数学・数理科学と共に拓く豊かな未来 数学・数理科学と諸科学・産業の恊働による研究を促進するための「議論の場」を提供
項目 内容
研究集会等の名称 マテリアル・インフォマティクスにおける数理的課題
該当する重点テーマ ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明 、疎構造データからの大域構造の推論 、計測・予測・可視化の数理 、最適化と制御の数理
キーワード マテリアル・インフォマティク、データ同化、スパース情報解析、マルチスケール解析、離散幾何解析
主催機関
  • 東北大学原子分子材料科学高等研究機構
運営責任者
  • 小谷 元子
開催日時 2014/01/06 10:00 ~ 2014/01/07 17:00
開催場所 東京都千代田区五番町7 K’s五番町 JST 会議室
詳細: http://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/mathematics_unit/coop-mathworkshop/
最終プログラム

Study Group: Mathematical approaches in Materials Informatics
Date: January 6th (Mon.)–January 7th (Tue.), 2014

Organizing Committee:
Kazuto Akagi (Tohoku), Nobuaki Obata(Tohoku), Isao Tanaka(Kyoto), Masaru Tsukada(Tokyo), Shinji Tsuneyuki (Tokyo), Kenji Fukumizu(ISM), Motoko Kotani (Tohoku)
Supported by Coop-Math Program by the MEXT, WPI-AIMR Tohoku University,
Co-sponsored by JST-CRDS、Computational Materials Science Initiative(CMSI), 構造材料元素戦略研究拠点、科研費新学術領域「ナノ構造情報」(田中功)、「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」(岡田真人)


January 6th

10:00            Isao Tanaka (Kyoto University)

                     “OPENING”

10:15-12:00  Krishna Rajan (Iowa State University)

 “MATERIALS INFORMATICS: PRINCIPLES AND APPLICATIONS”

I. Mapping and Systematics of Materials Data

13:30-15:00  Krishna Rajan (Iowa State University)

 “MATERIALS INFORMATICS: PRINCIPLES AND APPLICATIONS”

II. Elements of Data Mining

15:30-17:00  Short presentations

             Tetsuo Mohri (Tohoku University), Kazuto Akagi (Tohoku University), Shinji TsuneyukiUniversity of Tokyo

January 7th

9:30-12:00  Ryo Yoshida (Institute of Statistical Mathematics)

             “Bayesian Statistics for Data Assimilation”

13:30-15:00  Krishna Rajan (Iowa State University)

 “MATERIALS INFORMATICS: PRINCIPLES AND APPLICATIONS”

III. Applications and Case Studies

15:30-17:00  Discussions, Chair Motoko Kotani (Tohoku University)

 “Mathematical Challenge to Materials Informatics- How we enhance Materials Science in Japan”

 

参加者(総数、内訳) 55名(大学:31名、研究機関等:19名、企業:5名)
当日の論点

様々な要素が混在的に相互作用し機能を発現する材料のデザインを、計算科学によって統一的に扱うために必要な課題はなにか、また日本の強みを活かしたマテリアル・インフォマテックのありかたはどのようなものか

 

1.海外のマテリアル・インフォマテック関連での動きは活発になっているが、まだ十分に日本の独創的なアプローチがありえる。

2.バイオインフォマティクや脳・神経科学で開発された手法を取り入れることが可能であるが、第一原理が不明であるライフ系の課題に比して、物質・材料科学には「第一原理」があり、データ駆動型のインバースアプローチと、第一原理計算に代表されるフォワードアプローチの融合をシームレスに行うことが出来る。

3.情報・統計的手法を活かしデータから情報を得るためには、物質・材料科学における知識や課題を情報・統計学者が理解する必要がある。チュートリアルなどお互いを知る機会が重要。

4.材料研究者と情報科学者、数学者がセットで入るような仕組みを作ることはその有効な手段となる。

5.日本の基幹産業である材料開発にとって、マテリアル・インフォマティックは重要なキーテクノロジーとなる。

研究の現状と課題(既にできていること、できていないことの切り分け)

マテリアル・インフォマティクスを構築するためには、材料科学・物質科学による現象に対する豊富な蓄積や理解と、データマイニングや統計などのデータ解析の技術とが、一体的に議論されなくてはいけない。

1.データから有益な知識をうまく抽出するためには、そのデータの成り立ち、ドメインの知識を、統計科学者自身がある程度知っている必要がある。

2.マテリアル・インフォマティクスでは、第一原理計算による計算結果などがデータとなるので、ある程度の背景知識がないとデータの意味がつかみにくいように思われる。

3.材料科学の目的は多岐にわたっていると思われるので、マテリアル・インフォマティクスで蓄積されるデータからどのような知識を抽出するとありがたいのかも、統計学者にはすぐに理解しやすいとは言えない。

4.バイオインフォマティクスは統計学者、機械学習研究者の間でも非常にポピュラーになったが、その背景には、マイクロアレイなど理解しやすく扱いやすいデータ構造と、癌/健常者を分ける遺伝子の選択問題など、わかりやすく重要性が理解しやすい目的の存在があったと思われる。

5.以上のことから、材料科学と統計科学・数学との連携を進めるためには、以下のような進め方がよいのではないかと思う。

(1)マテリアル・インフォマティクスで蓄積されるデータの性質、その意味を、統計科学者や数学者が理解できるようなチュートリアルの開催

(2)データ解析によってどのような知識を得たいかに関して、具体的で重要な問題群をリストアップし、その意義を共有する機会を作る。

例えば、データと問題がある程度固まれば、統計・機械学習研究者向けに、データ解析コンペティションをオーガナイズするなども有効かもしれない。

新たに明らかになった課題、今後解決すべきこと

上記のとおり、実行力のあるマテリアル・インフォマティクを構築するためには、計算材料科学者と、情報科学・計算科学・数学者が一体となり、深い議論を重ねる必要がある。また、データの集約と情報の発信が一元化しなくては効果があがらない。これらを考えると、マテリアル・インフォマティックには、議論の場の提供、情報の収集と発信が行える組織的な拠点形成が必要である。

今後の展開・フォローアップ

今後も継続的にワークショップ、勉強会を開催する。海外での動向調査を行う。