最適化とその応用: 未来を担う若手研究者の集い 2018

  • 日時: 2018 年 6 月 9 日 (土) 9:45--18:00 (開場は 9:00 頃) および 10 日 (日) 9:00--16:25 (開場は 8:30 頃)
  • 会場: 筑波大学 筑波キャンパス 春日地区 春日講堂 (交通アクセス, キャンパスマップ)
  • プログラム: こちらをご覧ください.
  • 特別講演
    • 講演者: 今井浩氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻)
    • 講演題目: 最大カット問題と量子計算 --- 常識の「嘘」も考えながら
    • 講演概要:

      講演者が大学院生だったとき、NP 困難な組合せ最適化問題の中で、 凸多面体的組合せ論の観点から最も取組みやすそうな問題としてグラフの最大カット問題をあげていた先生のセミナーに参加していたことがある。 以降、歳を重ねる中で、学部時代から指導教官のところにほぼ毎年来訪していた北米の先生の博士論文が、 実はカット多面体を軸にしたものであったということも知り、不思議な思いをもっていた。

      一方、それとは独立なつもりで講演者が 2000 年から 2011 年までの長い期間関わった量子計算に関する JST ERATO/SORSTプロジェクトでは、 そのカット多面体が量子力学が古典力学と違うことを実験的に示すために提案された Bell 不等式と直結したものであることも上記で後者の先生が見出し、 半定値計画問題が古典では達成できない量子力学の限界値を与えることの周辺も研究する機会を得た。 近年色々なレベルの記事で報道されている量子アニーリングによる組合せ最適化においても、 まさしくグラフの最大カット問題を解くことが行われている。 あたかもこれまでの組合せ最適化がマイナーなものになるかのような報道もあったりしている。

      このような不思議な関係を 1 つの軸にし、 他方でたとえば近似値比といった尺度に関して手段が目的化している話などの『常識の嘘』に関することをもう 1 つの軸として、 これから研究をさらに推し進める方の前で話してみたい。

  • 表彰
    • 最優秀発表賞
      • 林興養氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
        CAT(0) 立方複体上の測地線を求める多項式時間アルゴリズム
      • 藤井海斗氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
        辞書選択のための高速な貪欲アルゴリズム
    • 優秀発表賞
      • 酒向亮氏 (筑波大学 大学院システム情報工学研究科 社会工学専攻)
        2 点素最短パス問題に対するアルゴリズム
      • 尾形一穂氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
        2 次元一般化プロクラステス解析の SDP 緩和解法におけるランクリカバリー現象の解析
      • 伊藤伸志氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻 / NEC データサイエンス研究所):
        予測モデルに基づく数理計画における過大評価問題
      • 平野敬祐氏 (中央大学 大学院理工学研究科 情報工学専攻)
        二重総当たりリーグ戦における移動距離の最小化
      • 池田基樹氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
        平衡な有向グラフに対するカットを近似したグラフの疎性化
      • 福薗菜央佳氏 (名古屋大学 大学院情報学研究科 数理情報学専攻)
        スプリットグラフにおける 2 人プレイヤー拡散競争ゲームのナッシュ均衡の存在性
      • 中山舜民氏 (東京理科大学 大学院理学研究科 応用数学専攻)
        メモリーレス準ニュートン法に基づいた非厳密近接勾配法
      • 岩政勇仁氏 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻)
        完全多部四点木システムからの系統樹復元
  • 参加者数: 149 名
  • 当日の写真: こちらからご覧いただけます.
  • 謝辞: 本研究集会開催にあたっては吉瀬章子先生をはじめとする多くの筑波大学関係の皆様にご協力いただいております. また, 開催にあたり, 筑波大学大学院システム情報工学研究科社会工学専攻より補助をいただいております. ここに記して感謝申し上げます.
  • これまでの未来を担う若手研究者の集い: 2017, 2016, 2015, 2014, 2013, 2012, 2011, 2010, 2009, 2008, 2007, 2006, 2005, 2004, 2003, 2002, 2001