平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2087

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

9

研究課題名

人間工学的評価における筋電図解析手法の提案

フリガナ

代表者氏名

ミツヤ レイコ

三家 礼子

ローマ字

Mitsuya Reiko

所属機関

早稲田大学

所属部局

理工学術院

職  名

研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は、キーボードの人間工学的評価でタイピング時に測定した筋電図測定データを用いてミクロな動きにおける筋負担を時系列解析により解明することである。今回は評価対象として、先進のエルゴノミクス理論に基づいて作られたキーボード(Sculpt Ergonomic Keyboard)を評価した。その際に客観評価として、筋電図を測定した。筋電図データ解析手法としては、二乗平均平方根や周波数解析が主に用いられている。本実験でも二乗平均平方根や周波数解析を用いた結果、傾向こそ見出せたものの明確な差を見出すことはできなかった。傾向とは、エルゴノミクス製品使用において継続的に使用する時間が多いほど負担が減少することである。エルゴノミクス製品を使用する中での慣れによる影響が何かしら存在することが示唆された。そこで、さらに既存の時系列解析手法を応用することで、筋電図において明確な差を見出すとともにエルゴノミクス製品の評価における新たな解析手法を提案することを目的としている。
 本研究の成果として、時系列解析にある偏自己相関係数によるクラスタ分析により被験者のパタン分類を行うことができた。その結果、継続的な使用時間が多いグループと少ないグループに分類され、さらに二つのグループでは負担度に明確な差があることを示すことができた。具体的な解析の流れは、以下の通りである。まず尺側主根屈筋と浅指屈筋の実験期間6ヶ月分の筋電データについて、それぞれ1次から10次までの偏自己相関係数を被験者ごとに求めた。これに基づき被験者についてクラスタ分析を行った。その結果、どちらも2つのグループに分類された。2つのグループの被験者についてキーボード使用時間を照合したところ、使用時間が週平均約20時間の高頻度使用グループと使用時間が週平均約8時間の低頻度使用グループの2つのグループであった。同時に筋電データの二乗平均平方根を2つのグループ間でt検定を行い比較したところ、有意な差が認められた。従って当初傾向として示していたエルゴノミクス製品使用において継続的に使用する時間が多いほど、慣れの影響によって疲労負担度が減少するということを明確に示すことができた。
 時系列解析手法において、偏自己相関係数を用いたクラスタ分析によるパタン分類は有用なものであり、今後の幅広い利活用が期待できる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.桐木崇行,春日瑛,西脇由希子,福田怜美,北川美由紀,三家礼子,河合隆史 : ハイパフォーマーのためのオフィス環境の検討,第23回システム大会抄録集(USB),日本人間工学会システム大会部会,ST14- 01,2014.

2.Reiko Mitsuya, Takayuki Kiriki, Akira Kasuga, Yukiko nishiwaki, Manami Nozaki, Yoshiyasu Tamura, Takashi Kawai : Evaluation of Ergonomic Keyboard using the EMG Measurement and Questionnaire -Prevention of Musculoskeletal Disorder-, MMIRA Inaugural Conference 2014,2014

3.三家礼子,桐木崇行,春日瑛,西脇由希子,野崎真奈美,田村義保,河合隆史 : 時系列解析による筋電図データの評価尺度の提案,ヒューマンインターフェイスシンポジウム2014,pp.109-114,2014

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

河合 隆史

早稲田大学

桐木 崇行

早稲田大学

田村 義保

統計数理研究所