1) 実用的モデルリスク計量化手法の提案:実務家の捉え方、数理科学分野や数理経済学分野で提唱されているモデル不確実性(model ambiguity, uncertainty)の捉え方を摺合せと更なる発展。
2) オペレーショナルリスク計測に使われるべき、数理的手法の考察と発展:大偏差ベースや新しい型の極限定理の考察・応用など
3) 理論的見地からの提案:信用リスクの相関・連鎖、流動性リスク、伝搬(浸透)性リスクの計測・計算に役立つリスク発生のメカニズムも考慮した内生的モデルの構築の重要性
4) 高頻度取引やネットワーク構造を持つ中で伝搬していくリスクを計測していくのに適したリスク尺度の提案
5) 高頻度データ、更に金融に纏わる所謂"ビッグデータ"を解析する統計的・情報科学的手法の考察・発展
6) 保険数理理論と金融ファイナンス理論の融合・統合を目指した個別研究の取り組み(あくまで個別研究の中での統合が積み重ねられた後にのみ、両理論の融合が成されていくと考える)。
7) 金融リスクの監督者側が規制にどう動くか、金融機関側がどう対応するかは各金融機関の哲学や思惑が絡んだ極めて政治的な問題であるように思われる。数理科学研究者の考察項目ではないかもしれないが、応用・社会への還元等を意識する限りは重要な注意点であると思われる。 |