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公募型人材育成事業

2021年度活動紹介

2021-思考院-7001 『天文観測におけるビッグデータ解析と宇宙論パラメータの推定』

2021年9月27日に「天文観測におけるビッグデータ解析と宇宙論パラメータの推定」というオンラインワークショップを開催した。 このワークショップの目的は、データ科学の一分野として進展著しい観測的宇宙論という研究分野を紹介し、データ科学や統計学を専門とする研究者の新規参入や、日本国内における観測的宇宙論をさらに推し進める若手人材の育成にあった。

観測的宇宙論とは、天文学および宇宙物理学の一分野を占める研究テーマで、実際に観測されるデータを利用して、宇宙の構造や起源を探究する学問を指す。 20世紀の終わり頃から現在まで続く天文観測の大型化の恩恵を受けて、様々な画期的な発見がなされてきた。 宇宙マイクロ波背景放射の発見とビッグバン宇宙模型の確立、宇宙加速膨張の発見、多様な観測データと比較可能な宇宙の構造進化の理論模型の構築など、ノーベル物理学賞に値する発見や進展が次々に起こるエキサイティングな学術領域である。 ワークショップでは、5名の招待講師を招き、現代の観測的宇宙論の主要な観測データを網羅するレビュー講演を行った。 ワークショップの参加者数は延べ94名で、そのうち天文学を専門としない方は46名、学生は29名であった。 この意味で、他分野からの新規参入、若手研究者の育成のために一定の役割を果たすことができた。 実際、講演者の1人から統計学関係の学生とやりとりし、面白い議論に進展しているとの報告もあり、共同研究の取っ掛かりとなったのなら幸いである。 ワークショップで使われた講演スライドと、講演後のオフラインな議論については下記のホームページより参照できる。
https://sites.google.com/view/ism-cosmology-2021

2021-思考院-7002 『データ同化夏の学校』

※詳細は2021年度統計数理研究所夏期大学院のページをご覧ください。

2021-思考院-7003 『地球科学データへの統計数理手法適用に関するワークショップ』

2021年9月21日から22日の2日間に渡って、Zoomを用いオンライン上で統計数理研究所公募型人材育成事業採択課題「地球科学データへの統計数理手法適用に関するワークショップ」が開催されました。参加者は25名でした。本ワークショップは、これからの地球科学の未来を担う若手研究者を中心に、それぞれが研究対象としているデータの取り扱い (取得方法や性質)、用いている手法、特に統計・数理手法、普段から抱いている“疑問”について共有するとともに、新しい統計数理手法を学ぶ機会を提供し、疑問の解決方法や新しい疑問の創出を通した分野の発展を目指して開催しました。オンラインであるため遠方からの参加が可能で時間の縛りも少なく、また分野を超えた研究者・学生さんの参加もあり、様々な角度からの疑問やコメントが寄せられ、積極的な議論が繰り広げられました。このことは参加者の皆様にとって貴重な機会となったことと思います。

2021-思考院-7004 『第16回Biostatisticsネットワーク』

医学統計学を専攻する大学院生の研究交流のためのワークショップ

2021年9月1日に、統計思考院の公募型人材育成事業の一環として「第16回Biostatisticsネットワーク」をオンラインで開催した。本行事は、医療統計学を専攻する国内の大学院生の研究交流を目的として毎年行われており、今年は大阪大学、大阪市立大学、北里大学、京都大学、久留米大学、静岡大学、東京理科大学、北海道大学、横浜市立大学の9大学から教員と学生を合わせて116名の参加があり盛会となった。本会の大きな特徴は、準備や運営も各参加大学からの学生委員が主体となって行い、その過程でも交流が深められるという点にある。今回は4つのセッションにおいて各大学の学生から、スパースデータバイアスへの対処、overlapping weightによる因果効果の推定などの医療統計方法論に関する問題、難治性喘息の増悪予測モデルといった具体的なデータ解析など多彩な内容の研究発表があり活発な討論がなされた。また、最後には、研究代表者である京都大学 佐藤俊哉による特別講演「医薬品承認審査―アカデミアの立場から―」があり、今後医療統計専門家として活躍する学生さんたちに医薬品承認審査への協力が呼びかけられた。

2021-思考院-7005 『統計サマーセミナー2021』

統計学を専攻する全国の若手による研究交流ワークショップ

統計サマーセミナー2021は2021年8月7日から8月10日まで、オンライン上 (Gather.town, Zoom, Slack)で行われた。

統計学が適用される分野は経済、経営、社会、農学、理学、医学、工学など多岐に渡る。そのため、統計学を学ぶ学生や若手の研究者においても、各自の専門分野だけでの知識の習得はもちろんだが、その周辺やさらに別分野での統計利用を知ることは大変有意義である。このような異分野交流は、研究者自身の質を上げるだけではなく、統計学の今後の発展にも寄与できると期待される。

