公募型人材育成事業
2024年度活動紹介
2024-思考院-7001 『データ同化夏の学校』
※詳細は2024年度統計数理研究所夏期大学院のページをご覧ください。
2024-思考院-7002 『第19回Biostatisticsネットワーク』
2024年8月23日・24日に「第19回Biostatisticsネットワーク」を大阪公立大学中百舌鳥キャンパスにて現地開催した。本行事は、医療統計学を専攻する国内の大学院生の研究交流を目的として毎年行われており、今年は大阪大、大阪公立大、北里大、京都大、久留米大、中央大、東京大、東京医科大、東京理科大、東北大、北海道大、横浜市立大、横浜国立大の13大学から教員と学生合わせて134名の参加があり盛会となった。本会の大きな特徴は、準備や運営も各参加大学からの学生委員が主体となって行い、その過程でも交流が深められるという点にある。今回は5つのセッションにおいて各大学の大学院生から、メタアナリシス,反復測定データ解析,ベンチマーク法,Frailtyモデル,医療経済評価,傾向スコア法,時間依存性治療効果,自発報告データベース研究,構造方程式モデル,ヒストリカルデータなど,広範な分野の研究発表があり,討論も活発であった。 2日目の最後に,新谷歩先生(大阪公立大学)が特別講演「セルフブランディングのすすめ ~妻として,母として,そして統計家として~」を行った。
2024-思考院-7003 『数学を用いる生物学:理念・概念と実践・方法論』
数理生物学と統計モデルが発展・普及した今日、「生き物は数式に従って生きているわけではないので数学は生物学には適さない」といった見方はほぼ消滅した。逆に、数理モデルや統計モデルはあまりに多岐に渡り、その全体像が見えなくなってきている。その結果、これから数学を学習しようとする生物系大学院生にとって、どの数理モデルや統計モデルに重点を置いて学習してよいかがわからなくなっている。これが現在、生物学の中で数学を積極邸に使おうとするときのひとつの障壁となっている。 2022年度より始めた本ワークショップでは、まず数学を用いる生物学にどのような研究事例があるかを知ってもらうべく、統計や数理モデルを用いた研究実績を有する研究者による数学に関する初等的解説も含めた研究成果を聞く所から始めた。それでは通常の研究集会と変わらないように見えるが、90分くらいの長めの時間枠を用意し、頻繁な質疑や補足説明を入れ、それが途切れるまで延長するという形態で実行した。当初こそ上の世代が質疑のきっかけを作っていたが、回を重ねるに連れ自然に院生から質疑や意見が活発に出るようになった。院生を主体とする議論は、会場に掲示したポスターを前に、口頭による話題提供後も続き、夜8時過ぎまで会場を開けておく事態となった。 3年目(最終年)の2024年度は、大学院生世代の口頭発表を中心に据え、今までの若手参加者を中心に自身の研究について話してもらい、若手同士の質疑・議論を促した。今までの講演者には、主にコメンテータとして参加してもらった。
2024-思考院-7004 『生物多様性と群集動態:定量化の数理と統計的推定法』
地球規模の環境問題のひとつに生物多様性の消失や減少がある。「消失や減少」を論じるには生物多様性を数値で定量化する必要がある。生物多様性の定量化は、食う・食われるという食物網と、森林樹木や草原の草食動物など同じ栄養段階の群集レベルに分かれる。それぞれに数理と統計的推定法がある。さらに、種内の遺伝的多様性、種間の生態機能多様性、ランドスケープレベルの多様性などもあり、それぞれで定量化研究が進められている。生物多様性を志す若手研究者は、野外調査や対象種に関する知識・考察力に加え、定量化についても知識とスキルが必要である。しかし、上記のような広範な中から自身の研究対象に適した定量化法や統計的推定法を選ぶのは、もはや至難の業となっている。 そこで本ワークショップでは、2024年10月24-26日、長野県菅平高原にある筑波大学山岳科学センターに近い宿泊施設ゾンタックにて、計40名による合宿形式で次ページのような話題提供を主とする形で開催された。参加者は、統計・数理・情報などを専門とする人より野外生物のフィールド研究や圃場・実験系などが多かった。対象生物も動物、植物から微生物まで、多様に分かれていた。
2024-思考院-7005 『統計サマーセミナー』
統計サマーセミナー2024は2024年7月30日から8月1日まで,新潟県南魚沼郡湯沢町の湯沢ニューオータニで行われた.本セミナーの目的は,研究発表の場を通じて将来の統計科学の発展を担う学生・研究者,あるいは実社会で企業人として統計科学を使いこなせるような人材を育成することにある.特に本セミナーで重要とすることは,研究発表・討論を通じた若手同士の交流である.多くの研究者・学生が,何らかの個別科学の学部学科等に所属しながら統計科学周辺の研究をしている現在の環境下において,研究早期の段階からいろいろな個別科学での統計の使われ方に触れ,視野を広げることは極めて重要であり,そのひとつの機会を与えるのがこのセミナーである. 本セミナーでは、63名の研究者・学生,社会人がオフラインで参加した.これにより,視野を広げるための十分多様な研究紹介が可能となり,活発な議論・討論をすることもできた.これにはこのセミナーならではの理由がある.まず,皆の年齢が近いため,遠慮のない質問・討論が行われることが挙げられる.また 2 回の招待講演を設け,特に学会講演では聞くことはできない実データ分析の最前線について講演者に紹介していただいた.毎晩のセッション終了後は,遅くまで激しく積極的な議論が繰り広げられ,各自が疑問点や様々な主張を繰り広げ,統計各分野間での活発な交流ができたといえる.すべての参加者にとって,実質的に得るところが大きいセミナーとなった.
2024-思考院-7006 『ネットワーク科学研究会』

