プロジェクト[2014年度]

リスク科学NOEでは、研究プロジェクトを再編成し、2014年度より以下の7研究プロジェクトを形成。所外の関連機関と連携しながら定量的リスク解析を推進します。

データ中心リスク科学基盤整備プロジェクト

プロジェクトリーダー:椿 広計

複雑な人間・社会の連鎖リスク構造の解明とその科学的対応考案に必要な学際的共同研究活性化を目的として,情報・システム研究機構リサーチコモンズ・データ基盤整備事業,研究力強化事業,大規模リスク関連データ保有機関と連携し,高度データ分析環境の整備,特に学際研究に必要なデータリンケージを推進する。

リスク基盤数理プロジェクト

プロジェクトリーダー:栗木 哲

自然災害や重篤な疾病・事故など,普段は起こる頻度は少ないものの,一旦発生すると重大な被害をもたらすリスクの要因を定量化するためには,それらの現象を数学的に定式化し,その分布の裾領域の振る舞いに基づいて統計的推論を行う必要がある。本プロジェクトでは裾領域を扱う分野である極値理論,コピュラ理論,多重比較などについて,数理的ならびに計算手法の研究を行う。また,研究集会「極値理論の工学への応用」および「無限分解可能過程に関連する諸問題」の開催を通して国内外研究者との研究交流を図り,リスクNOEとしての役割を果たす。

医療・健康科学リスクプロジェクト

プロジェクトリーダー:逸見 昌之

本プロジェクトでは,医療と人間の健康に関する諸問題について、統計的な側面から解決に寄与していくことを目的とし、以下の3つの領域を中心に研究を行っている。

1.食品安全性をどう定量的に評価して開示してゆくべきか,あるいは医薬品の許認可においてリスクとベネフィットをどうバランスさせる等の問題は,国民の高い関心事であると同時に現代社会の抱える喫緊の課題のひとつである。本プロジェクトでは,当該分野の専門機関との連携を通じて,食品・医薬品など人が直接摂取する物質の健康影響について,計量的技法と適用を研究し,リスク研究の基本枠組みを創設することを目指す。

2. 医療技術の有効性と安全性を科学的に評価する上で,統計的な方法論は重要な役割を果たしている。特に近年では,疾患の分子的特性に基づく治療の個別化を目的とした予測医療(predictive medicine)などの新しい領域も現れており,新たな方法論の確立と普及が重要な課題となっている。本プロジェクトでは,予測医療をはじめとして,医療技術の effectiveness の多面的な評価,エビデンスの統合の方法など,新たな研究課題に対する方法論の開発と体系化を行う。  プロジェクトWEBページ

3.深刻な自殺やその背後にあるメンタルヘルス上の問題についてデータを通じて,その現状と問題点を統計的に明らかにする。このため時空間構造や経済・地勢情報などをリンケージした統計データベースを整備し,モデリングを行う。また,インターネット上での自殺予防対策にも着目し,SNS等の自殺に関連するデータをテキストマイニング,ソーシャルネットワーク分析等の手法を用いて解析する。更に,メンタルヘルスに関わる専門家との共同研究や研究集会を通じて,効果的な健康保健政策の提唱につなげることを目指す。

環境情報に対する統計解析手法開発プロジェクト

プロジェクトリーダー:金藤 浩司

地球環境に及ぼす人間活動の負荷は増大している。そこで正確な環境の現状把握と,次なる世代のために有効な対策を施行するために計量的手法の重要性が増している。本プロジェクトでは水・大気・土壌における環境リスク評価,環境モニタリング,環境基準値設定等に関して基盤となる統計的解析手法の研究を行う。また,環境科学分野との緊密な横断的協調により,地球環境に関する様々な課題に対して計量的な解析・評価手法の提供を目指す。

資源管理リスク分析プロジェクト

プロジェクトリーダー:吉本 敦

森林資源,農業資源,漁業資源などといった再生可能な資源は,成長・生産過程において収穫期,収穫量,収穫場所など,人為的に制御可能な決定事項を変化させることにより,農林水産物と言った市場財の生産量ばかりでなく,それに関わり発生する生態系サービスと言った様々な非市場財生産量も変わってくる。本プロジェクトでは社会現象,自然現象を対象にした資源管理問題に対し決定論的及び確率論的な統計数理モデル,経済活動,自然成長を通した予測モデル,更には最適化による制御モデルの構築を中心に,フィールドワークを通して循環型社会経済システムにおける資源管理リスク分析,評価に関わる研究を行う。

金融リスクの計量化と戦略的制御

プロジェクトリーダー:山下 智志

金融マーケットへの投資や企業への融資に伴うリスクに対して,リスク量の把握とそのコントロールを正確に行うことが,社会において大きな課題となっている。本プロジェクトではこの課題に対して,確率論的もしくは統計学的アプローチにより,方法論の構築をおこなう。また,信用リスクデータや金融市場の高頻度データ,マクロ経済データなどの実データを扱うことにより,モデル作成,システム構築,実証分析を行う。さらに,金融機関や公共機関などの実務家から研究ニーズを吸収し,成果を還元することにより,研究交流と技術移転を行う。

地震予測解析プロジェクト

プロジェクトリーダー:庄 建倉

統計モデルによる地震活動の計測,異常現象の定量的研究,及び,それらにもとづく地震発生確率予測モデルとその評価法などについて研究する。リスク関連科学の分野間交流によって,共通する突発事象系列の発生データから予測の基礎となる危険強度の各種モデル化や推論と予測法について汎用化を促進する。また,危険の背後情報との因果関係などのリスクの構造を理解し,危険強度を予測する新モデルを開発することを狙う。

プロジェクトWEBページ

過去のプロジェクト

過去のプロジェクトはこちらからご確認いただけます