リスク解析戦略研究センターシンポジウム


<開催日時>
2022年7月28日(木)14:00-17:30
【オンライン開催・参加費無料・要申込】
終了しました。
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リスクシンポジウムポスター
<参加申し込み>
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プログラム
■14:00-14:15  開会の挨拶・統計数理研究所リスク解析戦略研究センター紹介
山下 智志
(統計数理研究所・リスク解析戦略研究センター長)
<特別講演>
座長:鎌谷 研吾(統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター・准教授)
■14:15-14:50 「時空間確率場モデルの最近の展開について」
矢島 美寛
(東京大学・名誉教授)
本講演では固有定常確率場(Intrinsically Stationary Random Field(ISRF))に関する推測理論, また近年提案された新たなモデルに対してこれらの理論の拡張可能性, さらに実現値を関数データとみなす時空間関数データ解析への応用などについて議論する.
ISRFはIto,K.(1953 Mem.Col.Science. Univ. of Kyoto XXVIII), Yaglom,A.M.(1957 Theory Probab. its Appl. II)を先駆けとして長い歴史をもつ. 今日に至るまでISRFに対するモデルの理論的研究および実際の時空間データへの応用可能性については盛んに議論されてきた. Fractional Brownian Field(FBF)はその典型的なモデルの一つである. ただしFBFは異時点(異地点)の観測値間の相関が距離のみに依存し方向には依存しない等方的(isotropic)なモデルであり, 近年相関が方向にも依存する非等方的なモデルも提案されている.
パラメータの推定法としては, 実現値に対してまず時空間上の階差をとり, 階差データに最尤法・最小2乗法を適用する方法がよく知られている. 時系列解析とは異なりこの方法ではどのような階差を取るべきかその選択がまず問題になる. この問題を回避するため, 本講演では実現値の時空間フーリエ変換を行い, 変換されたデータに対して擬似最尤法などの推定法を提案する. その性質について考察する. またこれらの推定法の時空間関数データへの応用について議論する.
■14:50-15:25 「金融高頻度データにおける先行遅行関係」
小池 祐太
(東京大学大学院 数理科学研究科・准教授)
複数の時系列データ間の先行遅行関係の分析は,多くの分野において重要なトピックである.電子化され高速化した現代の金融市場においても,秒未満の超短期的なタイムスケールにおいては金融資産の価格間で先行遅行関係が観察されるケースがあり,その関係を分析することで価格形成がどのように行われているのかということについて知見を得ることができる. そのような超短期的タイムスケールにおける先行遅行関係を分析するには金融高頻度データが必要になるが,観測時刻が非等間隔・非同期であるために,分析には従来とは異なるアプローチが必要となる.本講演では,この目的のために近年提案されているいくつかの方法を概観したのち,実際の分析事例として,日経平均/TOPIX連動型上場投資信託(ETF)間の先行遅行関係に関する分析結果を紹介する.
休憩 15:25-15:40
<チュートリアルセッション> ~ 地理情報と時空間モデリング ~
座長:村上 大輔(統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター・助教)
■15:40-16:30 「時空間データの統計モデリング:都市・地域問題への応用」
村上 大輔
(統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター・助教)
地理空間データの多様化や大規模化が進む中、それらを解析するための様々な(時)空間統計モデルが開発されてきた。本発表では、まずは空間的な相関や異質性といった地理空間データの基礎的特性を考慮した統計モデルについて説明する。次に、計算量が大きくなりがちな通常の空間統計モデルを大規模データに応用するための近似を紹介する。ここでは特に低ランク近似を活用する方法について説明する。最後に、コロナウィルス感染症や防犯を含む都市・地域の実問題への空間統計手法の応用事例について紹介する。
休憩 16:30-16:35
■16:35-17:00 「スマートカードデータを用いた移動パターン解析」
石井 良尚
(豊田中央研究所 クラウドインフォマティクス研究領域・研究員)
大規模位置情報データを分析し、人々の移動パターンを理解・モデル化することで、交通政策の意思決定に役立てようとするデータ駆動型の研究が、近年取り組まれ始めている。意思決定のためのデータ分析手法には、既存の交通モデルと整合していることや、解釈可能な結果を出力することが求められる。
そこで今回、解釈可能な結果を出力する分析手法としてテンソル分解に着目、人の移動を説明するエントロピー最大化モデルとテンソル分解モデルを統合した、新たなモデルを提案した。

本講演では、交通分野の位置情報を用いた最近の取り組み、テンソル分解や提案モデルの概要、提案モデルを広島都市圏で利用されている交通系ICカードの実利用データに対して適用した結果について紹介する。
■17:00-17:25 「動物の時空間情報解析から見えてくること」
山本 誉士
(麻布大学 獣医学部 動物応用科学科・准教授 )
野生動物の保全や管理において、彼らの時空間動態の把握は必要不可欠です。しかし、季節や年による変動を含む動物の生息分布を調べるには、時間的・空間的な限界があります。そこで、生息分布密度とその背景にある物理的・生物的環境との関連を捉えることで、環境情報から当該種の時空間動態を確率的に推定する統計手法が用いられています。一方、環境ニッチがあれば、生息域の範囲外でも分布確率が得られます。そのため、距離に応じた減衰係数を組み込むことで個体群や種のホームレンジを反映することに加え、空間利用の雌雄差や繁殖時期による差などの生態情報も考慮することで、より実態に即した推定が可能になります。空間分布の変化は採餌効率、ひいては繁殖成功にも影響すると予想されます。本発表では、鳥類を題材にして、空間分布と繁殖地での行動の関連についても紹介します。
■17:25-17:30  閉会の挨拶
椿 広計
 (統計数理研究所・所長)
<主催>
統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター
<共催>
医療健康データ科学研究ネットワーク
<お問合せ先>
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター事務局
E-mail: rco[at]ism.ac.jp ※[at]を@に変更してお送りください。