連続最適化および関連分野に関する夏季学校とは

本夏季学校では, 連続最適化とその関連分野 (凸解析, 数値計算, 線形代数など) において現在活躍中の研究者からの講義と演習を通して, 基本的な事柄から最先端の動向までを整理・理解することを試みます. これにより, 学生を含む若手研究者の基礎力の養成および新たな研究テーマの発見を目指します. 同時に, 参加者によるポスターセッションにより, 交流の促進を図ります. 若手以外の研究者や隣接分野の研究をしている方の研究の幅を広げる目的での参加も歓迎します.

終了報告

本夏季学校は 78 名の方にご参加いただき, 盛況のうちに終了いたしました. 講演者, 参加者のみなさまありがとうございました. 終了後に講義資料等に加筆・修正をしたものをアップロードしています. 3 日目のクロージングで撮りました集合写真はこちら (1 枚目, 2 枚目, 3 枚目) からダウンロードいただけます.

開催概要

  • 期間: 2024 年 8 月 24 日 (土) -- 26 日 (月)
  • 会場:
    • 現地会場: 統計数理研究所 2 階 大会議室 (アクセス)
    • オンライン会場: オンライン会議システム Zoom (参加申込いただいた方のみにお伝えします.)
    • 注意: 現地会場の進行を優先します. オンライン会場への配信には万全の態勢を敷いていますが, 万が一, 配信ができなくなった際には配信を中止する可能性があります.
  • 参加費: 無料
  • 問い合わせ先: 田中未来 (統計数理研究所) <mirai 🐧 ism.ac.jp>

現地参加者向けの諸注意

  • 講義資料は電子的に配布します. 印刷物の準備はございません.
  • 1 日目と 2 日目はエントランスからご入館いただけません. 正面エントランス左手にあります通用口からご入館いただき, 警備員室に当夏季学校に参加する旨をお伝えください. 正面エントランスと通用口に案内を掲示する予定です.
  • 1 日目と 2 日目は昼食時間帯の弁当販売もありません. 近隣で昼食を入手できる場所は市役所 1 階のセブンイレブンと少数のレストランに限られます. 弁当をお持ちいただくことも選択肢にお入れください.
  • 1 日目の夜にポスターセッション, 2 日目の夜に懇親会を開催します. 懇親会の参加者は 2 日目の昼休み終了時点で確定させる予定です.

講義概要

非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析

  • 講師: 丸茂直貴氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
  • 概要: 非凸最適化問題の中でも,無制約かつ目的関数が滑らかな問題は最も基本的なものです. この問題に対して無数のアルゴリズムが提案されてきました. 本講義では, 古典的な最急降下法や Newton 法から最先端のアルゴリズムまで概観し, それらを目的関数に対する仮定, 使用する微分の階数, 入力パラメータ, 得られる解の性質, 最悪時計算量など多角的な視点で整理します. 今後みなさんがアルゴリズムを選択する際に役立つ知識を提供することを目的としています. また本講義では, 連続最適化アルゴリズムの設計指針や計算量解析の定石も簡単に解説し, 演習でいくつかのアルゴリズムの計算量を解析します. 連続最適化アルゴリズムの設計・解析に携わる方にも有益な内容となることを目指しています.
  • 資料 (2024 年 8 月 29 日更新. クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 本資料の著作権は各著者に帰属し, クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ``表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際'' の下に提供されています.)

数理最適化への数式処理の一応用 ---制約想定が不要な最適性条件の導出---

  • 講師: 庵智幸氏 (大阪大学 大学院情報科学研究科 情報数理学専攻)
  • 概要: 最適解が満たすべき必要条件 (以下, 最適性条件) は, 理論的解析だけでなく解法アルゴリズムの停止条件などにも関連する重要な概念です. 特に, Karush--Kuhn--Tucker (KKT) 条件は, 代数方程式として記述できるという利便性から, 多くの理論やアルゴリズムの基礎となっています. しかしながら, KKT 条件が最適性条件となるためには, 最適解がある追加の条件 (制約想定) を満たす必要があります. つまり, そもそも制約想定を満たさない最適解は, KKT 条件を用いても見つけることができません. 制約想定が不要な最適性条件も提案されていますが, あらゆる許容解が満たしてしまうほど条件が弱い, あるいは点列の収束条件で記述されているために条件を直接解くことが難しい, といった課題がありました. 本講義では, 制約条件を破ることに対してペナルティを課すという古典的な解法に, 射影空間や数式処理といった概念や技術を組み合わせることで, あらゆる最適解が満たし, かつ方程式として記述可能な最適性条件を導出した研究を紹介します. 対象とする問題は, 目的関数や制約が多項式で表現できる制約付き最適化問題です. ペナルティパラメータの無限大への極限操作を, 無限遠を含む射影空間上で幾何学的にとらえ, 数式処理によって解析的に極限計算を行うことで, 最適性条件を収束点列の存在としてではなく方程式として得ることが可能となります. 演習には, 計算問題や証明問題に加えて, 数式処理を用いたプログラミング演習も含む予定です. ご参加いただける方は各自で PC をご用意ください.
  • 資料 (2024 年 8 月 28 日更新. クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 本資料の著作権は各著者に帰属し, クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ``表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際'' の下に提供されています.)

