医療健康データ科学Webセミナー

医療健康データ科学Webセミナー

医療健康データ科学における最新の理論・方法論について、国内外の第一線で活躍する研究者によるオンラインセミナーを実施します。また、本セミナーの内容は、ビデオ教材として、センターのe-learningシステムに順次収録される予定です。

2023年度開催要項

※申込の際は下記注意事項をお読みいただき申込みください。

注意事項

講演はすべてオンライン(ZOOMウェビナー)開催となります。
各講演毎の申込が必要です。
本講演の申込受付は、Peatix Japan(株)のシステム上で行います。各日下記リンクをクリックすると同社のサイトに移動します。お申込にはPeatix Japan(株)のシステムにアカウントの登録が必要です。
定員に達し次第、お申し込みを締め切らせていただきます。
取得した情報は、当該講演への登録及び受講に関する連絡や、企業や個人を特定できない形で弊所講座・教材等の企画立案等のために利用することがあります。Peatix Japan(株)のシステムにアカウントを作成する際に入力する情報については同社のポリシーに従うものとします。

第1回~第6回までは、こちらです。

   
No 日時講演者 タイトル お申込み
7 2023年4月8日(土)
9:00~10:30
鈴木 越治
(岡山大学)
因果ダイアグラムの基本と実践
(講演詳細)
開催済
8 2023年5月26日(金)
17:30~19:00
大前 勝弘
(国立循環器病研究センター)
動的治療方針推論の基礎
(講演詳細)
開催済
9 2023年6月23日(金)
17:00~18:30
下川 敏雄
(和歌山県立医科大学)
異質性治療効果を推定するための統計手法・機械学習手法の現況と医療分野への応用について
(講演詳細)
開催済
10 2023年7月11日(火)
14:00~16:00
田中 司朗
(京都大学大学院医学研究科)
医学のための因果推論 第1部:Rubin因果モデル、プロペンシティスコア、2重頑健推定量
(講演詳細)
開催済
11 2023年8月25日(金)
17:00~18:30
藤井 良宜
(宮崎大学教育学部)
カテゴリカルデータ解析の基礎
(講演詳細)
開催済
12 2023年9月19日(火)
17:00~18:30
汪金芳
(早稲田大学)
医療健康科学のためのブートストラップ法
(講演詳細)
開催済
13 2023年10月2日(月)
14:00~15:30
田中 司朗
(京都大学大学院医学研究科)
医学のための因果推論 第2部 ―共変量釣り合い傾向スコア,unanchored MAIC, エビデンスの評価―
(講演詳細)
開催済
14 2023年11月15日(水)
16:00~17:30
神田 善伸
(自治医科大学附属病院・附属さいたま医療センター血液科)
EZRを用いた統計解析~基本操作から傾向スコア解析まで~
(講演詳細)
開催済
15 2023年12月19日(火)
17:00~18:30
岩上 将夫
(筑波大学)
リアルワールドデータを用いた薬剤疫学における研究デザイン
(講演詳細)
開催済

講演の詳細

第7回 因果ダイアグラムの基本と実践

                       
  • 講演者:鈴木 越治 (岡山大学)
  • 日時 :開催済 2023年4月8日(土)9:00~10:30

概要: 医学において因果推論は重要な課題であり、近年、様々な理論や方法論が構築されてきた。その一つである因果ダイアグラムは、目に見えない因果構造を視覚化するための因果モデルとして広く用いられている。因果ダイアグラムは、適切に用いられるならば因果推論をするうえで有用なツールである一方で、見落としがちな注意点もある。本セミナーでは、因果ダイアグラムの基本を学び、その適切な利用方法を解説する。


第8回 動的治療方針推論の基礎

  • 講演者:大前 勝弘 (国立循環器病研究センター)
  • 日時 :開催済 2023年5月26日(金)17:30~19:00

概要: 個別化医療を体現するために、臨床研究のデータに基づいて動的治療方針(DTR)を推定するための方法論の研究がますます発展している。一方で、依然としてその広い応用にはつながっていない。応用面の拡がりを阻害する一要因として、DTR推定の方法論へのアクセシビリティが高くなく、体系的な理解が得られにくいことが指摘されている。そこで本セミナーでは、DTR推定の基本を、オープンデータを用いた具体的な解析事例と共に紹介する。


第9回 異質性治療効果を推定するための統計手法・機械学習手法の現況と医療分野への応用について

  • 講演者:下川 敏雄 (和歌山県立医科大学)
  • 日時 :開催済 2023年6月23日(金)17:00~18:30

概要: 近年、医療分野では、リアルワールド・データ(RWD)の利活用に関するニーズが高まっている。このとき、医療分野の一つの目標である個別化医療を実現するためには、任意の共変量をもつ患者に対する(条件づけられた)治療効果(関心のある治療と標準治療の差)、いわゆる異質性治療効果(HTE)の推定が必要になる。ただし、実際のデータでは、いずれかの治療のみが施行されずHTEは観測できない。そのため、治療効果モデルと呼ばれる幾つかのアプローチ(例:樹木モデルに基づく方法、Meta-learnerなど)が存在する。  本セミナーでは、HTEを推定するための統計手法および機械学習手法について紹介するとともに、統計解析環境RおよびPythonにおけるライブラリー(パッケージ)を紹介する。

