3月27日(土) ※開場12:45 | ||
開始 | 発表者 | 概要 |
13:10~ | 石川有香(名古屋工業大学) 「ジャンル特性の抽出」 |
本研究では,媒体,トピック,書き手・話し手の属性,フォーマリティなど,様々な要因によって生じるとされる言語変種のうち,新聞・小説・論文などのテキスト・タイプとトピックの2つの要因を取り上げる。これまでにも先行研究においてはテキストタイプによる言語特徴の抽出が行われている。ここでは手元のデータを用いて,先行研究の結果を検証してゆく。 |
13:40~ | 小山由紀江(名古屋工業大学) 「科学技術英語の特徴表現:Nature を対象とした分析」 |
本研究の目的は科学誌Natureの特徴表現を抽出しその評価を行うことである。分析の対象は「主部」と「文修飾副詞句」に限定し抽出法としては中高英語教科書を比較コーパスとして分類器の手法(田中・小山,2009)を用いたものである。4-gramによる抽出結果との比較にも言及する。 |
14:10~ | 田中省作(立命館大学) 「構文情報を考慮した ESP コーパスからの特徴表現の抽出 |
本発表では,(田中・小山, 2009)をベースとした,特定分野のコーパスから特徴表現を抽出する,より洗練された方法を提案する.提案手法は,構文情報を活用し,特徴表現の抽出単位を文法役割とすることでその使用状況を明確化し,併せて文法的抽出条件を課すことで冗長・不自然な表現の抽出を抑制する.情報科学系の論文コーパスを用いた実験で,提案手法は従来手法に比して自然な特徴表現を効率的に抽出できることが確認された. |
15:00~ | 宮崎佳典(静岡大学) 「コーパスを用いた英語技術文書作成補助ツールの試作と評価」 |
本論文では,非英語話者が英文による技術文書を作成する際に助けになるように試作したWeb上援用ツールについて報告を行う.入力した英文に対し,類似度の高い実際の使用例を技術文献コーパスから抽出して提示する.類似度を計測する尺度にはコサイン類似度とJaccard係数を採用した.今回構築したツールは,よりふさわしい使用例が上位に来るよう,適宜類義語による置換も行い,検索対象とした.実験では,情報系大学(院)生が作成した英語技術文書の実例に対し,4種類の技術文書コーパスと2種類の尺度の組み合わせで出力を行い,比較を行った. |
15:30~ | 中野智文(NTTレゾナント) 「特徴語の統計量指標の正規化」 |
特徴語を抽出する指標はジャンルでの比較には有効だが,ジャンル間での比較はできない.そこでジャンル間での比較を可能にするための正規化手法を提案する. |
16:00~ | 長 加奈子(北九州市立大学) 「日本人英語学習者の前置詞 in のプロトタイプに関する量的分析」 |
本発表は,認知言語学における用法基盤モデルに基づき,日本人英 語学習者の英語前置詞 in のプロトタイプ形成に影響を及ぼすインプットについてその特徴を,高等学校の検定教科書を用いて
量的に分析する。 |
16:30~ | 高見敏子(北海道大学) 「言語データのタイプと適用可能な統計的手法の分類」 |
コーパス言語学の分野において,どのようなタイプの言語データが用いられ ているのか,また,それらのデータにどのような統計的手法が用いられているかを概観する。 |
3月28日(日) ※開場10:00 | ||
10:15~ | 石川慎一郎(神戸大学) 「頻度を取り出すことで分かりだすこと:BCCWJに見る日本語複合動詞『~出す』の用法」 |
複合動詞「出す」には,プロトタイプ性の高い外部移動(取り出す)と,比喩的拡張の起こった開始アスペクト(わかりだす)という2つの基本意味しか存在せず,意味的には透明性の高いものである。しかし,現代日本語における用法についてはいまだ十全な記述が行われていない。本研究ではBCCWJを利用し,複合動詞「出す」の表記・意味・V1結合における典型性・ジャンル干渉などについて調査を行った。その結果,漢字表記の優先性,外部移動の優先性,V1結合に見られる高度の制約性,3大ジャンルによるV1結合への干渉などなどの知見が得られた。 |
