公開シンポジウム「COVID-19データ解析−今後のパンデミックのために−」

【日時】
2024年2月2日(金)
【場所】
ハイブリット形式(統計数理研究所@大会議室またはZoomによるオンライン)
【参加費】
無料
【参加申込】
以下のフォームよりお願いいたします(申込締切:1月20日(土))
https://forms.gle/oPwc4782sLggfH6m6
【注意事項】
  • 感染症対策の一環として、現地参加いただける方にはマスク着用をお願いしております。
  • 現地参加の希望者数が定員に達した場合は先着順とさせていただきます。それ以降の方にはオンラインでの参加をお願いする場合があります(1月21日頃予定)。予めご了承ください。
【目的】
統計数理研究所では、2020年度より「新型コロナウイルス対応プロジェクト」を立ち上げ、COVID-19の対応を見据えた研究を進めてまいりました。本シンポジウムでは、同プロジェクトから最新の研究成果について報告するとともに、3名の招待講演者を招き、COVID-19に関する現状や分析、今後のパンデミックに向けた取り組みについて、幅広い視点から議論します。
【招待講演者(敬称略)】

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福島雅典
(医学博士、京都大学名誉教授、大阪大学招聘教授、一般財団法人LHS(ラーニングヘルスソサエティー)研究所 代表理事)
1973年名古屋大学医学部を卒業後、京都大学大学院、1976年浜松医科大学助手、1978年愛知県がんセンター病院内科医長を経て、2000年京都大学大学院医学研究科教授に就任、以後京都大学医学部附属病院探索医療センター検証部部長、同外来化学療法部部長、 (公財)神戸医療産業都市推進機構医療イノベーション推進センター(TRI)センター長を歴任。2021年より現職。半生をかけて医療の科学的基盤の構築整備、とりわけ腫瘍内科学、臨床科学、トランスレーショナルリサーチの確立と普及に取り組み、アカデミアにAROネットワークを構築し、膨大なR&Dパイプラインの形成に貢献した。現在、その成果を戦略的統合すべくラーニングヘルスシステムの社会実装に取り組む。
過去40年にわたって、数百の臨床試験、臨床研究、治験の企画運営管理指導に関わり、英文臨床論文は数百を数える。 専門は、トランスレーショナルリサーチ、腫瘍内科学、臨床科学。

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本堂毅
(東北大学大学院理学研究科、 准教授)
仙台出身。東北大学理学部、同大学院情報科学研究科博士課程を修了。京都大学基礎物理学研究所COE研究員などを経て、現在、東北大学大学院理学研究科准教授。その間、パリのキュリー研究所に留学。専門は理論物理学(統計物理学)、生物物理学、医学、科学技術社会論など。感染症対策は専門ではなかったが、所属する臨床環境医学会が専門とするシックハウス症候群と空気感染の機序に共通点があったこと、医学研究で疫学にも慣れていたことから、本格的に取り組むようになった。

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毛柏林
(京都大学経済研究所、特定助教)
上海復旦大学微細電子工学学士。京都大学経済学博士。京都大学経済研究所CAPS研究員を経て、現職。研究分野は機械学習、因果推論、行動ファイナンス。2021年にCAPSのコロナ政策研究チームに参加。他研究機関(大阪大学IDS、大阪大学ISER、EMリヨン経営大学院)の研究者と多領域の実証・実験の共同研究を実施する。因果推論の機械学習への理論拡張の志もある。


プログラム
12:45–12:50開会挨拶
村上大輔(統計数理研究所)
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《セッション1》
12:50–13:15地域間移動に着目したCOVID-19の陽性者数の時空間解析
村上大輔(統計数理研究所)

地域間移動がCOVID-19の感染拡大に及ぼした影響を解析することは、今後のパンデミックへの対策を検討する上で重要である。そこで本研究では、日別の地域間移動データを用いた時空間統計モデリングを行うことで、地域間移動と各地における陽性者数との関係を分析する。また、緊急事態宣言やワクチン接種率などの影響も併せて評価することで、陽性者数の増減に寄与した要因とその時間変化を推論する。

13:15–13:40Public Opinion Mining using Large Language Models on COVID-19 Related Tweets
Vu Tran(統計数理研究所)

Social media platforms have emerged as a significant source of public opinion, offering a massive user-generated data in which user-opinions are valuable if obtainable. Large language models (LLMs) have been in the spotlight recently with suggestions on the emergent abilities to solve tasks that are not explicitly trained for. Thus, this study explores the potential of utilizing LLMs for opinion mining on social media data by asking LLMs difficult questions, instead of simply asking whether the text’s sentiment polarity is either positive, negative, or neutral. This study compares the LLM response statistics and the corresponding public surveys related to COVID-19, including the intention to take vaccination and the stress check. The results indicate that it is promising, but also challenging, to utilize LLMs for the tasks.