参考文献:  
 [1] Athey, S., Imbens, G. : Recursive partitioning for heterogeneous causal effects, PNAS, 113(27), 734307360, 2916.
 [2] Athey, S., Wager, S.: Estimating treatment effects with causal forests: an application, Observational Studies, 5, 35-51, 2019.
 [3] Kunzel , S.R., et al. : Metalearners for estimating heterogeneous treatment effects using machine learning, PNAS, 116(10), 4156-4165, 2019.
 [4] Lipkovich I., et al.: Tutorial in biostatistics: data-driven subgroup identification and analysis in clinical trials, Statistics in Medicine, 36(1), 136-196, 2016.
 [5] Powers, S., et al.: Some methods for heterogeneous treatment effect estimation in high dimensions, Statistics in Medicine, 37(11), 1767-1787, 2018.


第10回 医学のための因果推論 第1部:Rubin因果モデル、プロペンシティスコア、2重頑健推定量

  • 講演者:田中 司朗 (京都大学大学院医学研究科)
  • 日時 :開催済 2023年7月11日(火)14:00~16:00

概要: 医学研究では因果推論が広く用いられるようになったが、体系的な解説が与えられる機会は限られており、特に理論的根拠や研究デザインで考慮すべき点について触れられることが少ない。本セミナーは2部構成であり、Rubin因果モデルと関連する統計手法について、修士~博士レベルを想定した講義を行う。まず、プロペンシティスコアの理論的根拠を5つの定理の形で述べる。第1部では、古典的なマッチングやIPW推定量について説明した後に、2重頑健推定量について解説する。時間に余裕があれば、2重頑健推定量がセミパラメトリック推定量の分散下限を達成することについて触れる。第1部ではSGLT2阻害薬データベース研究と、第2部ではCAR-T細胞療法臨床試験というケーススタディを用いて、研究デザインのポイントについて解説する。前者はランダム化臨床試験と観察研究の結果の違いが問題になった事例、後者は単群試験を外部対照と比較した事例である。 (第2部は2023年10月頃予定)

参考文献:  
 [1] 医学研究のための因果推論II Rubin因果モデル. 田中司朗. 東京: 朝倉書店; 2022
 [2] Kosiborod, et al. Lower risk of heart failure and death in patients initiated on sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors versus other glucose-lowering drugs. Circulation 2017;136(3):249-59
 [3] Suissa S. Lower risk of death with SGLT2 inhibitors in observational studies: real or bias? Diabetes Care 2018;41(1):6-10
 [4] Robins. Marginal structural models versus structural nested models as tools for causal inference. Statistical Models in Epidemiology. New York: Springer; 1999
 [5] Sato and Matsuyama. Marginal structural models as a tool for standardization. Epidemiology 2003; 14: 680-6


第11回 カテゴリカルデータ解析の基礎

  • 講演者:藤井 良宜 (宮崎大学教育学部)
  • 日時 :開催済 2023年8月25日(金)17:00~18:30

概要: 統計的な実験や調査の結果の中には、量的な変数ではなく、カテゴリカル変数としてまとめらたデータが含まれることも多い。
本セミナーでは、カテゴリカル変数の分析で用いられる基本的な手法であるカイ2乗検定やフィッシャーの直接法などを中心に、分析の基本的なアイデアと分析結果の解釈を中心に解説をする。また、順序カテゴリカルデータに対する分析手法ややロジスティック回帰分析等についても簡単に紹介する予定である。

参考文献:
 カテゴリカルデータ解析入門 Alan Agresti (著), 渡邉 之他訳 サイエンティスト社、2003年
 カテゴリカルデータ解析 (Rで学ぶデータサイエンス1) 金明哲編 藤井良宜著、共立出版、2010年  


      

第12回 医療健康科学のためのブートストラップ法

  • 講演者:汪金芳 (早稲田大学)
  • 日時 :開催済 2023年9月19日(火)17:00~18:30

概要: エビデンスに基づく意思決定において、種々の推定量の統計誤差を適切に評価することがデータ解析の肝要です。ブートストラップ法は、データからのランダムサンプリングにより擬似データを生成し、平均処理効果を初めとする複雑な推定量の分散や信頼区間を構築するための汎用的な方法です。本講演では、ブートストラップ法の基本原理について概説します。また日本人健康診断データを用いて、医療健康科学分野におけるブートストラップ法の有効性について解説します。

参考文献:
 Efron B, Tibshirani RJ (1993). An Introduction to the Bootstrap. Chapman & Hall: New York.
 汪金芳・桜井裕仁 (2011). ブートストラップ入門, 共立出版, 東京.  


