疫学・公衆衛生統計コース

概要

疫学・公衆衛生における統計的な側面について学びます。大学や企業の生物統計家を中心とする医学系研究者を対象とした中級レベルのコースです。疫学・公衆衛生の概要や研究デザインについて学んだ後、年齢・時代・世代効果、空間統計学、遺伝・分子疫学、因果推論、経時データ解析などの各テーマについて、魅力的な講師陣より学びます。10月から11月に開催予定です。

オーガナイザー

船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所)

開催要項

日 時 2018年10月5日(金)~11月30日(金)[13:30~17:00]、全10回5日間
会 場 [2018年10月5日,2018年10月18日,2018年11月27日,2018年11月30日]
統計数理研究所 大会議室(2階)
〒190-8562 東京都立川市緑町10-3(アクセス
多摩モノレール高松駅から徒歩約10分、JR立川駅より徒歩約25分

[2018年11月12日(この日は会場が異なりますのでご注意ください)]
一橋講堂
〒101-8439 東京都千代田区一ツ橋 2-1-2 学術総合センター内 (アクセス
東京メトロ半蔵門線、都営三田線、都営新宿線 神保町駅(A8・A9 出口)徒歩4分
東京メトロ東西線 竹橋駅(1b 出口)徒歩4分
参加申込 参加申し込み・お問い合わせは こちら からお願い申し上げます。
単一の講義毎のお申し込みはできません。また参加登録をいただいた方には、原則として、全ての講義への参加継続をお願いいたします。(欠席の頻度が多かった場合には、参加登録を取り消しさせていただくこともあります旨、ご了承くださいませ。)

