医療統計のための機械学習-動的治療計画と強化学習-

概要

近年,個人化医療の内容で被験者の個人ごとに動的な治療の計画(Dynamic Treatment Regime)を統計的な観点からアプローチする研究が展開されている. 長期治療に伴う治療の割り付けを動的に行うときの最適性を求めることが目的である.このためには統計的な問題を反事実仮想に基づく潜在結果変数の推定や予測がキーとなる.本講座では機械学習の強化学習も復習しながら基本的な考え方を紹介する.強化学習の多くはマルコフ性を仮定した決定プロセスが研究されているが,動的治療計画では被験者の治療履歴を開始時期から最終観察期まで一つの軌跡として扱う必要がある.特に,逐次多重ランダム化試験割り付け(Sequential Multiple Assignment Randomized Trial)について詳しく解説する.このような確率的枠組みで,James Robins,Susan Murphyたちの貢献によって理論は完成の域に達せられているが非常に難解である.提案されているQ-学習,G-推定,最適DTR,G-計算についてなるべく簡明な理解が得られるように適用された具体例などの紹介に努め,それぞれの方法論の問題点と今後の方向について考察する.

開催要項

日 時 2019年11月22日(金) 13:30-16:30
会 場 統計数理研究所 セミナー室5(3階D303・D304)
〒190-8562 東京都立川市緑町10-3
多摩モノレール高松駅から徒歩約10分、JR立川駅より徒歩約25分、立川バス立川学術プラザから徒歩約1分(アクセス
講 師 江口真透 教授(統計数理研究所)
参加申込 参加お申し込みの募集開始は10月21日(月)12時ごろの予定です(こちらに掲載予定です

参考書

Chakraborty, B., and E. E. Moodie. Statistical methods for dynamic treatment regimes. New York: Springer, 2013.