ポスターセッション

参加者同士の交流を促進するために, 現地参加者のうち希望者にポスター発表をしていただく機会を設けます. ポスターセッションのオンライン配信は行ないません.

ポスター発表一覧

  • 岩崎悟 (大阪大学):
    Thin domain PDE に特化した機械学習モデルの解析
  • 大槻優太 (中央大学), 柳下翔太郎 (統計数理研究所):
    確率的マリアバン勾配法を用いたリスク最適な投資及び再保険戦略
  • 柳下翔太郎 (統計数理研究所), 伊藤勝 (日本大学):
    近接勾配型アルゴリズムの収束性---global descent lemmaからの解放---
  • 吉野夏樹 (北海道大学), 田中章 (北海道大学):
    構造化全最小ノルム法を用いた行列の低ランク近似における初期摂動推定値に関する一検討
  • 榎本剛 (京都大学), 中下早織 (京都大学):
    ニュートン法を用いたアンサンブル変分法データ同化
  • 上島智哉 (東京大学), 伊藤伸志 (東京大学):
    Contaminated オンライン凸最適化
  • 清田大河 (東京大学), 佐藤一宏 (東京大学):
    LQ 制御器における逆最適制御問題
  • 梅津光汰 (東京大学), 佐藤一宏 (東京大学):
    可制御性スコアの線形時変システムへの拡張
  • 久米啓太 (東京工業大学), 山田功 (東京工業大学):
    弱凸関数と可微分写像からなる合成関数最小化のための可変平滑化法について

時間割

1 日目: 8 月 24 日 (土)

  • 13:00--13:05 オープニング
  • 13:05--14:05 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 講義
  • 14:15--15:15 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 講義
  • 15:25--16:25 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 講義
  • 16:35--17:05 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 演習
  • 17:20--19:00 ポスターセッション (現地のみ)

2 日目: 8 月 25 日 (日)

  • 10:00--10:30 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 演習
  • 10:40--11:40 非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析 演習の発表・解説および総括
  • 11:40--13:30 休憩
  • 13:30--14:30 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 講義
  • 14:40--15:40 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 講義
  • 15:50--16:50 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 講義
  • 17:00--17:30 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 演習
  • 18:00-- 懇親会 (現地のみ)

3 日目: 8 月 26 日 (月)

  • 10:00--10:30 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 演習
  • 10:40--11:40 数理最適化への数式処理の一応用~制約想定が不要な最適性条件の導出~ 演習の発表・解説および総括
  • 11:40--11:45 クロージング
  • 12:00-- フリーディスカッション (現地のみ)

旅費補助

遠方からの学生の現地参加者でポスターセッションでポスター発表をしてくださる方に限り旅費の補助が可能です. ご希望の方はお早めにお申し込みください (締切: 7 月 12 日). なお, 予算に限りがありますので, ご希望に添えない場合もございます. 旅費補助を申し込んでもこちらからの連絡があるまで航空券や宿泊の手配はしないでください.

なお, ここでの遠方とは, 所属する大学等から統計数理研究所までの常識的な経路長が 100 km 以上であることを目安とします. 筑波大学はギリギリ遠方です.

宿泊

宿泊の斡旋は行ないません. 立川駅周辺には複数の宿泊施設がございます. 各自でご予約ください.

参加申込

  • 参加希望の方はこちらのフォームよりお申し込み下さい. 締切は設けませんが, 当日までに必ずお申し込みください. 飲料の手配の都合がありますので, 現地参加の方は 7 月 19 日 までにお申し込みいただけますと助かりますが, その後のお申し込みも歓迎いたします.
  • ポスター発表ないし旅費補助希望の方は上記の参加申込に加えてこちらのフォームよりお申し込み下さい. 旅費補助申込の締切は 7 月 12 日, ポスター発表申込の締切は 8 月 18 日です. 仮の題目で旅費補助申込をしておき, 後から題目を変更することも可能です.
  • いずれも定員に達した場合は早めに受付を終了することがあります. また, 申込完了後に確認のメールが届きますのでご確認下さい. 確認のメールが届かない場合はお問い合わせ下さい.

世話人

過去の連続最適化および関連分野に関する夏季学校

リンク