コラム

統計関連学会連合大会

藤澤 洋徳(数理・推論研究系)

 先日、統計関連学会連合大会が九州大学で開催されました。十年ほど前までは、それぞれの学会がそれぞれに大会を行っていました。 それが今のような形になって、今ではそれが普通になっているように感じています。

 連合大会の準備段階から事務局のメンバーとして参加していた私としては何とも言えない感慨があります。あの頃は本当にたいへんでした。連合大会が始まる時には、一緒にやってうまく行くのだろうかという不安も混じりつつの出発でした。しかし、現状を見れば、大成功しているのではと感じています。

 何といっても、参加者は圧倒的に増えていると思います。もしかしたら、参加者数に関しては勘違いが入っているかもしれませんが、雰囲気は間違いなく明るくなっていると思います。昔に比べると、研究報告での議論も活発になったように感じます。連合大会になって、様々な分野が一堂に会するので、それぞれの学会が刺激しあったり、それぞれの分野が刺激し合っているのが大きいのではないでしょうか。統計の研究業界が全体としてどういう方向に動いているのかというのも、連合大会になって、感じやすくなっているように感じています。

 企画セッションができたり、コンペティションができたり、学会賞受賞者講演があったり、いろいろと工夫も続いていると思います。企画セッション のおかげで、企画された分野の意図などを感じやすくなりました。何と言っても、企画しようとする方々は気概があるので、そのセッションには熱意があります。そういう熱意が、学会の上からではなくて、会員レベルから汲み上げるシステムは活気を生みやすいと思います。コンペティションは、若い研究者に活力を与えているようです。それを目標にしている若い研究者の話を聞くと、あって良かったなあと思います。学会賞受賞者講演は、日本の学会で何を受賞者レベルと認識しているのかが、良く分かります。

 連合大会では、私はふだんは自分に関係の深いテーマを選んで、話を聞いています。しかし、参加者数が増えすぎて、パラレルセッションが多くなりすぎたため、聞きたい講演が重なっていて残念な思いをすることはたびたびです。これは、しばしば周りで言われている、連合大会になってからの問題点です。統計数理研究所が幹事であった1994年はパラレル数は基本的に3でした。今回は基本的に9です。いかに講演数が増えているかが分かります。

 とは言っても、自分が聞きたい講演がない時間帯もあります。そういうときには、あえて自分の研究から遠いセッションを選んで聞きに行ったりしています。どうしても狭い興味に陥りがちな自分を広くする絶好の機会だと思っています。わざわざ違う分野の研究集会を聞きに行くのは、なかなか足が向きませんが、学会の最中で自分に空き時間ができたのであれば、気楽に参加することができます。そういう意味で、私はパラレルセッションを前向きに捉えています。とは言っても、パラレル数が増えすぎて、聞きたい講演がすべてばらばらのセッションにあることが普通になってしまっては、困ってしまいますが。

 まあ、とにもかくにも、統計関連学会連合大会は、統計科学の懐の広さが感じられて、お祭りのように楽しいです。やっぱり、大会は、「参加してやる気になる」というのが重要だと思います。今後も、少しずつ工夫がされて、少しずつ良い方向に向かって、お祭りのような大会が続くことを楽しみにしています。

アイ・コンタクトのあるプレゼンテーション

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