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リスク解析戦略研究センターシンポジウム
~リスク統計数理の最前線~(※終了しました)

2020年8月31日にオンラインで開催しましたリスク解析戦略研究センターシンポジウムに
 多数のご参加をありがとうございました。
 この場をお借りし、講演者そして参加者の皆様に御礼申し上げます。


リスク解析戦略研究センターシンポジウム~リスク統計数理の最前線~

https://www.ism.ac.jp/risk/contents/pdf/risksympo2020.pdf


講演者のご厚意により講演資料を一部公開させて頂くこととなりました。


●「デフォルト解析とモンテカルロ計算   ~レア・イベントに対するアプローチ~
   清水 泰隆(早稲田大学 理工学術院 教授) <資料ダウンロード>


●「データベースに基づく地震の予測など」
   尾形 良彦(統計数理研究所 名誉教授) <資料ダウンロード>



  尚、資料は講演者の著作物であり、著作権法による保護対象です。
 お取り扱いには十分ご注意ください。

 
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【アブストラクト】


●「モンテカルロ計算」 
   鎌谷研吾(大阪大学基礎工学研究科 准教授)


乱数を用いて積分を近似計算する方法である、モンテカルロ積分近似法のチュートリアルです。
前半は、一様疑似乱数の生成法について説明します。
後半から、本題のモンテカルロ積分近似法に入ります。古典的モンテカルロ積分近似法と重点サンプリング法をあつかい、清水先生の、より発展的講義へとバトンタッチします。
(統計ソフトウェアRによる演習を含みますので、Rが実行できる環境があると、より理解を深めていただくことができます)


●「デフォルト解析とモンテカルロ計算   ~レア・イベントに対するアプローチ~」
   清水 泰隆(早稲田大学 理工学術院 教授)


本チュートリアルは確率過程とその応用に関する入門的な講義である。確率過程は金融や保険のリスク解析において多くの応用を持ち、近年では実務でも標準的な道具として用いられる。
そこで、入門編では、もっとも基本的でタイプの異なる2種類の確率過程(ブラウン運動と複合ポアソン過程)について、統計検定準1級の教科書に沿って、その数学的性質からシミュレーション方法までを解説する。

応用編では、それらの信用リスク(credit risk)解析における利用例を紹介し、特にデフォルト確率の計算方法に触れる。実際の計算には、通常、モンテカルロ法が用いられるが、デフォルトなどのレア・イベントについては非常に多くの計算量が必要になる。これらをシミュレーションによって観察し、その効率性を上げるための「(確率過程の)重点サンプリング」というテクニックを紹介する。


●「高次元データ解析と前進型変数選択法」
   本田 敏雄(一橋大学 経済学研究科 教授)


近年のデータ収集技術および計算技術の飛躍的な進歩などにより、標本数に比べて説明変数の数が極めて多く、従来のデータ解析法が適用できないような高次元データの解析は、統計学、リスク解析の重要なテーマとなっている。

本講演は、LassoSCAD、説明変数のスクリーニングなどの高次元データ解析法についての概観から始め、前進型変数選択法の、説明変数のスクリーニング法としての高次元データ解析における役割について説明する。やや古典的な前進型変数選択法ではあるが、高次元データ解析においても十分な役割を果たしうることがわかる。


●「データベースに基づく地震の予測など」
   尾形 良彦(統計数理研究所 名誉教授)


自然災害、疫学、社会事象や金融経済などにおける多様なリスクに関連する包括的なデータベースの蓄積が進んでいます。地震学では、測地学や気象学などの様に、データベースが明治時代以来、時とともに蓄積し、今日までの地震学研究進捗や計測技術とともに関連観測事象も質量ともに充実し、ますます急激に蓄積が進んでいます。現在では、リアルタイムでデータが入手できるようになっていることで、地震の確率の短期予測は喫緊の課題となっています。

本講演では、このようなデータベースを有効利用できる「点過程」と統計科学の予測概念に根ざした各種モデルがどのように生まれ発展しているか、それらによる予測法や解析結果を視覚的に紹介します。

その上で、同様の問題意識を踏まえた上で、リスク関連分野における統計的点過程モデルを開発・発展させる可能性について議論します。