平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−58

専門分類

6

研究課題名

地震化学に関する時系列データの解析

フリガナ

代表者氏名

タカハシ マコト

高橋 誠

ローマ字

所属機関

地質調査所

所属部局

環境地質部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地質調査所で行われている東海地震の予知を目的とした地下水位,ラドン濃度等の観測によって得られたデータについて,そのデータの変動の要因を解析し,地殼変動による地下水位,ラドン濃度の変化を抽出し,地下水観測データにおける異常値検出の手法を開発する。


東海地震予知を目的として,地質調査所では,東海地方を中心に数カ所で地下水位等の時系列データを観測している。本共同研究の目標は,観測した水位データから,地震の前兆となる水位変化を検出することである。前年度の共同研究によって,地下水位の変化に影響を与えている気圧・潮汐・降雨のうちの,気圧と潮汐の影響を多変量回帰モデルで表現可能であることがわかっている。今年度は,
1.観測データには欠測が多い。欠測補間の方法の開発
2.地下水位変化に対する降雨の影響を推定する方法の開発
を目的とした。本共同研究で,次の結果を得た。
1.観測データの欠測補間にはカルマンフィルターを用いた計算法を開発した。これによって15%程度の欠測を補間することができた。また,これ以上の欠測には,水位変化に対する最適な回帰モデルを求めるプログラムを改良することで解決した。
2.地下水位に対する降雨の影響を推定するために,つぎのアルゴリズムを考案した。
i)地下水位に対する気圧と潮汐の影響を求め,地下水位からこの影響を差し引き’残差’を求める。
ii)’残差’と降雨についての多次元自己回帰モデルを作り,最適モデルを推定することによって水位に対する降雨の影響を求める。
このアルゴリズムを静岡県榛原観測井の水位データに適用したところ,地震にともなう水位変化のみを明瞭に検出することができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

誌上発表
松本・高橋・北川(1989)「地震にともなう地下水位変動の定量的な検出法の開発」地質調査所月報,Vol.40、p.613−623
口頭発表
松本,高橋,北川「多変量回帰モデルを用いた地下水位異常検出法の開発」,第16回地球化学地震予知・火山噴火予知研究会,1989年7月松本,北川,高橋「定常時系列モデルによる地震にともなう地下水位変化の検出」,1989年度地震学会秋期大学,1989年10月


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地質調査所が所有している地下水観測データについて,その変動モデルを推定し,地殼変動(地震)に起因する変化を効率よく抽出するため,統計数理研究所の解析ソフトウエアの適用について検討する。
地下水観測は1978年より開始し,現在も継続中であり,2分毎のデータを収集している。現状では地震の影響と考えられる変動は,数例認められるのみであり,多くの場合,気象条件,機器の故障等により,データが大きく変動し,目的とする異常変動の検出を困難にしている。
これらのデータに最新の統計理論を適用することにより,欠測等が多く質の低い多変量時系列データの解析手法の開発が期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所

松本 則夫

工業技術院地質調査所