公募型人材育成事業の助成により2025年3月4〜5日の2日間、統計数理研究所においてネットワーク科学研究会2024を開催いたしました。 今年度の研究会は現地での対面開催に加え、口頭講演のオンライン配信を行いました。本研究会は「ネットワーク科学」をキーワードに研究を行っている若手研究者を中心に、分野横断的に議論することで相互理解を深めること、情報共有の場を提供することを目的として企画されています。 オンライン参加も含めて110名を超える参加登録があり、90名を超える現地参加がありました。また、4件の全体講演、3件の大学院生による講演、45件のポスター講演がありました。遺伝子ネットワークのスピングラス理論を用いた統計物理学的解析、サプライチェーンや筋肉–骨ネットワーク構造の解析、航空ネットワークの遅延波及の解析、 マルチフラクタルスケールフリーネットワークの解析など様々なトピックの講演があり、分野の垣根を超えた活発な議論が行われました。ネットワーク科学分野と関連する分野の大学院生・若手研究者の交流を深める貴重な機会となりました。
2024-思考院-7007 『連続最適化および関連分野に関する夏季学校』

2024 年 8 月 24 日から 26 日にかけて, 統計思考院公募型人材育成事業として, 連続最適化および関連分野に関する夏季学校が開催されました. 本夏季学校は, 連続最適化とその関連分野における基本的な事項から最先端の動向までを整理・理解し, 学生を含む若手研究者の基礎力の養成および新たな研究テーマの発見を目的として 2021 年から開催しているもので, 研究開発の俯瞰報告書 システム・情報科学技術分野 (2023 年) 2.7.4 意思決定と最適化の数理においても言及されているものです. 今年は講師として東京大学の丸茂直貴先生と大阪大学の庵智幸先生をお招きして, それぞれ非凸最適化アルゴリズムとその計算量解析, 数理最適化への数式処理の一応用 ---制約想定が不要な最適性条件の導出--- と題した講義と演習をしていただきました. また, 現地会場での演習やポスターセッションでは参加者同士の議論が盛んに行なわれました. 現地と遠隔を合わせて 78 名と多くの方にご参加いただくことができました. 参加者数は昨年と比べて減りましたが, ポスター発表件数が 5 件から 9 件に増加し, 現地会場の盛り上がりはむしろ高まっていたように思われます. メーリングリスト等での 告知の回数を抑えた結果としてライト層の参加者が減ったものの, コア層の参加者には影響がなかったということのように思われます.
2024-思考院-7008 『理数系教員統計・データサイエンス授業力向上研修集会』

統計思考院公募型人材育成事業として、「理数系教員統計・データサイエンス授業力向上研修集会(札幌)」を「AI/デジタル社会を担う人材育成と教育体系~新課程における統計・データサイエンス教育の実践と高大社接続・産学連携授業~」を全体テーマに、北海道教育委員会・札幌市教育委員会 北海道高等学校教育研究会等の後援を得て、北海道大学数理データサイエンス教育研究センターとの共同主催および日本統計学会統計教育委員会・統計教育分科会や全国統計教育研究協議会、JDSSP 高等学校データサイエンス教育研究会等との共催で、2025年3月8日・9日の2日間にわたって、北海道大学地球環境科学研究院講義棟において開催した。当日は2日間で、産官学の関係者延べ200名が参加し、初等中等教育から高等教育・企業における社会人教育に至る統計・データサイエンス人材育成に関連して、学習指導要領の改訂と大学における数理・データサイエンス・AI教育モデルカリキュラムへの接続、とくに、近年注目される生成AIの企業や大学・高校での授業活用について、チュートリアル講演も含め、19件の講演と活発な質疑が行われた。





