コラム

竹林・竹材と資源管理:数理モデリングの展開

吉本 敦(学際統計数理研究系)

私が運営に関わっているAgFReMリサーチコンソーシアムには、昨年度よりフィリピンのBenguet State Univ.が参画している。今年度(2025年度)には同大学との間でMoUも締結し、研究交流がさらに進みつつある。その一環として、昨年11月にBenguet State Univ.で開催されたシンポジウム「Bridging Science, Policy and Practice: A Look at ICFEC 2025」に参加した。併せて森林資源管理に関するワークショップも開催し、現地研究者との議論を深める機会を得た。

竹林管理について改めて考えるようになったのは、数年前、台湾の友人から相談を受けたことがきっかけである。彼は竹資源の管理と利用も研究対象としており、竹林管理の最適化について意見を求めてきた。台湾では伝統的にカキ養殖の足場として竹材が利用されており、安定した供給が求められている。しかし、無計画な伐採を続ければ資源は枯渇してしまう。そこで彼は、環境に配慮した“緑の回廊”を形成しながら持続的に竹材を供給する管理方法を模索していた。回廊を設けることで、大面積の皆伐を避け、生態系への影響を抑えたいというのである。話を聞きながら、これまで開発してきたAggregation系の最適化モデルを応用できるのではないかとも感じた。しかし、竹林資源を管理するには資源量の把握が不可欠である。友人はLiDAR研究者であったが、竹林の資源量把握やモニタリングは想像以上に難しく、この話はその時点で暗礁に乗り上げ、共同研究として具体化するには至らなかった。

そんな折、Benguet State Univ.の友人から、フィリピンで州政府レベルの大規模な竹産業プロジェクトが進められていることを聞いた。台湾のカキ養殖とは異なり、植林による竹林造成から伐採、加工までを含む総合的な竹材産業の構築を目指しているという。フィリピンでは、日本の孟宗竹のように地下茎が長く広がる散生竹ではなく、地下茎が短く株状にまとまって生育する叢生竹(そうせいちく)が主流である(写真1)。そのため、生育や収量は株(clump)単位で評価される。植林後5~6年ほどで、一つの株から数本の竹を伐採して収穫し、残された親竹から新たな竹が再生され、次の伐採につながるという。この植林から伐採、再生へと続くサイクルを見ていると、竹という資源のユニークさを改めて感じる。同時に、森林資源管理で取り組んできた間伐最適化モデルが応用できる可能性も見えてきた。伐期が比較的短いため、管理戦略の成果を比較的早く評価できる点も興味深い。

帰路の途中、以前建設された世界で最も高い竹製の像を見学する機会があった。高さ50.23メートルで、ギネス世界記録にも登録されているという(写真2)。竹という資源の可能性を目の当たりにしながら、資源と技術が組み合わさることで新しい産業が生まれ、その背後で効率的な資源管理が実現されれば、SDGsを志向した持続可能な地域社会の形成にもつながるのではないかと感じつつ、来年度の研究構想を練っていた。

写真1:フィリピンの代表的な叢生竹kawayan tinik(カワヤン・ティニック)の株

写真2:竹で作られたギネス世界記録の像(St. Vincent Ferrer Prayer Park, Bayambang, Pangasinan, Philippines)

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