数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 計算材料科学と数学の協働によるスマート材料デザイン手法の探索 II
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明 、疎構造データからの大域構造の推論 、計測・予測・可視化の数理 、最適化と制御の数理
キーワード マテリアル・インフォマティク、データ同化,スパース情報処理、マルチスケール解析、離散幾何解析
主催機関
  • 東北大学原子分子材料科学高等研究機構
運営責任者
  • 小谷 元子
開催日時 2014/01/08 13:30 ~ 2014/01/09 14:50
開催場所 東北大学原子分子材料科学高等研究機構
詳細: http://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/mathematics_unit/coop-mathworkshop/
最終プログラム

 

January 8

13:30-15:10 Masato Okada (University of Tokyo) 

“Bayesian spectral deconvolution and sparse modeling”

15:20-16:10  Shinji Saito (Institute for Molecular Science)

“Spatio-tempotal heterogeneous dynamics in condensed phases”

16:30-17:20  Krishna Rajan (Iowa State University)             

“Data Dimensionality and Data Topology in Materials Science”

Discussions

 

January 9

10:00-10:50  Koji Hukushima (University of Tokyo)

“Inference of an effective physical model from STM imaging data : an example of data-driven science in condensed matter physics”

11:00-11:20  Takenobu Nakamura (Tohoku University)

“A characterization of the amorphous silica structure by persistent homology” 

11:30-11:50  Chihiro Nakajima (Tohoku University)

“Reconstruction of the 3D structure of the nanocrystals using Monte Carlo method”

12:00-12:20  Natsuhiko Yoshinaga (Tohoku University)

“Dynamics of shape in nonequilibrium soft materials”

14:00-14:50  Tetsuo Mohri (Tohoku University)

“First-principles multiscale calculations for microstructure evolution process” 

参加者(総数、内訳) 40名(大学:30名、研究機関:10名)
当日の論点

日本の強みを活かすマテリアル・・インフォマティクスのあり方が問われている。近年発展の著しい情報学・数理統計の手法と、最先端の計算物質科学の知見を組み合わせ、更に幾何学の発想を織り込むことで、スマート材料デザインの新たな手法を探索する。世界動向も踏まえ、日本の強みを活かすマテルアル・インフォマティクスのあり方を探るのが、本ワークショップの目的である。

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

材料科学には多くの知識とデータの蓄積があり、しかしそれがインフォマティックの手法で活用されるためには、多くの課題がある。

 

大規模データに潜む構造の抽出:大規模データといえど、実際にはその分布は疎な空間にあると思われる、現象の物理的理解に基づく、もしくはデータの構造から読み取る、双方向から本質的なパラメータ空間を特徴づけることが大切である。

 

時間スケールや空間スケールの階層性:マテルアル・インフォマティクスの狙いは、物質シミュレーションによるデータ、および実物の測定結果の有効活用にある。実材料を指向するため、データとして静的で単純なものだけでなく、熱力学的で複雑なものも対象となる。それらは時間スケールや空間スケールの階層性を内包し、場合によっては非平衡力学的としての振る舞いも見せるであろう。これらを統合的に扱うことでミクロとマクロをつなぎ、対象とする機能や物性が何に由来しているのかを知ることが重要なチャレンジとなるだろう。

 

次元削減・次元最適化:超多次元空間をサンプリングするための、大規模データの扱い、特に大域構造を予想する手法が必要となる。その大域構造に対して次元削減・次元最適化を行うことで、適切なパラメータ軸を非経験的に発見できるであろう。こうして得られたパラメータ軸は何らかの秩序を表すものであり、有意な階層を抽出したことになっていると期待する。

 

機能発現の機構:成分の配合バランスが少し変わるだけで材料の機能が大きく変化するような場合は、原子・分子レベルの超多体系からのマクロな現象まで、階層に応じて複数段のスケール変換でミクロとマクロをつなぐことで、決定論的因子を特定することが課題である。わずかな添加物の存在が機能発現に果たす役割とその要因を探ることができれば、計算材料科学のブレークスルーとなる。

 

非平衡系の取り扱い:バイオの分野においては、少数分子の振る舞いが生体のマクロな状態変化をどのように制御しているかを調べるために、局所平衡を仮定しない非平衡力学系の取り扱いが展開されている。そうした取り組みを、材料物質を合成した際の欠陥や組織構造の時間発展に適用する上で、物質シミュレーションとどう連携させうるのかについても重要な視点である。

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

スタディ・グループと共通であるが、材料科学は複雑な要素が絡んでおり、これを数理の力で普遍的に取り扱えるようにするためには、多くの課題を解決しなくてはいけない。また、そのためには数理科学者・情報科学者・計算材料科学者・物質材料科学者が一体となったチームが必要である。

今後の展開・フォローアップ

今後も継続して研究会・勉強会を行う。