年齢・時代・世代の違いを探る

--コウホート分析の方法--

統計数理研究所   中  村    隆 


  1. コウホート表

 コウホート(cohort)とは,語源的にはローマ時代の軍団のことであるが,今日では人生のある契機をほぼ同時期に経験した人間集団を指すことばとなった.何も冠さなければ出生コウホート(同時出生集団)を意味し,「団塊の世代」といった使い方をするときの世代と同義と考えてよい.

表1 拡大

 表1は,ひきつづき女の「くらし方」<のんきに>の回答比率を年齢層×調査時点別に整理したものである.このような年齢×時代形式のデータ表をコウホート表と呼ぶ.年齢の区分幅と調査間隔がー致している場合には斜め方向に同一コウホートが現われる.たとえば,表1の左上隅のセルは,1953年の第T次調査のとき2024歳,すなわち,昭和37年生まれのコウホートに対応する.このコウホートは,5年後の1958年第U次調査では5つ歳をとるから,2529歳の年齢区分に入る(ただし,同じ対象者を追跡調査しているわけではない).同様に,第V次,第W次と調査が新しくなるにつれ5歳ずつ齢を加え,矢印に示すように表中を移る.1983年の第Z次調査では,昭和37年生まれのコウホートは5054歳になっている.


   目次
 1. はじめに
 2. コウホート表
 
3. コウホート分析
 
4. 識別問題とパラメータの漸進的変化の条件
 
5. べイズ型モデルとABIC
 
6. 分析例
   参考文献


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