サンプリング |
■米国西海岸日系人調査(1998年度)のサンプリング手続き | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
米国では、日系人のみのサンプリングリストを、既存の資料から直ちに作成することは難しく、我々は独自に以下の様な手続きをとった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.サンプリングのための元となる台帳:選挙人登録名簿 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1990年国勢調査によると、Washington 州King郡の住民数は、1,507,319名(内、外国生まれは9.3%)で、その中で日系人は21,167名とされる。California州
Santa Clara郡の住民数は、1,599,604名で、その中で日系人は26,516名とされる。 各々の選挙管理事務所で、最新の選挙人(18歳以上の男女)登録名簿に基づいて、登録者の名前、住所の情報を集積した台帳に電話番号等の情報を付加して、現地の民間会社、King郡ではLabels & Lists Inc.(住所2500-116th Avenue N.E. Bellevue, Washington 98004 電話1-800-842-List Fax 206/822-0264)、Santa Clara郡ではVoter Contact Servicesが販売しているので、これを利用する。(選挙人名簿の登録者の総数は、King郡約96万人、Santa Clara郡約72万人。)推定登録率は、King郡は米国全体の平均(1980年代半ばで70%以下といわれている)と比べてかなり高く、90%程度、特に日系人は高く96%程度(L&L社が最終的に我々に提出した1998年の日系アメリカ人の選挙人登録者数は約11,700名)と推定され、一方でSanta Clara郡は近隣にシリコン・バレーなどの最先端情報産業が中心で多国籍企業の多い地域などもあり、住民の移動率が高く、また「住民」としては登録されない居住者も多く、地方の政治意識は必ずしも高くないのか、80%あるいはそれ以下かと思われる(VCS社が最終的に我々に提出した日系人のリストは10,652名)。 |
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2.日系人名の抽出 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
現地日系人の研究協力者Frank Miyamoto, Washington大学名誉教授、 Tetsuden Kasima
,Washington大学準正教授、Steve Fugita , Santa Clara大学教授により、各郡の選挙者登録名簿台帳から、名前が日系人と思われるサンプルを抽出した。研究協力者は、King郡では現地の日系人の各種団体名簿、即ち第2次大戦中の日系人収容者名簿(War
Relocation Authority records in 1942) 6,969名、及び現在のワシントンのNDPC日系予防センターの登録者やJACL日系アメリカ人クラブ会員など、さらに約600姓名、Santa
Clara郡では、ハワイ日系人の名前のリスト(6,490姓名)を作成して、King郡ではL&L、Santa Clara郡ではVCSが上記1の選挙人登録名簿と対照させ、日系人リストを作成した。 注)このプロセスで、日系人以外と結婚した日系人の女性、日本名としては稀な名前の日系人が除かれる可能性が大きくサンプルのバイアスは問題となろう。ちなみに2世までは日系人同士の結婚がほとんどであるが、1970代以降、3世、4世の世代では異民族間の結婚が進み、今日では日系人の約50%が、他の人種との結婚をしているといわれる。一方、現地の研究協力者は、日本名とまぎらわしい非日系人の名前や、また本来は、日本名だが、移民の一世がスペルの間違いをして子孫に受け継がれている例などを熟知しているので、これが役に立った。 例)Oharaは日本名の大原、小原でもあり得るが、確率としては、非日系人(Irish?) である率が高いと思われ、除外された。HanやKoh(Korean?)やChoやTsuiまたShin(Chinese or Korean?)も同様である。ヒスパニック系やイタリア系の名も混同しやすい。逆に、藤田がFujita ではなくFugitaとスペル間違いされ使用されている例では、リストに残した。万一、これが非日系人であっても面接の際のアポイントをとるときに、確認できるので問題ない。また,移民には沖縄出身の人々も少なくないが、これも現地の研究協力者の方が熟知していることを信頼した。 結果として、日系人のサンプルの台帳としては、King郡は10,689名、Santa Clara郡は10,652名となった。 注)標本リストのバイアスについて 選挙人名簿に登録している人々は、一般に、程度の差こそあれ、教育レベル、収入、市民意識、年齢層(高い?)、住民意識の相対的に高い可能性があるかもしれないことに注意。また、これらの特性は、それらの人々がアメリカ社会に溶け込んでいる程度を示すのかもしれない可能性にも注意する。 |
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3.単純ランダム・サンプリング | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最終的には,上記2の日系人サンプル台帳より、King郡で425名、Santa Clara郡で492名のランダム・サンプルを抽出し、第1次日系人サンプル・リストとした(資料2)。