10:45~ | 中尾桂子(大妻女子大学) 「教師に意識される学生の文章表現上の問題と学生作文の性質について」 |
O大学X学部S学科学生の教師の考えと学生の記述についてそれぞれ1点ずつ確認し た。すなわち,総合印象と各観点との相関分析で見た教師の問題意識と,語彙,
表記規則,構成に関する項目を指標に判別分析で確認した記述物の均一性であ る。結果から文章表現指導における今後の重点指導観点と指導体制の方向性を検
討した。 |
11:15~ | カレイラ松崎順子(東京未来大学) 「小学生の英語学習に対する動機づけに影響を与える要因」 |
Vallerand (1997)は自己決定理論をもとに階層的内発的・外発的動機づけモデル ( HMIEMモデル:社会的要因→心理的3欲求→動機づけ→結果)を提案しているが,本研究では,日本の小学校においてもHMIEMモデルがあてはまるかを共分散構造分析によって検証した。また,中学年と高学年の違いがどのようにモデルに表れるかを検討するため,多母集団の同時分析を行った。 |
13:00~ | 三宅真紀(大阪大学) 「Rによるネットワーク分析ツールの作成とテクストマイニングへの応用」 |
本発表は,ネットワーク分析によるテキストマイニング研究を目的として,統計解析フリーソフトRのパッケージ(RMeCab,igraph)を用いて開発した,テキストの共起情報によるネットワーク分析ツールの紹介とテキストマイニングへの応用例について示す。 |
13:30~ | 後藤一章(摂南大学) 「多変量アプローチに基づくBNCにおける名詞の統語構造の分析」 |
本研究の目的は,英語の名詞が実際の言語運用の場においてどのような統語構造で使用されているかを,コーパスに基づいて実証的に明らかにすることである。BNCにおける高頻度名詞の統語構造別の生起頻度を多変量解析で分析した結果,名詞によって特徴的な統語構造が「副詞的使用」「主語・目的語・補語としての使用」「前置詞句補語としての使用」「前置修飾語としての使用」に類型化されることが明らかとなった。 |
14:00~ | 三木 望(大阪大学大学院) 「多変量解析による主語と述語へのアプローチ」 |
本発表では,日本の主要新聞4社の英語社説と英国高級紙4社の社説から,主語と動詞,及び主語と助動詞をの組み合わせを抽出して,多変量解析で分析を行い,各社の特徴と主語と述語の特徴を分析した。その結果,英国高級紙には代名詞主語が多く,mightのようなヘッジを表す助動詞が特徴的だったのに対して,日本の英語社説はshoudやmustの義務的な助動詞とヘッジの機能を持つweの組み合わせが特徴的だった。その他,翻訳文にはみられないパターンが英国高級紙社説で確認されたことを報告する。 |
14:50~ | 小林雄一郎(大阪大学大学院) 「日本人の英作文はどこが不自然なのか?―テキストマイニングを用いた学習者作文の談話分析」 |
母語話者は,どうして非母語話者の英語が母語話者によるものではないと分かるのか。非母語話者の英語における「不自然さ」とは何か。本研究の目的は,談話分析の観点から,多変量アプローチを用いて,母語話者の英作文と非母語話者の英作文を分類し,2つの群を識別する特徴を抽出することにある。 |
15:20~ | 田畑智司(大阪大学) 「TF-IDF 値を通してみるテクスト間の言語変異―文体論研究への応用可能性を探る―」 |
Manning & Schütze (1999)他で紹介されている Term frequency-Inverse document frequency (TF-IDF) 法は,情報検索におけるその効用が示されている。他方,生頻度をもとにした語彙頻度プロファイルは,言語変異や文体的特徴の観察において,これまで一定の成果をもたらしてきた。本研究では,生頻度による語彙頻度プロファイルと,TF-IDF値による重み付けを施したプロファイルを比較検討し,TF-IDF値はテクストのどのような特徴を浮き彫りにできるのか,スタイル研究の視座から検証する |