第13回 医学のための因果推論 第2部 ―共変量釣り合い傾向スコア,unanchored MAIC, エビデンスの評価―

  • 講演者:田中 司朗 (京都大学大学院医学研究科)
  • 日時 :開催済 10月2日(月)14:00~15:30

概要: 医学研究では因果推論が広く用いられるようになったが、体系的な解説が与えられる機会は限られており、特に理論的根拠や研究デザインで考慮すべき点について触れられることが少ない。本セミナーは2部構成であり、Rubin因果モデルと関連する統計手法について、修士~博士レベルを想定した講義を行う。まず、プロペンシティスコアの理論的根拠を5つの定理の形で述べる。第1部では、古典的なマッチングやIPW推定量について説明した後に、共変量釣り合い傾向スコア、単群試験の外部対照との比較(unanchored MAIC)について解説する。第1部ではSGLT2阻害薬データベース研究と、第2部ではCAR-T細胞療法臨床試験というケーススタディを用いて、研究デザインのポイントについて解説する。前者はランダム化臨床試験と観察研究の結果の違いが問題になった事例、後者はunanchored MAICの事例である。

参考文献:  
 [1] 医学研究のための因果推論II Rubin因果モデル. 田中司朗. 東京: 朝倉書店; 2022
 [2] Robins. Marginal structural models versus structural nested models as tools for causal inference. Statistical Models in Epidemiology. New York: Springer; 1999
 [3] Sato and Matsuyama. Marginal structural models as a tool for standardization. Epidemiology 2003; 14: 680-6
 [4] Martin T, et al. Matching-adjusted indirect comparison of efficacy outcomes for ciltacabtagene autoleucel in CARTITUDE-1 versus idecabtagene vicleucel in KarMMa for the treatment of patients with relapsed or refractory multiple myeloma. Curr Med Res Opin 2021;37(10):1779-88
 [5] Imai K, Ratkovic M. Covariate balancing propensity score. J Royal Stat Soc B 2014; 76: 243-63  


第14回 EZRを用いた統計解析~基本操作から傾向スコア解析まで~

  • 講演者:神田 善伸 (自治医科大学附属病院・附属さいたま医療センター血液科)
  • 日時 :開催済 11月15日(水)16:00~17:30

概要:  RはFDAでも用いられている信頼性の高い無料統計ソフトですが、スクリプトの入力による解析はなじみにくいものでした。そこで、マウス操作だけでRの多彩な統計解析が実施できる統計ソフトEZR (Easy R)を開発しました。学会発表、論文発表を意識して作成したソフトですので、患者背景表や解析結果を自動整形して出力するという機能も備えられています。EZRの開発を紹介した論文は、すでに約10000編弱の英文論文に引用され、多くの大学や病院の統計学講義でも採用されています。今回は、生存解析を中心に基本操作から傾向スコア解析まで、EZRでの解析方法について紹介します。

参考文献:
  1. サラっとできる! フリー統計ソフトEZR(Easy R)でカンタン統計解析(オーム社)
  2. 初心者でもすぐにできるフリー統計ソフトEZR(Easy R)で誰でも簡単統計解析(南江堂)
  3. EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂3版 〜EBMの実践から臨床研究まで〜(中外医学社)
  4. ゼロから始めて一冊でわかる!みんなのEBMと臨床研究(南江堂)  


第15回 リアルワールドデータを用いた薬剤疫学における研究デザイン

  • 講演者:岩上 将夫(筑波大学)
  • 日時 :開催済 12月19日(火)17:00~18:30

概要: 多くのリアルワールドデータ(例えば日本の健保組合データベース)はdynamic cohort (open cohort)であり、一般住民または患者が異なるタイミングで観察開始・終了となり、その間に医薬品の処方や受診イベントが記録される。これを用いて医薬品の安全性・有効性を検討する場合、コホート研究(マッチングありorなし)、症例対照研究、自己対照研究デザインなど、様々な研究デザインを取りうる。本講演では、「どの患者のどの期間を比較したら、何が言えるのか」理解し、リサーチクエスチョンに応じた研究デザインの選択のセンスを磨くことを目的とする。

参考文献:
 [1] Masao Iwagami, Tomohiro Shinozaki. Introduction to Matching in Case-Control and Cohort Studies. Ann Clin Epidemiol 2022; 4 (2):33-40. (https://doi.org/10.37737/ace.22005)
 [2] Masao Iwagami, Yoshinori Takeuchi. Introduction to Self-controlled Study Design. Ann Clin Epidemiol 2021; 3 (3):67-73.(https://doi.org/10.37737/ace.3.3_67)
 [3] 康永秀生, 山名隼人, 岩上将夫. 医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本. 金原出版(2019年)