既にできていること:
学校閉鎖の閉鎖期間のタイミングとその期間の最適性に関する研究は、既にモデル構築や数値解析が終了し、その一部を原著論文として協働で発表した。本研究の結果、感染リスクを最小にするためには、閉鎖を実施すべき時期は流行ピーク付近であるが、それは基本再生産数をはじめとするダイナミクスに依存することが示された。また、流行の閉鎖期間には最適解が存在しないことが示された。長く閉鎖すればするほど、感染リスクは減少し、どのような期間であろうとも、最小リスクが達成されない。さらに、費用対効果は致死率をはじめとする重症度指標に大きく左右されることが示された。
Nishiura Hiroshi, Ejima Keisuke, Mizumoto Kenji, Nakaoka Shinji, Inaba Hisashi, Imoto Seiya, Yamaguchi Rui, Saito M Masaya, Cost-effective length and timing of school closure during an influenza pandemic depend on the severity. Theoretical Biology and Medical Modelling.2014, 11:5. DOI: 10.1186/10.1186/1742-4682-11-5
できていないこと:
流行モデルの次元の選択(例.空間情報を含むか否か)に関するリアルタイム研究は、研究アイデアに関して参加者内の合意が得られ、データ同化技術を利用してモデルのスイッチングを検討することと、そのための尤度関数についてスタディーグループ当日に議論した。また、本件について、事例の対象となる時間・空間情報の入ったインフルエンザデータを北海道のサーベイランスを基に入手し、データを整理した。学校閉鎖の研究が完了し、今後このデータ同化研究に取り組む予定である。 |