但し、実際には各郡250名程度のサンプルを取り調査遂行していく中で、回答拒否や回答者の移動などが判明し、上記2の台帳から再び100〜200名のランダム・サンプルをとり、追加し、King郡とSanta Clara郡を合わせて約350名分の調査票が回収されるまで、調査を続けたのであった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■調査手続きの概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1) | サンプリング | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2) | 地元の日系紙(Hokubei Mainichi紙とNikkei West紙)へ調査の広告(付録1及び資料2) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3) | サンプル(抽出された回答者候補)への案内状(協力の依頼)の郵送(付録1) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4) | 調査員の指導(5節のマニュアル参照) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5) | 電話番号が判明しているサンプルへは電話で、調査の目的や概要を説明し、回答協力を依頼する(付録2)。そうでない場合(King郡では約25%)は、手紙を出し、協力依頼とともに、葉書で電話番号を返送するように依頼した。さらに、インターネット等を用いてもなおかつ電話番号が判明しなかった場合は、直接訪問し依頼した。協力が承諾された場合、面接の日時と場所(回答者の自宅、もしくはKing郡の場合はNDPC[日系人疾病センター]、Santa Clara郡の場合はJapanese American Resource Centerのいずれか)を定める。訪問時に不在の場合は、協力要請の手紙と調査員への連絡先(電話番号)を残し、サンプルからの連絡を待った。不在の場合の訪問は相手の連絡があるまで、最高3回まで繰り返した。アポイントメントを取る前に、相手が日系人でないことが判明した場合は、サンプルから除外した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6) | 面接指定日時に回答者の自宅に訪問し不在の場合、またはNDPC(King郡)やJapanese American Resource Center(Santa Clara郡)に現れなかった場合は、次回のアポイントメントを決めるための連絡依頼状や伝言メッセージを残した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7) | 面接調査実施調査機関1998年10月〜1999年3月(1部は4月以降へずれこんだ)で、回答者あたり40分〜1時間半程度で、面接者1人あたり1日で、せいぜい3人分の面接を遂行した。概して、回答者(特に年配の女性)は面接者に対して好意的に振る舞い、また若年の日系人調査員達も、調査遂行を円滑に楽しんだ。拒否率は低かった。面接時間は、一人あたり40〜45分程度が多かった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8) | データ(1999年6月〜8月)回答データはコード化され、SPSS型ファイルとして磁気媒体にコンピュータ入力された。この際、項目毎に回答データの確認がなされ、明らかにコードのつけ間違いは修正した。数値データ(回答カテゴリーの選択コード)については、質問の指示「4つのうち1つだけ選ぶ」と抵触した場合は、「−」と入力した。また「前問でYesと回答した人のみ答える」のに、Noと回答した人も答えている項目は「 」ブランクと修正した。「所属団体」のカテゴリー、「宗教」のカテゴリー、「日系何世」のカテゴリーなどは、現実にはかなり複雑であり,これはデータ回収及び一時的入力の後、現地協力者との会合(1999年8月)で回答データ全体を見て、適切にカテゴリーの定義を確認した(6節の資料1と資料2参照)。自由回答データについては、別途、磁気媒体にテキスト形式で記入した。データの入力の際に、面接したサンプルの中に日本からこの数年間にやってきた「日本人」が含まれていたことが判明したが、これはデータから除外した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
9) | 調査協力者への御礼の手紙送付(付録3)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
さらに詳細な説明については、引き続いて、Prof. Miyamoto, Prof. Kashima, Prof. Fugitaによる米国西海岸Japanese Americansの母集団の定義とサンプリングの説明を参照していただきたい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キング郡の標本抽出と面接結果に関する統計 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Table 1. Summary of the sampling procedure in drawing a random sample of Japanese Americans from the King County Voter Registry by gender: giving frequency counts of total drawn, subclassified by total interviews completed and total interviews not completed, with reasons for failure to complete interviews. | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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Table 1b. Reasons for failure to complete inteviews in 252 cases of those drawn in the sample, King County Survey. | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■サンタ・クラーラ郡の標本抽出と面接調査結果に関する統計
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(文責:林 文) |