計算機の歴史:1964年
1964(昭和39)年
1.運営の方法
運営委員会を組織し、各部から計算委員をだして運営している。
- 主 任 1名(石田 正次)
- 一般管理 1名(崎野 滋樹)
- 解 析 2名(責任者:渋谷 政昭)
- 計 算 4名(責任者:駒沢 勉)
プログラミングおよびパンチングは原則的に各研究室で行っている。
現用計算機はHIPAC 103 を主体とした TSK III でその仕様は大略次のようである。
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計算機本体:
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数値語:
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2進48桁、絶対値表示、固定および浮動小数点
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<符 号> <数 値>
固定小数点 1桁 47桁
浮動小数点 1桁 仮数39桁、指数8桁
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命令:
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1アドレス、1語2命令、命令約110種、インデックス・レジスター3個、命令語番地制御カウンターによる修正可能
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<演算速度> <固定小数点> <浮動小数点>
加減算 0.4 ms 0.4 〜 1.3
乗 算 1.8 ms 1.8 ms
除 算 6.5 ms 5.7 ms
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記憶:
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磁気コア 4,096 語
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小型磁気ドラム 8,192 語(内4,096 語アドレッサブル)
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平均待時間 10ms (1トラック256 語)
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万能入出力装置:
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さん孔タイプライター:
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印字速度 500字/分
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1行印字数 80字
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活字の種類 94種(3段シフト)
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紙テープさん孔速度 500字/分
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機械式テープリーダー:
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読取速度 500字/分
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光電式テープリーダー:
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読取速度 200字/砂(8単位テープ使用)
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高速さん孔機:
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さん孔速度 1,500 字/分
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紙テープ巾 25.4 mm(8単位)
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XY- レコーダー:
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プロット速度 X軸、Y軸方向
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20ステップ/砂(1ステップ0.254 mm)
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ペンの上下 10回/砂
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記録用紙 巾30 cm , 長さ36 m
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大型磁気ドラム記憶装置:
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記憶容量 51,200 語(1トラック512 語)
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平均待ち時間 20 ms
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磁気テープ記憶装置(2基):
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記憶容量 約76万語
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テープ幅 12.7 mm
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テープ長 約110 m /巻
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テープ送り速度 200 cm /秒(約 2,000 語/秒)
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巻戻し時間 4 分以内
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起動停止時間 7 ms 以下
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高速度印刷機:
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印字速度 300 行/分(最大)
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1行字数 最大120 字
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活字種類 94 種類
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A - D 変換器:
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変換時間 1点200μS
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入力電圧 ±10 V
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変換誤差 ±0.1%以下(定電圧フルスケール)
この特色は A -D 変換器、 XY レコーダーが附属していることで、直接実験装置、グラフなどからデータを本体に送り込み、更に計算結果をグラフの形で取り出すことができる。
なお、昭和39年度内にアナログ型計算機が完成するが、これは前記のディジタル型計算機と組み合せ、ハイブリッド計算機として使用される。
3.建 物
建面積 165平方米
延面積 324平方米
ディジタル計算機室 79平方米
アナログ計算機室 24平方米
パンチ室 33平方米
空気調節機室 17平方米
4.プログラム
プログラミングは主に HARP(日立製作所が開発した FORTRN 相当のコンパイラー)により行われ、補助的に HISIP 130 B(同じく Symbolic Input Program )を使用しているが、より高性能のアセンブラーを当室で開発中である。
5.計 算
主に統計計算を行っているが、そのうち比較的頻度の多いものをあげればつぎのようになる。
- a.線型計算(数量化法、リニヤー・プログラミングなどを含む)
- b.回帰分析
- c.尤度方程式
- d.モンテカルロ法
- e.擬似乱数の作成及びその検定
- f.時系列分析
- g.波動分析
- h.確率過程
- i.微分方程式
- j.集 計
一日平均の稼働時間は約9時間30分、正味計算時間は6時間30分である。