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日本人の心の変化を探るために統計数理研究所が昭和28年から実施している『日本人の国民性調査』は、国際比較調査へと発展し、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ブラジルなど多くの国々で、同じ質問文を用いた調査が続けられています。
この調査の分析を通して、各国の国民性の異同や、国民性と文化の関係が明らかにされつつあります。
日本人の国民性調査は、昭和28年(1953年)から5年おきに、同じ質問文で行っている調査で、ほぼ半世紀にわたって日本人の心の動きを追いつづけています。
この調査から、日本人の心の変化についてのいろいろな興味深い発見が得られていますが、この調査の本来の目的は、統計学を用いた日本人研究にあるだけでなく、この調査を素材として、時代の変化に適応した新しい調査法や解析法を開発することにあります。
異なる国で得られた調査データは、標本抽出法の相違や翻訳などの問題があり、単純に比較はできませんが、私たちは、調査データの国際比較可能性を追及して、「連鎖的比較法」を開発してきました。
これは、言語や民族の比較的近い国々を比較の輪で順につないでいき、個々の国を全体の中に位置づける方法です。
質問文の翻訳は、単純な逐語訳ではなく、バック・トランスレイションの繰り返しによって、慎重に各国の言語に変換していきます。
この過程で、既に得られている調査の結果が次々と有効になっていきます。