランダム共分散行列の漸近固有値分布

        田中利幸(京都大学システム科学専攻)

15:00~15:55 正定対称行列空間の不変なダイバージェンスの族と双対平坦情報幾何学

        甘利俊一(理化学研究所脳科学総合研究センター)

15:55~16:50 変分法データ同化と正定対称行列

        藤井陽介,碓氷典久,丹羽洋介(気象研究所海洋・地球化学研究部)

16:55~17:50情報行列のスカラー化として導入される経験度を用いた外挿の限界の検討

        北野利一(名古屋工業大学社会工学専攻)

参加者(総数、内訳) 64名(内 大学・大学共同利用機関49名,公的研究機関8名,民間企業5名,不明2名)
当日の論点

本ワークショップにおいては,公募による講演募集を行った.企画者だけで講演者をお願いすると狭くなりがちである. 公募により分野も広がり,結果として大変良かったと思っている. 各講演を敢えて「モデリング・数理・アルゴリズム」の視点から分類すると以下のようになる.

モデリング:

・危険率の捉え方,外挿の限界の検討(北野)

・Wishart 型行列ファクター過程モデルに関する動的ポートフォリオ最適化(関根)

・チューブの体積を最小にするフーリエ・多項式最適実験計画(栗木)

・数理計画の実務と正定値対称行列(田辺)

・変分法データ同化と正定対称行列(藤井)

数理:

・正定対称行列空間の不変なダイバージェンスの族と双対平坦情報幾何学(甘利)

・正定値対称行列上の情報幾何とそのいくつかの応用(小原)

・Karcher means of positive definite matrices (Lim)

・等質錐の行列表現とその応用(伊師)

・ランダム共分散行列の漸近固有値分布(田中)

・離散凸解析とヘッセ行列(室田)

アルゴリズム:

・線形計画問題と半正定値計画問題の幾何学的構造について(土谷)

・超大規模半正定値計画問題に対する高性能汎用ソルバの開発と評価(藤沢)

・対数行列式とL1 ノルム項をもつ半正定値計画問題に対する非単調スペクトル射影勾配法(福田)

 

分野の異なる研究者が一堂に会して議論したり知り合う機会を作れたことは有意義であった.

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

本研究集会の横断的性格上,研究の現状や課題は各発表(に対応する分野)ごとに異なる.

現状ある程度できていることは,例えば以下の通りである:

・正定対称行列上の種々のダイバージェンスの平均の導入と性質の解析

・等質錐の行列表現

・悪条件半正定値計画問題の構造の理解 ・数千次元の半正定値対称行列の最適化

今後の課題としては以下のようなものが考えられる:

・新しいダイバージェンスや等質錐の行列表現のモデリングへの活用

・数万次元の大規模半正定値対称行列の最適化

・悪条件半正定値計画問題の解法

・今回の研究集会での発表トピックスからの具体的な共同研究の展開

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

半正定値対称行列は横断的な分野であると考えて,本研究会を企画した. 結果として,いろいろな分野に散在していたものを俯瞰することができ,有意義であった. 本研究会で取り上げられたのは,正定値対称行列が関連する数理的分野の一部である. 今後の課題はこれをさらに組織的に展開することであると考える.

 

今後の展開・フォローアップ

もう一度同趣旨の研究集会を開催する;競争的資金を申請し,関連する諸分野で種々の共同研究を行うためのプラットフォームを構築する;の2つが考えられる.