本セミナーの目的は、若手に研究発表の機会を与え、将来統計学の発展を担う学生・研究者、あるいは実社会で企業人として統計学を使いこなせるような人材を育成することにある。特に本セミナーで重要とすることは、単に発表することだけではなく、研究発表・討論を通じた若手同士の交流である。多くの研究者・学生が、何らかの個別科学の学部学科等に所属しながら統計学まわりの研究をしている現在の環境下において、研究早期の段階からいろいろな個別科学での統計の使われ方に触れ、視野を広げることは極めて重要であり、そのひとつの機会を与えるのがこのセミナーである。実際にセミナーでは非常に多くの成果を得ることができた。まず、オンライン開催という敷居の低さもあり、118名の研究者・学生を集めることができた。これにより、視野を広げるにあたり、十分多様な研究紹介が可能となった。また、活発な議論・討論をすることもできた。これには、 本セミナーならではの理由がある。まず、皆の年齢が近いため、遠慮のない質問・討論が行われることが挙げられる。また 2 回の招待講演を設け、特に学会講演では聴く機会の少ない研究初期段階での問題点やこれまでの研究過程の紹介なども講演者に紹介していただいた。加えて、この人材育成事業による補助で、Gather.townというバーチャル空間が利用可能となり、講演外の時間でも心おきなく討論が可能となった。実際、毎晩のセッション終了後は、オンラインにも関わらず、遅くまで激しく積極的な議論が繰り広げられ、各自が疑問点やさまざまな主張を繰り広げ、統計各分野間での活発な交流ができたといえる。総じて、すべての参加者にとって、実質的に得るところが大きいセミナーとなった。

2021-思考院-7006 『探索的ビッグデータ解析と再現可能研究』

再現性のあるビッグデータ解析に資する技術情報の共有を目指すワークショップ

本ワークショップは、2021年8月29日(日)にZoomウェビナーを利用しオンラインで開催され、53名の参加者があった。講演では、大規模財務データに対して再現可能性を保ちながら前処理・可視化・統計モデリングを行うことが具体的な事例を利用して説明された。特に、データ解析環境の構築や前処理・ラングリングに関する技術的側面、ビッグデータ解析に関する理論的側面、さらに可視化によって企業行動の実態を明らかにするといった実学的側面から紹介された。

2021-思考院-7007 『ネットワーク科学研究会』

ネットワーク科学を研究キーワードにもつ若手によるワークショップ

2021年12月11日, 12日の二日間、金沢商工会議所の現地開催およびオンライン配信のハイブリッド形式で、公募型人材育成事業の助成によりネットワーク科学研究会2021を開催しました。「ネットワーク科学」をキーワードに研究を行っている若手研究者を中心に、分野横断的に議論することで相互理解を深めること、情報共有の場を提供することを目的として企画しました。

オンライン参加も含めて計125名の参加登録があり、8件の全体講演、3件の大学院生による講演、21件のポスター講演がありました。神経系の数理モデルから都市空間における人流データ解析、さらにアルゴリズムまで様々なトピックの講演があり、分野の垣根を超えた活発な議論が行われました。当分野と関連分野の大学院生・若手研究者の交流を深める貴重な機会となりました。貴研究所のご支援に感謝申し上げます。

2021-思考院-7008 『連続最適化および関連分野に関する夏季学校』

2021 年 8 月 23 日から 25 日にかけて、統計思考院公募型人材育成事業として、連続最適化および関連分野に関する夏季学校がオンライン会議システム Zoom を用いて開催されました。本夏季学校は、連続最適化とその関連分野における基本的な事項から最先端の動向までを整理・理解し、学生を含む若手研究者の基礎力の養成および新たな研究テーマの発見を目指すことを目的としました。今回は講師として明治大学の飯塚秀明先生と京都大学の佐藤寛之先生をお呼びして、それぞれ不動点理論と最適化、リーマン多様体上の最適化理論とその周辺と題した講義と演習をしていただきました。この夏季学校では、講義を聴く時間に加えて、講師に作成していただいた演習問題を参加者が解き、講師の前で解答を発表する時間を設けました。これにより、講義で扱われた内容を頭だけでなく腕でも理解することができた (あるいは理解したつもりがそうでもないことを痛感できた) ように思われました。オンライン開催ということもあり、118 名と多くの方にご参加いただくことができましたが、一方で対面での交流が待ち遠しくも感じられました。