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学術文化の歩みとともに

統計数理は、学術文化の広い分野で新しい応用を見出しつつあります。

例えば、古文書に使用されている文体、書体などの特徴を、コンピュータによって解析して著者を推定したり、DNAの塩基配列データから類人猿とヒトとの分化の時代を推定するなどの例が挙げられます。

統計的な考え方や手法の応用範囲は、学術文化の各分野で今後ますます拡大するものと考えられます。

§1 DNAによる進化過程の推移

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生物進化の過程で起こるDNAの変化は確率的な現象です。

従って、いろいろな生物のDNAを統計的に比較解析することにより、進化の系統樹を推定することができます。

形態の比較からは、チンパンジーとゴリラとが近い親戚だと考えられていましたが、DNAの解析からヒトとチンパンジーとが最も近い親戚であることが分ってきました。

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§2 計量分析で解く古典の謎

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文章を統計的に分析し、言語学、文学、哲学、歴史学などの研究に役立てる研究が進められています。

例えば、古文書には執筆時期、執筆者などに関し疑問が持たれているものが数多くあります。

このような問題を解決するため、文の長さ、語彙量、単語の出現頻度、品詞の出現頻度などの情報を利用した文章の統計的分析法の研究が続けられており、その一つに言語学や国文学の専門家と共同で行われている「源氏物語」の統計分析があります。

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§3 古墳の形から推定する豪族の勢力範囲

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古代の豪族の墓である前方後円墳の形状を統計的に分析し、形状の類似性から、豪族の勢力範囲や系列関係を推定することが試みられています。

また、遺跡や土器などの遺物の統計分析も進められており、考古学の領域に計量考古学という統計手法を中心とした新しい研究分野が開拓されつつあります。

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