コースの構成

  1. 「経時データ解析」
    日時:2018年10月5日(金)13:30〜15:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所)
    概要:複数の対象者に対し,反応を時間の経過と伴に繰り返し観測する経時データの解析方法について解説する.連続型反応変数の解析に用いられる線形混合効果モデルを中心に,無作為化比較臨床試験の解析事例等と伴に解説する.
    参考書:
    ・船渡川伊久子・船渡川隆 (2015) 経時データ解析. 朝倉書店.
    ・Fitzmaurice et al. (2011) Applied Longitudinal Analysis. 2nd edn. Wiley.
  2. 「疫学・公衆衛生学概論」
    日時:2018年10月5日(金)15:30~17:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:大橋靖雄 教授(中央大学)
  3. 「疫学I 疫学とはなにか?」・4.「疫学II 代表的な疫学研究:コホート研究とケース・コントロール研究」
    日時:2018年10月18日(木)13:30~15:00・15:30~17:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:佐藤俊哉 教授(京都大学)
    概要:疫学とはどんな学問なのか、どのような問題の解決に貢献してきたのか、疫学Iでは疫学の歴史について解説します。疫学IIでは、疫学研究の代表的なデザインであるコホート研究とケース・コントロール研究について、大気汚染と呼吸器疾患との関連を調べた疫学研究である環境省「そらプロジェクト」を例に解説します。
    参考書:
    ・佐藤俊哉. 宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ. 岩波科学ライブラリー114, 2005.
  4. 「空間疫学」
    日時:2018年11月12日(月)13:30〜15:00
    会場:一橋講堂
    講師:丹後俊郎 センター長(医学統計学研究センター)
    概要:空間疫学は、健康リスクを表す疾病の発症・死亡状況の地域的(市区町村など)な変動を記述・推定し、その要因の分析を行う比較的新しい学問である。本講義では、中でも、特定のエリアに疾病が多発(集積)しているか否かを検討する疾病集積性の検出の方法論を、統計ソフトR、FleXScanを利用した解析事例を交えて解説する。
    参考書:
    ・丹後俊郎、高橋邦彦、横山徹爾. 空間疫学への招待、朝倉書店(2007)
    ・Tango T. Statistical Methods for Disease Clustering, Springer (2010)
  5. 「遺伝・分子疫学」
    日時:2018年11月12日(月)15:20〜16:50
    会場:一橋講堂
    講師:田中紀子 室長(国立国際医療研究センター)
    概要:遺伝疫学とは、ヒトの集団や家系を対象として、疾患の原因となる遺伝要因と環境要因を研究する学問である。本講義では特に、遺伝疫学研究に特殊的な研究デザインおよびデータの統計学的取り扱いに力点を置く。講義の理解には、統計学・生物学・分子生物学に関する基礎的知識を持っていることが望まれる。
    参考書:
    ・Rothman K, Greenland S, Lash TL. Modern Epidemiology. 3rd ed. LW&W. 2012.
    ・Sham K. Statistics in Human Genetics. Arnold.1997.
    ・Neale BM, Ferreira M AR, Medland AE, Posthuma D. Statistical Genetics –Gene mapping through linkage and association. Tayler&Francis. 2008.
    ・Laird N, Lange C. The Fundamentals of Modern Statistical Genetics. Springer.2010.
    ・Thomas DC. Statistical Methods in Genetic Epidemiology. Oxford Univ Press. 2004.
    ・Haines JL, Pericak-Vance MA. Genetic Analysis of Complex Disease. 2nd ed. Wiley-Liss. 2006.
    ・Stranchan T, Read A. Human Molecular Genetics. 4th ed. Garland Science.2010.
  6. 「年齢・時代・世代効果I」
    日時:2018年11月27日(火)13:30~15:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:中村隆 名誉教授(統計数理研究所 名誉教授)
    概要:継続調査(反復横断調査)によって得られる年齢区分×調査時点形式の集計表データから年齢・時代・世代(コウホート)効果を分離するコウホート分析法(APC分析法)について、日本人の国民性調査、歯科疾患実態調査、鶴岡共通語化調査、人口動態統計等への適用例を示しながら、それがどのような分析法であるかを講義する。
    参考文献:
    ・中村 隆(2005). コウホート分析における交互作用効果モデル再考. 統計数理, 53, 1, 103-132. (PDF)
  7. 「因果推論I」
    日時:2018年11月27日(火)15:30~17:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:篠崎智大 助教(東京大学)
    概要:観察研究データから治療・曝露の「効果」を統計的に推測する方法論を扱う。特にこの講義では、疫学・医学分野の統計手法と親和性の高い因果モデルとして「潜在アウトカムモデル」(反事実モデル)を採用し、交絡、標準化、傾向スコア、回帰モデルの正確な理解を目的とする。疫学と数理統計の専門知識は求めないが、確率変数や条件付き期待値等の素朴な理解と回帰モデルの解析経験があることが望ましい。
    参考書(疫学・医学分野の因果推論の初学者には特に◎から取り組むことを勧める):
    ◎甘利他『多変量解析の展開―隠れた構造と因果を推理する』岩波書店, 2002.
    ・Rothman, Greenland & Lash "Modern Epidemiology, 3rd ed" LWW, 2008.
    ・星野『調査観察データの統計科学』岩波書店, 2009.
    ◎ロスマン(矢野他訳)『ロスマンの疫学―科学的思考への誘い』篠原出版新社, 2013.
    ・岩波データサイエンス刊行委員会編『岩波データサイエンス Vol.3』岩波書店, 2016.
    ・黒木『構造的因果モデルの基礎』共立出版, 2017.
    ◎Hernán, Robins "Causal Inference" Chapman & Hall/CRC, 2018.(入門部分をDL可
  8. 「年齢・時代・世代効果II」
    日時:2018年11月30日(金)13:30~15:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:中村隆 名誉教授(統計数理研究所 名誉教授)
    概要:年齢・時代・世代効果を分離しようとするコウホート分析法が抱える3効果が一意に分離できないという識別問題について解説し、その問題を克服するためのパラメータの漸進的変化の条件を事前分布として取り入れたベイズ型コウホートモデルの構築と赤池ベイズ型情報量規準ABICによる最適モデルの選択法について講義する。
    参考文献:
    ・中村 隆(2005). コウホート分析における交互作用効果モデル再考. 統計数理, 53, 1, 103-132. (PDF)
  9. 「因果推論II」
    日時:2018年11月30日(金)15:30~17:00
    会場:統計数理研究所 大会議室(2階)
    講師:篠崎智大 助教(東京大学)
    概要:観察研究データから治療・曝露の「効果」を統計的に推測する方法論を扱う。特にこの講義では、疫学・医学分野の統計手法と親和性の高い因果モデルとして「潜在アウトカムモデル」(反事実モデル)を採用し、交絡、標準化、傾向スコア、回帰モデルの正確な理解を目的とする。疫学と数理統計の専門知識は求めないが、確率変数や条件付き期待値等の素朴な理解と回帰モデルの解析経験があることが望ましい。
    参考書(疫学・医学分野の因果推論の初学者には特に◎から取り組むことを勧める):
    ◎甘利他『多変量解析の展開―隠れた構造と因果を推理する』岩波書店, 2002.
    ・Rothman, Greenland & Lash "Modern Epidemiology, 3rd ed" LWW, 2008.
    ・星野『調査観察データの統計科学』岩波書店, 2009.
    ◎ロスマン(矢野他訳)『ロスマンの疫学―科学的思考への誘い』篠原出版新社, 2013.
    ・岩波データサイエンス刊行委員会編『岩波データサイエンス Vol.3』岩波書店, 2016.
    ・黒木『構造的因果モデルの基礎』共立出版, 2017.
    ◎Hernán, Robins "Causal Inference" Chapman & Hall/CRC, 2018.(入門部分をDL可