13:40–14:05データ駆動型モデルによるCOVID-19流行の記述的挙動の解析
松井知子(統計数理研究所)

我々は確率分布によって記述される進化するシステムの挙動について、その隠された制御戦略を明らかにするためのデータ駆動型フレームワークを考案した。このフレームワークを用い、日本の5県と9カ国におけるCOVID-19流行の記述的挙動を解析した結果、大都市圏ではワクチン接種は感染率の減少に有効であること、死亡率に対するワクチン接種の影響には差があること、各国は政策措置の効果に基づいてクラスタ化することができることなどの知見が得られた。

14:05–14:30COVID-19からの学びと問題解決プロセス
鈴木和幸(電気通信大学)

世界の人口78.9億人に対し2023.8.16までにCOVID-19による
・死者695万人(0.088%, 1000人に一人)
・感染者7.7億人(9.8%, 10人に一人)
という大惨事となった。この3年半を振り返り、日・米・台湾・インド・北欧3ヶ国がとった施策とその結果を振り返り、教訓を導き、将来のvirus流行へ向けてのAll Japan・All Worldとしての問題解決プロセスを下記の三視点に着目し提起する。
視点1. 科学的根拠に基づくトップリーダーの司令塔としての役割
視点2. 品質管理における品質保証の基本モデルへの着目
視点3. Risk Ratingによるハイリスクの方々への重点指向

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14:30–14:45休憩
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《セッション2》
14:45–15:25On Japanese COVID-19 Policy Effect: Evidence from Tokyo and Osaka
毛柏林(京都大学経済研究所、特定助教)

In this study, within a DID framework, we employ two public mobility indices based on NTT Docomo Mobile Kukan Toukei data, and SMCC credit card consumption data to estimate the effect of Japanese COVID-19 policy (the Emergency Declaration and the Manbo Policy) on (1) public mobility, (2) offline credit card consumption by sectors and (3) the speed of infection spreading in Tokyo and Osaka. Throughout the targeted pandemic period—from the first wave to the fifth wave—we find that the policy effectively controls the public mobility and consequently reduces the speed of infection spreading. However, the policy also results in adverse effects on offline credit card consumption across most sectors. Furthermore, the policy effect is heterogeneous, with more influential effect during the first wave compared to subsequent waves. Our estimated policy effect provides evidence for future pandemic policy-making.

15:25–16:05パンデミックスを捉える概念とフレーム:感染経路,超過死亡,経済,そして法
本堂毅(東北大学大学院理学研究科, 准教授)

パンデミック対策はどうあるべきだろう.感染者や死者を抑えるだけなら厳しい対策を取ればよい.しかし,それでは経済は破綻し,貧困による死者も生む.飲食店だけに負担を押し付ければ公平性が損なわれ,法に反する.感染経路や超過死亡の正しい理解も不可欠である.木ではなく森を俯瞰する必要がある.講演では,感染経路,対策と経済・法,超過死亡などを具体例とし,適用限界が明らかなマクロ理論の重要性などを議論したい.

16:05–16:45"利益がリスクに勝る"をリアルワールドデータから検証する 〜どの時点で立ち止まることができたのか?
福島雅典(京都大学,名誉教授; LHS研究所, 代表理事)

COVID-19 パンデミックに対してmRNA-脂質ナノ粒子製剤を「ワクチン」と称して、臨床的意思決定の核心である対リスク利益比について科学的な議論も検証もなされないまま、"利益がリスクに勝る" の謳い文句のもとに、国民がワクチン」接種に扇動された挙句、未増の健康被害が起きた事実から、私たちは学ぶべきことを全て学び、新たな知恵を絞り出し、新しい希望を見いださねばならない。それは我々に課せられた歴史的責務である。

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16:45–17:00休憩
17:00–17:55パネルディスカッション
司会:椿広計(統計数理研究所, 所長)
パネリスト
  • 福島雅典(京都大学,名誉教授; LHS研究所, 代表理事)
  • 本堂毅(東北大学大学院理学研究科, 准教授)
  • 鈴木和幸(電気通信大学, 情報学専攻, 名誉教授)
  • 高橋泰城(北海道大学, 大学院文学研究科, 准教授)
  • 松井知子(統計数理研究所, モデリング研究系, 教授)
17:55–18:00閉会挨拶
椿広計(統計数理研究所, 所長)
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【お問合せ】
E-mail: dmurakaism.ac.jp
※プログラムは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。