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統計思考院とは

第2代院長の言葉

統計数理研究所は、今期の中期目標・中期計画のひとつとして「統計思考力を備えたT型人材育成による融合研究の推進」を掲げています。その実現のために統計思考院を立ち上げました。

科学としての統計学は確率的な変動を含むデータの性質・特徴を把握・記述し、未知のものを推測・予測することを重要な目的としています。そしてその成果は他の科学の場合と同様に、技術として有用な道具を提供し実際の問題を解決するために利用できます。現実のデータは科学としての統計学の対象であり、新しい統計学を開拓するための原動力です。さらに統計学の成果として提供される技術を、それらに適用することにより価値のある情報を産みだし、現実の問題を解決することが可能となります。このような統計学の性格に鑑み、統計数理研究所では統計学研究者のみならず他分野の研究者との共同研究・融合研究を積極的に行ってきました。

近年、インターネットを含む計算機技術や計測技術の発達に伴い、現実のデータはますます複雑で大規模なものになっています。そのようなデータを扱うとき、最新の統計思考ができる人でなければデータに埋もれている重要な情報を発見することはできず、したがって問題の解決も望めません。そのため、新しい統計学を学び、それを応用することができる統計思考力を備えた人材はますます重要になっています。しかしながら我が国の大学では統計学の教育・研究は理学部、工学部、医学部などで細分化されて行われており、諸外国とは異なり独立した「統計学科」のような組織はほとんどありません。そのため統計思考力を備えた人材の育成は不十分と言わざるをえません。

平成30年5月 統計思考院 院長 川崎 能典