疫学・公衆衛生統計

概要

疫学・公衆衛生における統計的な側面について学びます。大学や企業の生物統計家を中心とする医学系研究者を対象とした中級レベルのコースです。疫学・公衆衛生の概要、人口学、研究デザインについて学んだ後、年齢・時代・世代効果、因果推論、経時データ解析などの各テーマについて、魅力的な講師陣より学びます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してから疫学・公衆衛生への関心が高まっています。本年度はCOVID-19に関する疫学および公衆衛生についても取り上げます。3年目の人気のコースです。10月、12月に開催予定です。

オーガナイザー

船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所)

開催要項

日 時 疫学・公衆衛生統計Ⅰ:2020年10月5日(月)13:20~16:50および2020年10月15日(木)13:30~16:45
疫学・公衆衛生統計Ⅱ:2020年12月2日(水)13:00~17:20および2020年12月4日(金)13:00~17:20
会 場 Web開催になりました。
参加申込 お申し込みについては こちら からお願いいたします(2020年9月16日(水)10:00頃より開始予定です)。

コースの構成

疫学・公衆衛生統計Ⅰ

  1. 「疫学・公衆衛生統計:はじめに」
    日時:2020年10月5日(月)13:20~13:30
    講師:船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所)
  2. 「疫学・公衆衛生学概論」
    日時:2020年10月5日(月)13:30~15:00
    講師:大橋靖雄 教授(中央大学)
  3. 「人口学的アプローチ」
    日時:2020年10月5日(月)15:20~16:50
    講師:金子隆一 教授(明治大学)
    概要:現在わが国は歴史的転換過程にあり、今後21世紀を通して世界一二の人口減少と高齢化を経験して行く。疾病・死因構造やその課題は一変し、医療・介護などの社会保障制度や日本社会そのものの存立が揺らぐ。本講義では人口学的視点から今後の疫学・公衆衛生の課題に迫り、元となる人口変動(少子化、長寿化等)、分析法、対処について解説する。
    参考書:
    ・金子隆一・村木厚子・宮本太郎『新時代からの挑戦状-少親多死社会をどう生きるか-』厚生労働統計協会, 2018.
    ・国立社会保障人口問題研究所編『日本の人口動向とこれからの社会: 人口潮流が変える日本と世界』東京大学出版会, 2017.
  4. 「疫学I 疫学とはなにか?」
  5. 「疫学II 代表的な疫学研究:コホート研究とケース・コントロール研究」
    日時:2020年10月15日(木)13:30~15:00・15:15~16:45
    講師:佐藤俊哉 教授(京都大学)
    概要:疫学とはどんな学問なのか、どのような問題の解決に貢献してきたのか、疫学Iでは疫学の歴史について解説します。疫学IIでは、疫学研究の代表的なデザインであるコホート研究とケース・コントロール研究について、大気汚染と呼吸器疾患との関連を調べた疫学研究である環境省「そらプロジェクト」を例に解説します。
    参考書:
    ・佐藤俊哉. 宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ. 岩波科学ライブラリー114, 2005.
    ・佐藤俊哉. 17. 疫学研究. 丹後俊郎, 松井茂之編, 新版 医学統計学ハンドブック, 朝倉書店, pp. 498-511, 2018.

疫学・公衆衛生統計Ⅱ

  1. 「経時データ解析・COVID-19に関する疫学および公衆衛生」
    日時:2020年12月2日(水)13:00~13:45
       2020年12月4日(金)13:00~13:45
    講師:船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所)
    概要:複数の対象者に対し、反応を時間の経過と伴に繰り返し観測する経時データの解析方法について、連続型反応変数の解析に用いられる線形混合効果モデルを中心に解説する。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する疫学および公衆衛生について主に学術文献を基に解説する。
    参考書:
    ・船渡川伊久子・船渡川隆 (2015) 経時データ解析. 朝倉書店.
    ・Fitzmaurice et al. (2011) Applied Longitudinal Analysis. 2nd edn. Wiley.
  2. 「年齢・時代・世代効果I」
    日時:2020年12月2日(水)14:00~15:30
    講師:中村隆 教授(神戸女子大学/統計数理研究所名誉教授)
    概要:継続調査(反復横断調査)によって得られる年齢区分×調査時点形式の集計表データから年齢・時代・世代(コウホート)効果を分離するコウホート分析法(APC分析法)について、日本人の国民性調査、歯科疾患実態調査、鶴岡共通語化調査、人口動態統計等への適用例を示しながら、それがどのような分析法であるかを講義する。
    参考文献:
    ・中村 隆(2005). コウホート分析における交互作用効果モデル再考. 統計数理, 53, 1, 103-132. (PDF)
  3. 「因果推論I」
    日時:2020年12月2日(水)15:50~17:20
    講師:篠崎智大 講師(東京理科大学)
    概要:観察研究データから治療・曝露の「効果」を統計的に推測する方法論を扱う。特にこの講義では、疫学・医学分野の統計手法と親和性の高い因果モデルとして「潜在アウトカムモデル」(反事実モデル)を採用し、交絡、交絡変数、層別解析、回帰、傾向スコアの正確な理解を目的とする。疫学と数理統計の専門知識は求めないが、確率変数や条件付き期待値等の素朴な理解と回帰モデルの解析経験があることが望ましい。
    参考書(疫学・医学分野の因果推論の初学者には特に◎から取り組むことを勧める):
    ◎甘利他『多変量解析の展開―隠れた構造と因果を推理する』岩波書店, 2002.
    ・Rothman, Greenland & Lash "Modern Epidemiology, 3rd ed" LWW, 2008.
    ・星野『調査観察データの統計科学』岩波書店, 2009.
    ◎ロスマン(矢野他訳)『ロスマンの疫学―科学的思考への誘い』篠原出版新社, 2013.
    ・岩波データサイエンス刊行委員会編『岩波データサイエンス Vol.3』岩波書店, 2016.
    ・黒木『構造的因果モデルの基礎』共立出版, 2017.
    ◎Hernán, Robins "Causal Inference" Chapman & Hall/CRC, 2018.(入門部分をDL可
  4. 「年齢・時代・世代効果II」
    日時:2020年12月4日(金)14:00~15:30
    講師:中村隆 教授(神戸女子大学/統計数理研究所名誉教授)
    概要:年齢・時代・世代効果を分離しようとするコウホート分析法が抱える3効果が一意に分離できないという識別問題について解説し、その問題を克服するためのパラメータの漸進的変化の条件を事前分布として取り入れたベイズ型コウホートモデルの構築と赤池ベイズ型情報量規準ABICによる最適モデルの選択法について講義する。
    参考文献:
    ・中村 隆(2005). コウホート分析における交互作用効果モデル再考. 統計数理, 53, 1, 103-132. (PDF)
  5. 「因果推論II」
    日時:2020年12月4日(金)15:50~17:20
    講師:篠崎智大 講師(東京理科大学)
    概要:観察研究データから治療・曝露の効果を推定するとき、しばしば回帰モデルが用いられたり、近年では傾向スコアモデルが用いられたりする。これらの方法が、「因果推論I」で学んだ「層別解析による交絡調整」のモデルを用いた近似であること、またモデルで近似するとはどういうことかを、いわゆる二重ロバスト推定まで含めて説明する。
    参考書:「因果推論I」を参照